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退職年度の年休

◆事例:退職年度の年休

 定年退職者等が退職間際に年休を全て消化するため業務に支障が出ています。
また、その年度の年休日数は4月に一斉付与しているため、退職月による不公
平感もあります。
 最終年度に限り、4月から退職月までの比例按分方式としたいのですが。

◇回答----------------------------------------------------------------
 退職間際であっても請求があれば年休の取得拒否はできません。会社は時季
変更権を行使できますが、在職中の期間しか指定できないので実質的には認め
ざるを得ないこととなります。また、例えば9月に退職するからといって通常
の半分の日数とすることもできません。なお、退職時の年休の買い上げは、事
前の買い上げとならなければ可能です。

■解説----------------------------------------------------------------

 退職の際の年次有給休暇(年休)の取り扱いについては、色々と問題が生じ
るところです。これは定年退職に限らず、自己都合退職の場合も同様です。
 基準法上、年休は過去の勤続年数等の条件を満たせば、付与日に一括して発
生することとなっているため、年度途中で退職する人もそうでない人も全く同
じ権利が発生します。

 もちろん会社には時季変更権があり、この行使についても退職間際だからと
いって制限はありません。従業員の請求した時季が事業の正常な運営を妨げる
場合は、他の時季に変更させることができることとなっています。しかしなが
ら、退職後の時季への変更は実質的に年休の付与とならないため認められませ
ん。(S49.1.11基収第5554号を類推解釈)

 例えば4月末で退職する者でも20日間の権利が発生するため、他の時季への
変更ができず、その月は全く出社せずということもあります。何となく釈然と
しない部分が残りますが、現行法上やむを得ず、従うしかありません。

 現場からすれば、長期にわたり従業員が欠員となるので作業の遅延や混乱も
懸念されますが、特に定年の場合は事前に時期も確定しているので、オーソド
ックスな方法ですが作業手順や要員配置を事前に準備して切り抜けるしかあり
ません。
 退職時期が年度の早い時期でなければ時季変更権の行使も行えるので、これ
らを組み合わせてスケジュール化することも可能です。

 一方、年休の買い上げについては通常は認められませんが、退職時等の場合
は事後の買い上げであれば認められます。但しあくまでも「従業員が年休権を
行使せず、その後時効退職等で消滅する場合に、残日数に応じた調整的な金
銭給付を行う」ことが前提なので、予め買い上げを約束するような方法ではダ
メです。

 なお、年休の買い上げをする場合の単価は必ずしも賃金の額と同額である必
要はなく、定率でも定額でも構いません。あくまでも調整的な金銭給付なので、
逆に平均賃金ピッタリとすると事前買い上げと認定されかねません。いずれに
せよ、それなりのコストが生じますので慎重に決定すべきです。

 別に、年休日数を減少させる手段として、前年度中に所定労働日数を短くす
る、いわばパート化する方法が考えられます。かなりセコい方法ですし、トラ
ブルの原因ともなり得るので勧められませんが、考え方は参考となるかも。

 年休の付与日数は付与する年度の所定労働日数により決定されます。4月付
与と仮定すると、3月以前にパート化しておけば4月の付与日数はパートとし
ての所定労働日数に応じた比例付与日数となります。従来のようにまるまる20
日を与えなくて済みます。但し、それ以前に保有している年休日数までは影響
を受けません。どうせやるなら1年前からですね。


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