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労務管理

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時間外勤務手当について

著者 mt.book さん

最終更新日:2010年12月24日 09:27

社員給与規定の中に「職務手当受給者に対しては特別勤務手当ては支給しない(時間外、休日勤務、深夜勤務、緊急勤務)」とあります。

私は課長代理(組合員)という役職にあり、職務手当てを受給されておりますため、時間外勤務手当は一切支払われません。

今年度は、時間外労働を勤務表に予め組み込む、「組込残業」が高度計画的に取り入れられ、明確な生産ラインへの投入が行われました。

職務上の責任から発生する、労働時間内に処理できない業務に関しては、時間外を要求しておりませんが、社の都合による明らかな生産ライン(私の場合、公共交通機関の運行に携わっており、残業を拒否すると運行に差し支える)での業務に関して、時間外手当てが支払われないことには納得がいきません。

職務手当てを受給されているから、時間外手当は一切支払わない」というのが社の見解です。

これは法律上どうなのでしょうか?

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Re: 時間外勤務手当について

著者Mariaさん

2010年12月24日 11:20

労働基準法における管理監督者は、
時間外割増や休日割増の適用から除外されていますが、
深夜割増については適用されます。
たとえ管理職であっても、労働基準法における管理監督者でない場合は、
時間外割増、休日割増深夜割増のすべてが適用されます。
したがって、mt.bookさんが管理監督者に当たるか否かによって、
支払うべき残業代の範囲が変わってくることになります。

【参考】
厚生労働省発行リーフレット
労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/dl/kanri.pdf

何時間分かの残業代固定残業代として給与に含んで支給すること自体は可能ですから、
職務手当固定残業代に相当するものであることが明示されており、
かつ現に支払うべき残業代管理監督者の場合は深夜割増分のみ)の額が職務手当の範囲内に収まっているのであれば、
別途残業代を支払う必要はありません。
その分の残業代はすでに給与に含まれているからです。
しかしながら、現に支払うべき残業代の額が職務手当の額を上回っている場合には、
差額分を支払う必要があります。
したがって、仮に職務手当固定残業代に相当するものであったとしても、
それを理由に“いっさい”残業代を支払わないということはできず、
現に支払うべき残業代固定残業代の範囲に収まっているかどうかによって、
別途残業代を支払う必要があるかどうかが決まることになります。

Re: 時間外勤務手当について

著者mt.bookさん

2010年12月24日 16:29

大変参考になりました。ありがとうございます。
社の給与規定上、私は管理監督者ということになっていますが、リーフレットを読んだところ、管理監督者とは程遠いような気がします・・・。

2つ質問があります。
①「何時間分かの残業代固定残業代として給与に含んで支給することが可能である」というのは、労働関係法令などで記されているのでしょうか?

②「職務手当てが固定残業代に相当するものであることが明示されている」とは給与規定に明示されなければならないということでしょうか?

これはあくまで、職務手当が支給され、かつ管理監督者ではない為に残業手当が支給されると仮定した場合です。

Re: 時間外勤務手当について

著者Mariaさん

2010年12月25日 15:00

> ①「何時間分かの残業代固定残業代として給与に含んで支給することが可能である」というのは、労働関係法令などで記されているのでしょうか?

労働基準法そのものに規定されているものではありませんが、
過去の判例により、きちんとルールを定めて行えば賃金割増賃金を含めることは適法であるとされています。

【参考】
関西ソニー販売事件 大阪地裁昭63.10.26
http://www.zenkiren.com/jinji/hannrei/shoshi/04035.html
国際情報産業事件 東京地裁平3.8.27
http://www.zenkiren.com/jinji/hannrei/shoshi/05784.html

> ②「職務手当てが固定残業代に相当するものであることが明示されている」とは給与規定に明示されなければならないということでしょうか?
> これはあくまで、職務手当が支給され、かつ管理監督者ではない為に残業手当が支給されると仮定した場合です。

上記リンクの国際情報産業事件では、
「被告は、単に「基本給」又は「基本給と諸手当」の中に時間外賃金相当額が含まれていると主張するだけで、時間外賃金相当額がどれほどになるのかは被告の主張自体からも不明であり、これらによって労働基準法三七条の要求する最低額が支払われているのかどうか、検証するすべもない。そうしてみると、基本給等の中に時間外賃金が含まれていたという被告の主張は採用することができない」
として被告(会社側)の主張が退けられています。
したがって、残業代が含まれているものと主張するには、
雇用契約書就業規則、給与規定等、何かしらの形で、
残業代が含まれている旨と残業代相当額がいくらなのかがわかる証拠が必要で、
それがなければ残業代を含むものとは認められないと言えます。

Re: 時間外勤務手当について

著者mt.bookさん

2010年12月26日 08:49

Mariaさん大変参考になりました。ありがとうございました。

私は労組の執行役員も勤めており、今後「名ばかり管理監督者」問題について、使用者側に何らかの意思表示を行いたいと考えております。このままでは私たちは会社の「ぱしり」状態です。残業代も支払われなければ、年休の消化もほとんど許されない状況です。

確かに労働環境整備は人件費の増加に繋がり会社の経営に大きな圧迫を与えかねませんが、いかなる理由があったとしても、労働時間管理における労務コンプライアンスの未整備はそれ以上に大きなリスクをはらんでいるという気がしてなりません。
将来への希望がなくなる、若い社員の向上心がなくなる、健康障害を起こすなどの人材損失はもうすでに始まっております。

会社への意思表示、第一段階として会社側に就業規則労使協定等に管理監督者の定義と具体的範囲の明文化を要求したいと思います。


事が大きいだけに少しづつ、慎重に進めたいと思います。

その他アドバイスがあれば教えてください。

Re: 時間外勤務手当について

著者Mariaさん

2010年12月26日 12:37

mt.bookさんは労働組合執行役員をなさっているのですね。
貴社の労働組合が、労働組合法における労働組合なのであれば、
この点は、名ばかり管理監督者にあたるのではないか?という点で大きなポイントになるかと思います。

労組法第2条第1項により、以下の者は組合員から除外されることになっています。
役員取締役監査役、理事、監事など)
●雇入・解雇・昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある労働者人事権をもつ上級管理者)
使用者の労働関係についての計画と方針とに関する機密の事項に接し、そのためにその職務上の義務と責任とが当該労働組合の組合員としての誠意と責任とに直接てい触する監督的地位にある労働者労務人事部課の管理者など)

労働基準法における管理監督者の定義と比較してみるとわかりやすいかと思いますが、
上記の非組合員とみなされる範囲は、労働基準法における管理監督者の要件とかぶっているんですよね。
したがって、労働組合の組合員であるという事実から、
労働基準法における管理監督者には該当しないのでは?という点の補強要素になるものと考えられます。
実際、労働基準法における管理監督者に当たらないとされた判例で、
労働組合員であることも判断材料とされたケースが実在します。

また、会社側に労務コンプライアンスの整備も求めていくのでしたら、
それを行わないことによって、会社が被る可能性がある不利益についても提示していくことが大事かと思います。
以下、具体的事例を提示しておきますので、参考になさってください。
グー○ル等で検索すれば、もっとたくさんの判例が見つかると思いますよ。

【参考】
サンド事件(大阪地判昭58.7.12)
http://www.zenkiren.com/jinji/hannrei/shoshi/01277.html
役職手当は支給されているものの、
 重要事項の決定権限はなかったこと、労働組合員であったことやタイムカードの打刻を続けたこと等から、
 労働基準法における管理監督者には当たらず、
 役職手当は、実質的には、原告の当時の時間外・深夜・休日手当分の定額打切支給分というべき性質が強いものであったということができるとして、
 役職手当残業代の一部弁済とみなし、不足分の支払いを命じた判例)

静岡銀行割増賃金等請求事件(〔静岡地判昭53.3.28)
http://www.zenkiren.com/jinji/hannrei/shoshi/01265.html
労働基準法における管理監督者には当たらないとして、
 過去の時間外手当の遡及支払いに加え、附加金の支払いを命じた判例)

東建ジオテック事件(東京地判平14・3・28)
http://www.zenkiren.com/jinji/hannrei/shoshi/07940.html
(一定の権限があったことは認めたものの、経営者と一体的立場にあったとは言いがたく、
 労働基準法における管理監督者には当たらないとして、
 過去の時間外手当のうち、請求時効に達していない分の支払いを命じた判例)


電通事件(最高裁判所第二小法廷判決平成12年3月24日)
http://www.miraikan.go.jp/hourei/case_detail.php?id=20080905124856
過重労働によりうつ病を発症し自殺した事例で、
 長時間労働及び同人の健康状態の悪化を知りながら、
 その労働時間を軽減させるための具体的な措置を取らなかったことは安全配慮義務違反に当たるとして、
 損害賠償命令が出された判例
 控訴上告・差し戻し審を経て、損害賠償金総額約1億6800万円で和解

神奈川(タクシー乗務員)脳梗塞事件(横浜地裁―平成15年(ワ)2513号)
http://miraiwww.miraikan.go.jp/hourei/case_detail.php?id=20101217143321
過重労働による脳梗塞を発症した事例で、
 原告が長時間に及ぶ労働を継続していることを認識しながら、
 被告がこれを黙認・放置したのは、安全配慮義務違反にあたるとして、
 損害賠償命令が出された判例)

Re: 時間外勤務手当について

著者mt.bookさん

2011年01月08日 10:52

mariaさんがくださった資料と、私なりに書籍をよみ、日々、決意が固まっております。

先日、組合の執行委員会を開き、「管理監督者」に関して一石を投じようという結論に達しました。

第一段階
管理監督者チェックシート(社労士事務所ホームページによりダウンロードした)により事実関係の調査を「課長代理」を対象に行う。

第二段階
この度の春闘要求案に「管理監督者の定義と具体的範囲を就業規則に明文化」を盛り込む


労働基準監督署にこの第一、第二段階について相談したところ、第一段階に関しては、
「そのチェックシートにより完全に管理監督者と判断される人は、社長か若しくはその周りのほんの一握りの存在しかない為、あまり現実の会社には即していないが、事実関係の把握と、今後の参考にするためには有効ではないか。」

又、第二段階に関しては
「より従業員に対して透明感を持たせるためとして、良いのではないか」

とのご意見でした。



あくまで最初は「残業代を取り戻したい」というスタンスではなく、今後労使の信頼関係維持するため、というやや控えめなスタンスで、今後活動を展開していきたいと思っております。

また何かあれば相談させていただきます。

mariaさんからのご意見もお待ちしております。
いろいろありがとうございました。

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