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管理者の残業代

★管理者の残業代

 サービス残業については相変わらず各種報道がなされています。先日は日商
でも指摘され、慌てて未払い分を払ったようです。根の深い問題です。
 よく聞かれるのですが、一般社員のサービス残業は、私でも立場上「ダメで
すよ」としか言えません。役所の下請けみたいで悔しいですが致し方ありませ
ん。

 対抗策として多いのが、社員を管理職にするケースです。基準法第41条2号
には「管理監督者」は、労働時間休憩休日の規定を適用しないと記載され
ています。要するに、管理職には残業代休日手当を支払わなくていい、とい
うこと。

 ちょっと基準法を知っているコンサル(社労士以外ですが)だと、残業対策
に悩む社長さんにこれを勧めてきます。何も知らない社長は当然飛びつきます。
「じゃ、誰を管理職にするかな~。そうだ!残業代の多い奴にしよう」という
ことで、上級クラスの一般社員を無理やり管理職に任命します。

 勝手に管理職にされた社員は、哀れ手取りが大幅ダウンの憂き目に。ほとん
どがやる気なくしたり、辞めていったり。それで、後に残された社員の仕事が
増え、残業が増えていく。の繰り返しです。

 以前、「労務に効く薬」でも触れましたので詳細は省きますが、基準法でい
う「管理監督者」は経営側の立場にあり、経営者と一体となって業務遂行する
者に限られます。職位名称は関係ありません。
 実務的には、タイムカードは勿論のこと出退勤の指示命令は受けず自由であ
ること、経営方針に物申せる立場にあること、人事権を有すること、職務の遂
行について細細とした指示を受けず自分が決定権を持つこと、一般の社員とは
格別な賃金を受けていること、等です。

 普通の会社の課長さんじゃ、まず当てはまりませんね。上には部長や役員
おり、明日の休日出て来いとか、口出しするなとか、書き直せとかの毎日でし
ょう。新米の課長じゃ手取りは古参の係長の方がはるか上。責任だけは持たさ
れ、周りからはゴリゴリやられ、上へはご機嫌取りの挙げ句、成果は上が持ち
逃げってか。いけねっ、昔の愚痴になりました。

 ともかく、名称だけ管理職にしただけでは無理があります。以前、短期間在
籍したことのある会社に凄いのがありました。中途採用で専務直属として入社
したのですが、社員は全て課長以上。人事課の社員も4人が4人、オール課長。
やってる仕事は、取得届書いたり給与計算とか。何かあれば全てワンマン社長
にご相談。他のセクションも全部課長か部長。ヒラを探したら、パートのおば
ちゃん2人だけ。「何で?」と聞いたら先に述べた通り、顧問弁護士に聞いて
決めたそうです。弁護士がねぇ~。労働法は専門じゃないのね。
 そういや、その先生にも困りました。パートに年休与えないためには、時期
変更権行使すりゃいい、なんて社長に指導してた。いやはや何とも。

 ここまで極端なケースは別にしても、残業代払わないで済む管理職というの
はかなり限られます。社員である以上、多少の一般業務を持つのは当然にして
も、少なくとも経営会議的な場で発言の機会を与えていたり、自分のセクショ
ンの方針を決めさせたりとか、経営に参画しているとの位置付けは不可欠です。

 なお、出退社の自由については難しいものがあります。タイムカードはダメ
とはいえ本当に勝手放題にしたら、会社全体のモラルもクソもなくなります。
重要な役目を押し付けて、嫌でも会社で仕事せざるを得ないように責任を持た
せるとか。但し、過労死とバーター覚悟ですな。

 それと、重要な要素は賃金面です。役職手当残業代代わりに支給するのが
一般的な方法ですが、残業実績が役職手当額を超えたら、差額の支給が必要で
す。とはいえ、普通一々計算なんかしてないでしょうね。本来の意味の管理者
は、こんな計算しなくて済むほどの高給取りであることが必要なのでしょう。

 どうやら基準法でいう管理者は、役員に近い性格かもしれません。元々の主
旨は、労働法の規制を超えて活動せざるを得ない重責を持つ者を対象としてい
るからです。
 それほどの者を社員にしておくなら、いっそのこと役員にした方がいいかも
知れません。そうすれば問題は一気に解決。委任契約なので一切の労働法の対
象から外れます。首切り自由、労災なんぞ無関係。経営者なんだからと何でも
ありの世界。社労士はおマンマ食いあげ。但し、相手が受けるかどうかと、登
記の問題はありますが。


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