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パート、バイトの有給休暇

★パート、バイトの有給休暇

 基準法ではパートだろうがバイトだろうが、一定の所定労働日数がある場合
比例付与の形でも与えなければならないのですが、中小企業できっちりやっ
ている所はなかなか見かけません。一方、大企業では就業規則が整備されてい
るので規程上はあるにせよ、現場では知らんぷりのケースも多いようです。

 確かに、経営側からすれば、何でパート等に有給なんかやらなきゃならない
の?というところです。好ましいかどうかはともかく、人件費を安くあげるた
めにパート化しているのは多くの経営者の本音の部分でしょうから、悩ましい
部分ではあります。

 世間的に多いのが「パートは社員じゃないから有給なしよ」としているケー
ス。パートにも有給を与えるべきことを本当に知らない経営者も多くいます。
もちろん就業規則は社員用のみ存在し、パート、バイト用は作成してません。
就業規則がないんだから有給もない」とのスタンスの方もいます。ある意味、
スジ通ってますな。

 実際、パートの多くは、少しでも長く働いて収入を増やしたい方が多いため、
休むことに抵抗を持つ方もいるようです。特に、主婦層では有給自体を知らな
い人が多いのも幸いしてます(経営側にとって)。また、有給を申請しようと
しても、周りが取らずにいたり、取りにくい雰囲気であれば、なかなか言い出
しにくいのも実情です。無理に言って休めば、辞めさせられるんじゃないかと
の不安も付きまといます。

 ある程度規模の大きな会社になると、パートやバイト用の就業規則は作成済
みとなってますが、現場では該当者に見せたがりません。多くは店長の引出し
の奥に眠ってます。もし聞かれれば「そんなのあったっけ?」と煙にまいてチ
ョン。
 少しヤバいのが、求人票に有給ありというのを見て応募してきた人。でも、
「周りが取ってない」とか「今休まれたら困る」とか言って、ズルズル引き伸
ばされ、結局諦めるだけ。
 頭のいい経営者になると、雇用期間を半年以下にして、数日空けて雇いなお
すケース。有給は半年の勤務継続が条件なので、雇用を一旦断ち切ればとの考
えです。バレれば脱法行為とみなされます。
 もうちょっと手がこんでくると、「いつ来てもいいよ」と言っておきながら
所定労働日数を社員並とするケース。出勤率が8割に満たなければ有給対象外
にしようとの策。ペテンですな。
 どうしても有給認めざるを得ないケースでは、有給の分に見合う賃金単価を
下げるなんてのもあります。本人が了承すれば、まあ構わないのでしょうけど。

 多くの会社の状況はこんなものでしょうね。要は力関係ですから。社長の声
がデカけりゃ何とかなると思ってる方も多いのでは?
 とは言っても、現在のネット社会では有給を始め、労働条件に関わる情報が
飛び交ってます。しかも、ほぼ100%、経営者に不利な情報です。もし、これら
の情報を見た従業員が、自信を持って有給申請してきたら、時季変更権の行使
以外に逃げ道はありません。もちろん時季変更権も乱発はできませんのでご注
意を。
 うかつに対応すると「訴えてやる」ともなりかねません。私としては、むし
ろ何も言わずに引き下がる人の方が怖いです。しばらくして突然監督署から呼
び出しかかるケースが多いもんで。

 結局のところは、パート、バイトにも有給を認めざるをえないということで
す。上に掲げた方法で、今は何とかしのげても、いつまで持つかはわかりませ
ん。従業員とトラブって「恐れながら」とやられたら、どうにもなりません。
有給の件にとどまらず、全ての条件にわたって洗いざらいチェックされること
になります。経験上、有給与えてない会社では他の条件にも問題が存在し、一
発で是正勧告てんこ盛りとなるようです。
 どうしても有給が嫌なら、従業員に不満を持たれたりトラブルを起こしちゃ
ダメ。かなり難しいですよ。有給認めた方が遥かにラクだと思うんですが。

 最後ながら、社労士という商売は事業主から報酬を受けるので、こういう問
題は辛いものがあります。真面目な先生だと「法律だから守りなさい。守らな
いなら引き上げます」と言ってのけるでしょうが、ドブ板社労士を標榜する私
としては、ここをどう切り抜けるか、説得するのか泥沼にはまるのか、悶々と
するのが実情です。
 まっ、法律論どおりに行くのなら、専門家なんて必要ないのでしょうけどね。
この辺が腕の見せ所かも。但し、どう見ても違法丸出しの依頼はお断りですぞ。


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