• HOME
  • コラムの泉

コラムの泉

このエントリーをはてなブックマークに追加

専門家が発信する最新トピックスをご紹介(投稿ガイドはこちら

雇用保険法改正の概要

平成21年4月15日 第67号
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
人事のブレーン社会保険労務士レポート
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
目次

1.雇用保険法改正の概要
===================================

ブログもよろしくお願い致します。
人事のブレーン社会保険労務士日記」です。
http://norifumi.cocolog-nifty.com/blog/
是非見てみて下さい!

就業規則サイト「就業規則.COM」
http://www.sr-syuugyoukisoku.com/

公式ホームページをリニューアル致しました
http://www.yamamoto-roumu.co.jp
是非一度ご覧ください。


***********************************

1.雇用保険法改正の概要

***********************************

<1> はじめに

(1)概要

平成21年4月1日に雇用保険法が改正された。
昨今の経済情勢の影響で、特に非正規社員に対する保護を強化する目的で改正を
行った。
短期間の失業者に対するセイフティーネットの提供は雇用保険より行われる。
よって雇用保険法の対象とならない労働者については、その就労により生活の維
持がなされていないものであるとの考えで網からはずされていた。
今回の改正により、「雇用保険被保険者適用対象者の拡大」「特定受給資格者
同等の取り扱いをする失業者の拡大」「早期の就職を促すインセンティブの拡大」
「保険料等」に大別することが出来る。
早期の就職を促すインセンティブの拡大については、常用就職支度金、再就職手
の引き上げ、特定受給資格者等への最大60日の延長給付であるが本稿では省略
する。

なお、厚生労働省のHPにおいて公表されている資料をご紹介す。
特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/koyouhoken05/pdf/03.pdf

平成21年度の雇用保険料率
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/koyouhoken05/pdf/08.pdf

<2> 雇用保険被保険者適用対象者の拡大

 雇用保険法では、適用事業所雇用され、雇用関係によって得られる収入によ
り生活する者が被保険者であるが、短時間で勤務する者(短時間就労者)につい
ては、1年以上の雇用見込みが必要であったが、今回の改正でこれが「6ヶ月」
となった。

 雇用見込みとは、「期間の定めのない雇用契約の締結」、「6ヶ月の雇用契約
の締結」、6ヶ月未満の雇用契約であるが、「更新する旨の記載がある雇用契約
と「雇入れの目的、その事業所の同様の雇用契約に基づき雇用される者の過去の
就労実績等からみて、契約を6か月以上にわたって反復更新することが見込まれ
るとき」である。

 私見であるが実務上は、「6ヶ月」に短縮しても適用の範囲が飛躍的に拡大さ
れるかという点については疑問である。

<3> 特定受給資格者と同等の取り扱いをする失業者の拡大

(1)特定受給資格者の範囲の拡大
 
 期間の定めのある労働契約の締結の際に労働契約が更新されること明示されて
いたにもかかわらず契約の更新がなされずに離職した場合、その雇用期間が1年
未満であれば、特定受給資格者となるが、この「1年」の要件をなくし、1年以
上の雇用期間でも特定受給資格者として取り扱われるようになった。
 この取り扱いは、受給資格に係る離職日が平成21年3月31日以降のものが
対象となる。

(2)特定理由離職者の概要

特定受給資格者については従前通りの取り扱いであるが、「特定理由離職者」と
いう取り扱いが新設され、受給要件の緩和が行われた。
 緩和された要件は以下の通りである。

 1)受給要件の緩和
 基本手当受給資格の要件として「離職日以前の2年間に被保険者期間が通算
して12ヶ月以上」とされていたところ、「離職日以前の1年間に被保険者期間
が通算して6ヶ月以上」と緩和された。

2)給付日数の増加
 平成21年3月31日から平成24年3月31日までの間に受給資格に係る離
職日がある場合には、特定受給資格者と同様の基本手当の受給日数となった。


(3)特定理由離職者とは

特定理由離職者とは、特定受給資格者に該当せず、期間の定めのある労働契約
更新されなかったことその他やむを得ない理由により離職した者のことである。
具体的には以下のいずれかに該当する者である。
 1)期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新を
希望したにもかかわらず、当該労働契約の更新の合意に至らなかった場合。
 
これは、労働契約の延長又は更新が明示されているが、確約まではなされていな
い場合が該当する。
 なお、確約がなされていれば、特定受給資格者となる。
 
2)正当な理由のある自己都合により離職した者
以上の要件を満たし、受給資格に係る離職日が平成21年3月31日以降の労働
者が対象となる。
 以下で、この正当な理由とは何かを明らかにしたい。

<4>正当な理由のある自己都合退職とは

(1)体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、触覚の減退等により
離職した者
 上記に掲げている身体的条件及びこれに準ずる身体的条件のため、その者が就
いている業務(勤務場所への通勤を含む)を続けることが不可能となったとき。
 また、新たに就くべき事を命ぜられた業務を遂行することが不可能なとき。

(2)妊娠、出産、育児等により離職し雇用保険法第20条第1項の受給期間
長措置を受けたとき。

雇用保険法第20条第1項の受給期間延長事由(妊娠、出産、育児等により30
日以上職業に就くことが出来ない)に該当し、離職日より30日以上職業に就く
ことが出来ないことを理由として、当該事由により受給期間の延長措置を受けた
場合。

(3)父若しくは母の死亡、疾病、負傷の為、父若しくは母を扶養するために離
職を余儀なくされた場合又は常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等の
為に離職を余儀なくされた場合のように家庭の事情が急変したことにより離職し
た者。

これは看護を必要とする期間が概ね30日を超えることが見込まれることが必要
である。
また、自家の火事、水害等で勤務の継続が困難となった場合にはここに該当する。

(4)配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことに
より離職した者
配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが、生活の上からも、経済的
事情からも困難となった為、それらの者と同居するために事業所への通勤が不可
能又は困難な地へ住居を移転した場合。

(5)次の理由により通勤不可能又は困難となったことにより離職した者
 通常の方法により通勤する為の所要時間が概ね4時間以上となったとき

 1)結婚に伴う住所の変更
 
退職から住所の変更が原則として1ヶ月以内であることが要件

2)育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼

被保険者の住所若しくは職場の近隣又は通勤経路上の適当な場所に保育所等保育
のための施設又は親族が無く、あったとしても保育の時間帯と勤務の時間等があ
わない等の客観的理由があり、かつ上述した以外の保育所等保育のための施設を
利用したり、親族等に依頼するとなれば、通勤が不可能又は困難となるとき。

 3)事業所の通勤困難な地への移転

 4)自己の意志に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたとき
 
例えば、住居の強制立ち退き、天災等の移転が該当

 5)鉄道、軌道、バスその他の運輸機関の廃止又は運行時間の変更等

 6)事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
 
 7)配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別
居の回避
 
(6)その他、特定受給資格者要件2-10による「事業主からの直接若しくは間
接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者」に該当しない企業整備等
による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した者等

<5>注意点とまとめ

本稿はあくまで雇用保険法の解説である。
雇用保険の手続きに関することである。
手続きとは「事実」を届け出ることであり、事実行為である。
よって、退職の経緯があり、その経緯をどの様に雇用保険の離職区分に当てはめ
るかということである。
形式にとらわれずに、実態はどうなのか。
例えば、自己都合の退職届を提出しているが、実態としては解雇であれば解雇と
して離職証明書を書かなければならない。
今回の改正で、有期雇用の雇い止めに関しての離職理由が細分化されている。
また、特定理由離職者という区分も新設された。
この様な細分化された文言にとらわれず、事実は何かをしっかりと把握して頂き
たい。

===================================
※ 掲載内容の無断転載は禁止させていただきます。ご一報下さい。
※ 本メルマガの内容につきましては万全を期しておりますが、万一損害が
  発生致しましても責任を負いかねます。
※ メルマガ相互紹介募集中です。

発行者 山本経営労務事務所 (URL http://www.yamamoto-roumu.co.jp/
編集責任者 特定社会保険労務士 山本 法史
ご意見ご感想はこちらまで(メルマガ相互紹介、転載等お問い合わせもこちらまで)
norifumi@yamamoto-roumu.co.jp

購読中止・変更 http://www.yamamoto-roumu.co.jp/
発行システム まぐまぐ http://www.mag2.com/   ID 0000121960
===================================
             ~我々は相談業である~
        ~我々の商品はお客様への安心感の提供である~
              山本経営労務事務所
東京都八王子市元横山町2丁目5番6号 tel 042-643-5830(代)
特定社会保険労務士2名 社会保険労務士4名 有資格者2名 
合計15名のスタッフで皆様をサポート致します!!
           人事のことなら何でもお任せ下さい!
===================================

絞り込み検索!

現在22,382コラム

カテゴリ

労務管理

税務経理

企業法務

その他

≪表示順≫

※ハイライトされているキーワードをクリックすると、絞込みが解除されます。
※リセットを押すと、すべての絞り込みが解除されます。

スポンサーリンク

経営ノウハウの泉より最新記事

スポンサーリンク

労働実務事例集

労働新聞社 監修提供

法解釈から実務処理までのQ&Aを分類収録

注目のコラム

注目の相談スレッド

スポンサーリンク

PAGE TOP