相談の広場
商事留置権について質問です。
「保管者」と「旧所有者」の保管管理契約に基づく製品が、(旧所有者の会社再生法施行前に)適正に売買され、以降「新たな所有者」によって同じ場所で適正に保管されています。保管費用などの支払いを「新たな所有者」は「保管者」に行っていた場合、その製品の移動に際し、「保管者」が「旧所有者」に対する弁済として留置権を主張することはできるのでしょうか?
「旧所有者」は現在破産宣告を受け、「保管者」は一債権者として届出していますが、まったく弁済の見込みがありません。
一方、(会社更生法前の)製品の売買行為については、本件管財人より「有効な売買であった」として、製品は「新たな所有者」の所有にあるとの回答を得ました。
しかも、所有者変更後の保管費用などもその「保管者」に対して、「新たな所有者」は契約どおり支払っており、遅延、不払いは一切ない状態です。「保管者」も売買については認めていたので、売買後、保管費用を「新たな所有者」に請求し続け、支払いを受けてきました。
その状態で、「新たな所有者(現所有者)」が目的物の売買目的で移動する旨の指示を「保管者」にしたところ、(新たな所有者=現所有者は)債務者ではないが、元々その製品の費用として発生していた未払いの債権があるので、留置権を行使する、債権全額の支払いを新たな所有者(破産者との債権債務なし)に求めてきました。
一旦は「新たな所有者」として認め、その後保管費用も請求・支払いを受けてきておきながら、破産後の弁済が受けられる見込みがなくなった製品に対し、その売買の可能性が出てきた(売買は破産者とまったく関係ないもの)からといって「保管者」は善意の所有者並びに本目的物を購入しようとする者に対し、留置権を行使できるのでしょうか?
なお、保管者の旧所有者(破産者)に対する債権は、寄託契約による保管料と通常の売掛金の両方があり新たな所有者(現在の所有者)に対し、合計の債権金額を留置権解除の条件としています。
宜しくお願いします。
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法律の専門家ではありませんが、横から失礼します。
> (会社更生法前の)製品の売買行為については、本件管財人より「有効な売買であった」として、製品は「新たな所有者」の所有にあるとの回答を得ました。
有効な売買であったということは、製品が保管されているということも認識されていたのではないでしょうか。
> 保管者の旧所有者(破産者)に対する債権は、寄託契約による保管料と通常の売掛金の両方があり新たな所有者(現在の所有者)に対し、合計の債権金額を留置権解除の条件としています。
留置権解除の条件として、保管料と売掛金の合計の債権金額というのは「保管者」にとって随分と都合がよいように思われますが、「旧所有者」の未払保管料については条件とされても致し方ないように思います。
もちろん、現在まで保管状況を知らずに売買が成立しているのであれば、善意の第三者という主張はできると思いますが、売買後も保管費用を支払っていた以上は留置権を認めざるを得ないということになりませんでしょうか。
行政書士泉つかさ法務事務所さんから専門家のご意見として
> 保管状態が継続してことのみをもって占有権の継続・留置権を主張・行使することは留置権の法意に馴染まなく不法行為と言える
とありますので、素人の勝手な判断かもしれません。
適正に売買され、適正な保管が継続されているのであれば、債権全額ではなく、未払保管料のみの精算で留置権は解消されるのではないでしょうか?
素人が差し出がましく、コメントしてすみません。
ごんジろうさんのような意見が出ても当然だと思います。
その立場に立って、破産債権者は留置権を主張して来ているのですから。
もし、商事留置権が認められるとすれば、保管費用だけではなく売掛金も認められることになるでしょう。
このケースの明解な回答を有していませんから、裁判にでもならなければ結論は出ないのかも知れませんが、当職の考え方は、占有代理人の立場にあった破産債権者が、旧所有者から保管品売買の通知をうけ、それ以後は現所有者のために保管を開始し、その意思を表明した(保管料の請求を新所有者に行い受領したことからも明白な認容行為があったと言えるでしょう。)時点で、「留置権を主張すべき占有権は消滅した」(旧所有者の代理人としての占有権は消滅した。)と解釈しました。そのため、留置権を認めることは難しいという回答をし、その判断が法の趣旨にも合致するのではないかと申し上げた次第です。
再度、留置権の勉強をし直してから回答しているわけではありませんので、細かい表現のミスはご容赦いただくとして、まずは留置権否定の主張・抗弁を展開してみて、どうしても相手が移動を認めない時は弁護士などの力を借りることで良いと思うのですが、如何でしょうか?
裁判になっても十分に勝ち目があると思える事情がありますし、破産管財人弁護士もその判断をして「有効な売買」という表現を使ったのではないかと・・・想像しています。
行政書士泉つかさ法務事務所さん、素人の意見にまで対応していただきありがとうございます。
> もし、商事留置権が認められるとすれば、保管費用だけではなく売掛金も認められることになるでしょう。
そうなると大変ですね。
> 当職の考え方は、占有代理人の立場にあった破産債権者が、旧所有者から保管品売買の通知をうけ、それ以後は現所有者のために保管を開始し、その意思を表明した(保管料の請求を新所有者に行い受領したことからも明白な認容行為があったと言えるでしょう。)時点で、「留置権を主張すべき占有権は消滅した」(旧所有者の代理人としての占有権は消滅した。)と解釈しました。
ご丁寧に解釈まで披露していただき、勉強になりました。ありがとうございました。
泉様、ごんジろう様
本当に貴重なアドバイス本当にありがとうございました。
遅くなりましたが、本件については一応の解決を見ましたので、ご報告させていただきます。
まず、ごんジろう様のご指摘の
管財人の“有効な売買との判断”に絡む、新規所有者(寄託者)として所有権が移るにあたり、本当に善意の第三者と言えたかどうかの点。
受託者である破産債権者から、当時口頭で所有権移転についてクレームがついたのも事実です。しかし強力な不同意もなく認めたのは、そこで新規所有者(私)が売買そのものを無効として解除してしまうと、「受託者」としては以降の管理費の支払いの確約もなく債権額が増えていくばかりで(その段階ではまだ会社更生法の気配もなく、支払い遅延の状態が続いていた)、『新たな先にそれ以降の保管料だけでも請求し支払いを受けることで、不良債権の拡大を防ぐ』との思いがあったから合意したのも事実ではなかったか、と追及したところ、それは認めました。
また今回の留置権行使の意向を受け、私の売買金額並びに利益額を考えれば、とても支払える金額ではない(商売にならない)ので、(今後管理費だけ請求され払い続ける状態が続くならば)全て廃棄物として処分、または今後の管理費支払いを停止し、製品の所有権を放棄することも検討している旨、話しました。
一方で移動を認め、出荷してくれるなら「受ける利益の中の10%程度」を保管料に上乗せして支払うことも提案しました。利益の10%ですから、留置権解除の金額と比較すれば割に合う額ではないのですが、“留置権を認めたわけではない、あくまで新規寄託者側の厚意で”と提案したところ、受託者側は留置権の行使をやめた次第です。
しかも今後の保管料のディスカウントも申し出てくれました。「なんとか少しでも高く早く売れるように自分たちも協力するので、今後も引き続きご用命を」との申し入れを受け、昨日第一便が無事に出荷されました。
本件は何億円単位の商売ではないので、互いに裁判などは無意味と思っていました。実は受託者(破産債権者)が一番の被害者と私も認識したので上記のような提案をし、幸運にもそれが功をそうしたようです。
とにかく本件は無事円満に解決できました。
私としては、事実として自分の主張は適切か否かの判断が付かなかったので、お二人のご教示をいただき非常に参考になりました。
本当にありがとうございました。
> 一方で移動を認め、出荷してくれるなら「受ける利益の中の10%程度」を保管料に上乗せして支払うことも提案しました。
> あくまで新規寄託者側の厚意で”と提案したところ、受託者側は留置権の行使をやめた次第です。
>
> しかも今後の保管料のディスカウントも申し出てくれました。「なんとか少しでも高く早く売れるように自分たちも協力するので、今後も引き続きご用命を」との申し入れを受け、昨日第一便が無事に出荷されました。
一件落着よかったですね。
大事なのは、争うことではなく、winwinの関係を築くことですね。
「新規寄託者側の厚意」に対して「保管料のディスカウントも申し出てくれました」とは昨今の世知辛い世の中では、珍しいことですね。liberte40さんの人徳によるものも大きかったのだと思います。
私も勉強になりました。ありがとうございました。
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