◆事例:アルバイトの禁止。
当社の
従業員の中に夜間のアルバイトをしている者がいます。就業中、居眠
りすることがあるのでバイトを辞めるよう注意しましたが、収入確保のためと
言い張って続けています。
就業規則には
兼業禁止条項があるので、これにより
懲戒処分をしようと考えていますが、何か留意点はあるでしょうか。
◇回答----------------------------------------------------------------
アルバイトをしていることだけを理由に
懲戒処分を行うことは慎重に進める
べきです。
就業時間外の私的時間の利用は原則として
労働者の自由ですが、就
業等への影響を防ぐという観点で
就業規則の
兼業禁止条項は合理性が認められ
ています。従って、アルバイトの内容や勤務に与える影響などを十分調査した
上で、職務遂行上問題ありという場合は処分が可能です。
■解説----------------------------------------------------------------
就業時間外や
休日は、
労働者は
労務提供の義務を負っていません。当然、使
用者の指揮命令下にも置かれていないので、
労働者がその時間をどのように利
用するかは原則として自由です。労組寄りの学者の中には、他の
使用者のもと
で労働することも自由であり、これを
就業規則等で禁止することは許されない
とする考え方さえあります。
しかし、判例では「
労働者が
就業時間外に適度な休養をとることは、誠実な
労務提供のための基礎的条件であり、また、兼業の内容によっては、会社の経
営秩序を害することもあり得るため」(東京地裁 S57.11.19)兼業を禁止する
ことは合理性ありと判断しています。一般的に、合理性を認める基準は次の項
目が共通するようです。
1 兼業することにより、
労働者の
労務提供が不能になったり困難となる恐れ
があること。
2 兼業先の業務内容や就業内容によっては、企業の経営秩序を害し又は使用
者の社会的信用や体面が傷つく恐れがあること。
3
労働契約から派生する、
使用者に対して誠実に職務に専念するという義務
(誠実義務、職務専念義務)に反する恐れがあること。
もちろん、
就業規則に上記の合理性があるからと言って、何でもかんでも全
ての
懲戒処分が有効となる訳ではないので注意が必要です。
判例の考え方は、あくまでも
就業時間外の活動は
労働者の自由であるという
立場を採っており、
就業規則による
兼業禁止は合理的理由があればとの限定解
釈となっています。
実務上の進め方としては、兼業が継続的なものか否か、兼業先の業務内容や
労働時間、
労働者の就業内容等を調査し総合的に判断しなければなりません。
その結果、会社の仕事に支障を来すような悪影響がある場合(例えば夜勤や肉
体労働)、あるいは兼業の内容が会社の業務と競合するとか企業の体面、信用
を傷つけるものである場合(ライバル会社とか風俗営業等)、又はその恐れが
高い場合は、解雇も含む
懲戒処分が有効とされます。もし、そのような事情に
至らないような場合(例えば短時間の受付やレジ係等)は、兼業を理由に解雇
することはできないと判断されるようです。
なお、
36協定が締結されている場合は幾分会社に有利となり得ます。会社
はこの協定があれば緊急かつ重要な業務について残業を命ずることができ、労
働者はこれに応じなければならないからです。残業命令拒否は
懲戒処分の対象
となるので、
兼業禁止条項を援用しなくても、結果として処分することができ
るようになります。当然ながら進め方は十分留意しなければなりません。
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当社の従業員の中に夜間のアルバイトをしている者がいます。就業中、居眠
りすることがあるのでバイトを辞めるよう注意しましたが、収入確保のためと
言い張って続けています。就業規則には兼業禁止条項があるので、これにより
懲戒処分をしようと考えていますが、何か留意点はあるでしょうか。
◇回答----------------------------------------------------------------
アルバイトをしていることだけを理由に懲戒処分を行うことは慎重に進める
べきです。就業時間外の私的時間の利用は原則として労働者の自由ですが、就
業等への影響を防ぐという観点で就業規則の兼業禁止条項は合理性が認められ
ています。従って、アルバイトの内容や勤務に与える影響などを十分調査した
上で、職務遂行上問題ありという場合は処分が可能です。
■解説----------------------------------------------------------------
就業時間外や休日は、労働者は労務提供の義務を負っていません。当然、使
用者の指揮命令下にも置かれていないので、労働者がその時間をどのように利
用するかは原則として自由です。労組寄りの学者の中には、他の使用者のもと
で労働することも自由であり、これを就業規則等で禁止することは許されない
とする考え方さえあります。
しかし、判例では「労働者が就業時間外に適度な休養をとることは、誠実な
労務提供のための基礎的条件であり、また、兼業の内容によっては、会社の経
営秩序を害することもあり得るため」(東京地裁 S57.11.19)兼業を禁止する
ことは合理性ありと判断しています。一般的に、合理性を認める基準は次の項
目が共通するようです。
1 兼業することにより、労働者の労務提供が不能になったり困難となる恐れ
があること。
2 兼業先の業務内容や就業内容によっては、企業の経営秩序を害し又は使用
者の社会的信用や体面が傷つく恐れがあること。
3 労働契約から派生する、使用者に対して誠実に職務に専念するという義務
(誠実義務、職務専念義務)に反する恐れがあること。
もちろん、就業規則に上記の合理性があるからと言って、何でもかんでも全
ての懲戒処分が有効となる訳ではないので注意が必要です。
判例の考え方は、あくまでも就業時間外の活動は労働者の自由であるという
立場を採っており、就業規則による兼業禁止は合理的理由があればとの限定解
釈となっています。
実務上の進め方としては、兼業が継続的なものか否か、兼業先の業務内容や
労働時間、労働者の就業内容等を調査し総合的に判断しなければなりません。
その結果、会社の仕事に支障を来すような悪影響がある場合(例えば夜勤や肉
体労働)、あるいは兼業の内容が会社の業務と競合するとか企業の体面、信用
を傷つけるものである場合(ライバル会社とか風俗営業等)、又はその恐れが
高い場合は、解雇も含む懲戒処分が有効とされます。もし、そのような事情に
至らないような場合(例えば短時間の受付やレジ係等)は、兼業を理由に解雇
することはできないと判断されるようです。
なお、36協定が締結されている場合は幾分会社に有利となり得ます。会社
はこの協定があれば緊急かつ重要な業務について残業を命ずることができ、労
働者はこれに応じなければならないからです。残業命令拒否は懲戒処分の対象
となるので、兼業禁止条項を援用しなくても、結果として処分することができ
るようになります。当然ながら進め方は十分留意しなければなりません。
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