相談の広場

このエントリーをはてなブックマークに追加

労務管理

労務管理について、みんなに相談したり、分かるときは教えてあげたりと、相互協力のフォーラムです!

総務の森イチオシ記事が満載: 経営ノウハウの泉(人事労務~働き方対策まで)

試用期間中の休職扱い

著者 アマチュア さん

最終更新日:2006年12月24日 02:32

3ヵ月間の試用期間を設けています。一応、延長規定もあり最大で6ヵ月としてます。
入社1ヵ月目で、私傷病により休職をしなければならない従業員がいます。就業規則には1年未満の従業員は3ヵ月の休職期間を規定してますが、試用期間中の者にもやっぱり与えなければならないのでしょうか?回復状況にもよりますが、休職よりも解雇をしたいと考えています。解雇はできないのでしょうか?それと、今後のことも考えて就業規則試用期間中の私傷病による休職についてどのように規定したらいいのでしょうか?

スポンサーリンク

Re: 試用期間中の休職扱い

著者まゆち☆さん

2006年12月24日 13:37

休職制度は、労働者には法律上で規定はなく、事業主が就業規則等で定めた人事権のひとつです。よって労働者側が請求する性質のものではなく、会社側が命じるもの。就業規則でも適用の要件や手続の上で会社側の命令によることが記載されていると思います。

 よって、私傷病で長期欠勤に入った労働者は当初、年次有給休暇を請求して休みますが、その後は欠勤扱いとなる。ここで会社側が長期欠勤扱いを認めるか、休職を命じるか、退職勧奨するか、試用期間満了後に解雇するか…です。

 解雇については、私傷病の内容、療養期間の見込み期間、後遺障害の有無、さらに既往症による疾病であるか否か、も含めて、合理的理由を立てられれば可能。労基20の手続を踏めば効力上は有効ですが、民事上の問題を念頭に措置することは言うまでもありません。

 なお気になったのですが、①試用期間を3箇月から6箇月まで延長する規定があるとのこと。本来は短縮する規定のほうが無難。また休職規定において、試用期間中の者には適用しない「ことができる」旨の規定があれば非適用の根拠が明確です。この非適用とする根拠は事業者の裁量権の枠内として、要件等の明文化は必要ないと考えます。

Re: 試用期間中の休職扱い

1ヶ月間勤務されて、その評価はどのようなものであるのでしょうか。
試用期間というのは一般に、採用した人の健康、成績、能力など正従業員としての適格性をみるために設けるものであり、その会社の従業員としてふさわしくないと判断された場合は、本採用後よりは解雇が認められやすいとされています。
 でも、無条件に解雇ができるわけではありません。本採用後の解雇より基準が緩やかではありますが、やはり客観的に見て、合理的な理由で、社会通念上相当と認められる理由がある場合のみ、解雇ができます。

 また休職にするのであれば、就業規則の定めどおりとし、たとえ試用期間中であってもその適用を除外する理由は無いと思います。
ただその場合に、復職可否の判断については、客観的に休職事由が消滅(就労可能)したときは当然に認められるのが休職制度であって、会社に裁量の余地はなくなると思われます。
つまり会社は、診断書を提出した医師等の意見を聞き、復職可能かどうかを客観的に判定することができるのであって、それは裁量ではなく確認行為である、と思うのです。
それに、完治していない労働者を軽易な労働につける就労(リハビリ就労)させた場合には、症状悪化または事故発生によって企業責任が求めらることもあります。

 ですから、その病気の程度や、回復後その職務に支障をきたすのか否か、病気がなかったとしたら試用期間後に本採用とできる人材であるのか否か。休職させるか、解雇するかはそれらを総合的に判断することになると思います。

 就業規則はそこで働くすべての労働者についての定めをする必要がありますので、敢えて試用期間中の者に限定した規定を設けるのは、かえって整合性を欠く事になると思いますが。

Re: 試用期間中の休職扱い

著者hirokiさん

2006年12月27日 22:19

就業規則をどのように定めるのかは、基本的には会社の自由だと思います。賃金労働時間、休暇など、もちろん、法令上の基準を満たしておくべき部分はあると思いますが、労働基準法や他の法令の基準以上のことを労働者に課す必要があるのであれば、かつ、社会通念上相当と認められる理由があり合理的なものであれば、会社の考えに基づいて規程を定めることは会社の運営上は必要なことと思いますし、副業の禁止など、実際に法令の基準以上の義務を労働者に課している就業規則はよくあることだと思います。

試用期間中の者の取扱いや休職に関する規定は、まさにそのような事例であり、就業規則においては会社が妥当と考えるルールを定めておけばよいのではないでしょうか。
ただし、試用期間中の解雇については、試用期間が14日を超えた場合には、通常の労働者と同じように30日前に解雇予告が必要といった、法令の基準を考慮すべきところがありますので、実際に該当者が出たときにはこれを意識した対応をとるということを、運営上、心がければよいのではないでしょうか。

今後、試用期間中の従業員には、会社としては休職に関する規程を利用させたくないと考えるのであれば、「試用期間中の従業員休職に関する規定は適用しない」と就業規則に記載することは会社の自由だと思いますし、実際にそのような規定を設けている会社もあるのではないでしょうか(私の会社にもそのような規定はあります)。
そして、そのような従業員は解雇したほうがよいと会社として判断するのであれば、解雇するのも会社の自由ではないかと思います。ただし、その従業員が入社してから15日以上経過しているのであれば、通常の従業員と同じように解雇予告をするなど、法令に順じた適切な手続きをとればよいのではないかと思います。

Re: 試用期間中の休職扱い

著者まゆち☆さん

2006年12月28日 00:14

向学のため、ご意見を賜れればと存じます。
まず試用期間中の労働者を解雇する場合でも、合理的理由が必要との認識はわかります。しかし実際に1ヶ月程度しか就労していない労働者の場合、その雇用関係による賃金労働者の生活の根幹を成す収入とは捉えられず、事業者の事業運営とその有する人事権が、法の要請する雇用維持に劣後するとは思えない。これは有期労働契約が反復なく解消される場合と、反復更新された上での雇い止めの場合の評価が違うことや、さらに社会通念上、合理的理由とされうる出勤不良に準ずる評価が可能であると考えられるからです。

 次に休職制度に関し試用期間中の者を除外する理由ですが、法規制がないことと、実際問題として場合によっては試用期間より休職期間が長い事態が有り得ますから、解雇の猶予措置的な性格さえも持つ休職制度を強制的に適用させることで、使用者側が解雇の機会を失い、その人事権行使を阻害される事態もあります。しかもその間、事業主には雇用関係を維持させることが求められることとなる。これも変な話であり、民事的に休職期間を定める就業規則は、全労働者に斉一的に適用されるべきとの判断に至らないと考えます。

 おそらく労働者保護か、事業主の裁量権のどちらを取るか、の問題であり、実務的には個別事案ごとの判断となるとは思うのですが、同じ試用期間でも初期と終期の評価は違います。よってある意味、この設問は試用期間が1ヶ月経過した時点をどう捉えるか、の問題とも思います。ここで私は使用者側の裁量権を採っているのですが。

 なお、私自身も試用期間中の者には休職制度を適用しない旨の規定を見たことがあります。就業規則は全労働者労働条件を包括的に規定するものではありますが、その適用範囲は個別の規定に影響しないと考えます。これは退職金制度や賞与、昇給等の規定でも同様のこと。よって適用範囲と個別規定の整合性を求める必要はないと考えます。

Re: 試用期間中の休職扱い

実際に1ヶ月程度しか就労していない場合であっても、その前段階では面接があり、会社側はこの時点で採用しようとする者の健康状態の把握もできるはずですし、安衛法では入社時の健康診断も義務付けています。(休職事由が病気のほうならば)既往症もこの時点でわかります。
 そもそも働く意思と能力を持っているからこその応募です。
 つまり、採用したという事実は重く、採用した時点で労働契約が成立し、(といっても試用期間は「解約権留保付労働契約」ですが)それに伴い双方に労働契約上の諸義務が発生、会社の諸義務(賃金支払い…)が発生する。それは試用期間労働者の地位を不安定にする、解約権の行使よりも優先されるべきものと思われます。その上で、

就業規則で「一年未満の従業員は3ヶ月の休職」と規定しているならば、
試用期間であっても当然「3ヶ月」の休職期間を認めなければなりません。
試用期間は「解約権留保付労働契約」であり、
試用期間終了による雇い止めは「留保解約権の行使」、即ち解雇であり、
権利濫用は「客観的に合理的な理由があり社会通念上相当として是認できる場合のみ許される」とする判例法理、労働基準法18条2項などで制限されています。

簡単に解雇することは許されませんし、
試用期間を理由として就業規則などで他の従業員との区別(差別化)規定を設けても「客観的に合理的な理由」「社会通念上相当」とはみなされません。
だから改めて「試用期間」対象の休職規定を設ける必要はないと思うのです。

Re: 試用期間中の休職扱い

著者アマチュアさん

2006年12月29日 02:16

貴重なご意見ありがとうございます。
私としては、本採用後であれば即時解雇は難しいと考えており、就業規則に規定してある3ヵ月の休職期間は認めざる得ないと思っています。確かに暁先生の言うとおり、健康診断を雇入れ時に行っているので会社が把握できたはずと言えばそうなるかもしれませんが、健康診断でその者の健康状態がすべて把握できるものとは限らないと思うのです。
そうすると、まゆちさんが言うような試用期間の短縮を設けて、試用期間中の者は休職適用除外でもいいのかなと思っております。
仮に休職期間終了後、復帰した場合、一応は延長が6ヵ月と定めているのでこの6ヵ月が経過するまでは試用期間としてその者を扱ってよろしいのでしょうか?また、休むようなことがあった場合はどのような扱いをしたらよいのでしょうか?

Re: 試用期間中の休職扱い

著者まゆち☆さん

2006年12月30日 23:29

まだまだ私自身、不勉強なところもあり、追記させていただきます。暁先生、ご多忙のところ済みません…

 暁先生のご意見ですが、現実には面接や入社時の健康診断既往症を含め全てを把握するのは困難です。よく問題となるのは鬱病とてんかんなど。つまり応募者は働く意思と能力を持っていると自認していても、客観的に労働契約履行が可能か、とは別問題と私自身は捉えています。そして労働契約成立により使用者に生じる賃金支払等の刑事責任が果たされたなら、労使双方の民事的な契約関係は対等であり、使用者の解約権行使も社会通念上の客観的な合理性を持つならば、それが優先するか、劣後するかは個別事案ごとの判断によると思うのです。ただ最近は司法の場で労働者側有利の判決が続いていることもあり、世の中全体が労働問題に萎縮し、慎重な対応をせざるを得ないように感じています。

 本件では、設問の試用期間が①会社側の人事権として、一方的命令の命令、処分なのか ②労使合意により有効となる労働者側の提起を要件としているか、で対応が異なると考えます。休職発生事由によりますが、①の場合は休職命令をせずに試用期間中の解雇、退職勧奨へ ②の場合は無条件で休職を認めるか、休職発令の合意をしないか、だと考えます。

 ここで確かに労働者の法的な立場は理解していますが、現実に使用者側が事業活動を行なう必要上、緊急性から人を採用したものの、休職事由が発生することでその者の適正等を見極める本来の試用期間の趣旨が生かされず、さらに自動的に本契約となることで民事的な解雇制限を受けることの合理性が見えません。あくまで本契約成立後に使用者が民事的な責任を負うことは、十分な検討期間としての試用期間があったことが前提となると考えるのです。理由は司法の場で、解雇事案の挙証責任を使用者側に課しているからです。さらに労働者の長期欠勤で使用者側は人員の補充が出来ない訳ですから、試用期間中の者に対しての関係でここまで一方的に使用者にその民事的責任を負わせることの合理性、公平性に疑問を感じるんです。

 なお、労基法第18条の2は、解雇権濫用法理(昭和50年4月25日 日本食塩製造事件 最高裁判決にて確立したもの)を明記していますが、同法上の罰則はなく、裁判や個別労使紛争解決援助制度等の判断によるとしています。よってこの法理も客観的な法理ではあるものの、やはり当設問では前提条件が多少違うと思うのです。また私自身、ネット上で「試用期間休職」で検索したところ、国立・公立大学法人の規定で、試用期間中の者については休職規定について適用除外とする旨の規定が数多くありました。国立大学等の行政法人化の時期より、労基法改正の方が前ですから、この点からも試用期間中の者について休職規定から除外することは不合理である、というのがどうもしっくり来ないのですよね…

 また、設問者のご意見の中で少し気になったのですが、試用期間の短縮事由と休職の発生をリンクさせると、恣意的な不利益取扱が問題となりますからご注意ください。

1~8
(8件中)

    スポンサーリンク

    経営ノウハウの泉より最新記事

    スポンサーリンク

    労働実務事例集

    労働新聞社 監修提供

    法解釈から実務処理までのQ&Aを分類収録

    注目のコラム

    注目の相談スレッド

    PAGE TOP