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残業時間の端数処理

◆事例:残業時間の端数処理

 当社の残業時間は日々15分単位で把握し、1ヶ月分を合計して残業代を支払
っています。ところが関係者から日々の時間処理に問題ありと言われました。
どのような処理とすべきでしょうか。

◇回答----------------------------------------------------------------
 日々の残業時間の端数処理はできないことになっています。従って1ヶ月の
合計は日々を分単位で積み上げる必要があります。なお、1ヶ月合計の端数処
理は認められています。

■解説----------------------------------------------------------------
 日々の残業時間を30分や15分単位、中には60分で把握し、これ未満の時間数
は切り捨てている会社がかなり多いと思われます。
 ところが基準法を厳密に適用すると、これらの処理は違反となります。なぜ
なら基準法には賃金全額支払いの原則があり、正しくは毎日の残業は分単位で
把握しなければなりません。たとえ1分でも切り捨てることは、賃金不払いに
なってしまいます。

 元々このような端数処理の方法は、本来1ヶ月の合計時間に対してのみの扱
いであったのですが、適宜拡大解釈されて今日に至っているようです。

 通達に「月の時間外総数に1時間未満の端数がある場合、30分未満は切り捨
て、30分以上は1時間に切り上げることは差し支えない」(S63.3.14基発150号)
というのがあります。
 この通達は30分を境に切り上げ切り捨てを認めていますが、長期で見れば概
ねチャラになるとの背景があると思われます。
 また、同通達では、月の割増賃金の額に円未満の端数が生じた場合、50銭を
境に端数処理することも認めています。いずれも「常に労働者の不利益となる
わけでなく、事務簡便を目的とする」ということが主旨だからです。

 これらのことから、日々の残業時間の端数処理をしている場合は、早急に手
を打つ必要があります。特に最近の監督署は、残業時間と割増賃金に関しては
執拗に食らいついてきます。もし入られると先ず狙われる部分ですし、是正勧
告を受けると過去2年に遡って未払額の精算をしなければなりません。もし毎
日が29分ギリチョンだったら結構な額になってしまいます。まして59分切り捨
てだったら、会社潰れるかも。
 これは残業時間だけでなく休日出勤も同じです。

 一番正しい方法は、毎日1分単位で積み上げ、最後に端数処理することです。
ただ、どうしても無理だという場合には、なるべく短い分数での切り捨てに移
行しておいた方が良さそうです。もし監督署に入られたとしても、実害時間数
や額が軽微な場合は、今後の是正だけで済むこともあり得ます。
 コストとリスクをどのように選択するかは、まさに経営者の手腕です。


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