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偽装請負でしょうか(その2)

著者 ナイトライダー さん

最終更新日:2014年10月06日 23:54

以下は「偽装請負でしょうか(その1)」の続きです。その1を最初にお読みください。

(8)単独型業務の場合、業務従事者は発注者の直営プロジェクトに専門家として派遣されて業務を実施する、或いは発注者が海外に派遣する直営調査団の団員として業務を実施することが多々あります。それらの場合、必然的に、業務従事者は発注者側職員である技術協力プロジェクトのリーダーや調査団長の管理監督下で直接指示を受けて業務に従事することになります。発注者は、契約書では「協働」という言葉が用いて、業務従事は発注者側職員と対等な立場で独立して仕事をしていると説明するのでしょうが、それは机上の理屈で、現場の実態は発注者側職員が業務従事者を使って仕事をするのです。これは偽装請負ではないですか?

(9契約に基づき、)受注者は発注者に中間報告書を提出します。発注者は、報告書の内容に関して受注者に文書でコメントします。コメントには、質問ばかりではなく、仕様書に無い作業指示も含まれます。発注者側職員が、契約仕様書を読まずに好き勝手なコメントをして、契約外の作業を要求するのです。そもそも「発注者のコメントに対応する」という作業自体が契約仕様書に記載されていません。発注者が、契約時に仕様書に記載されていないにも拘らず、中間報告書を見て思いついた作業を契約変更しないで追加して、業務従事者に無償で作業させる行為は優越底地位の濫用ではないですか?また、発注者が、仕様書に書かれていない業務を、管理責任者(業務主任、または業務管理者)に直接指示することは偽装請負になりますか?

(10)業務従事者は通常は1~3か月、長い場合は11か月間の海外長期出張契約業務を履行します。その出張期間中、発注者は業務従事者を出張先(業務実施国)で終始拘束します。たとえ休日であっても、業務従事者は発注者側監督職員の許可なく他の社用や休養のために業務地を離れることを禁止されます。発注者は「業務従事者が業務対象国内や隣国で他の社用を行うことや休養を取ることは、業務に支障が無いと判断すれば許可する」としています(公用旅券で渡航する場合は業務対象国と経由国しか入国できないので、近隣国へ行くことはできません)。請負契約では、請負労働者労務管理及び指揮監督するのは受注者の責務です。上記のように、発注者が業務従事者(請負労働者)を拘束し、管理することは偽装請負ではありませんか?

(11)単独型業務では、発注者が自らの一方的な都合で業務従事者に臨時会計役を委託して現地業務費(直接経費)を仮払いし、その業務従事者が帰国する際に精算する場合があります。請負契約で、このように発注者が請負労働者(業務従事者)に直接経費を仮払いし、後日領収証と残額で精算する行為は偽装請負ではありませんか?

(12)業務の履行中に、受注者が病気等の止むを得ない理由で業務従事者を交代させる場合、受注者は交代要員の経歴書を発注者に提出して、発注者の承認を得なければなりません。発注者が「No」と言えば、交代させることができません。請負契約であるにも拘らず、請負労働者を決定する裁量が受注者になく、発注者が決定権を持っているのです。これは偽装請負ではないですか?

(13)業務の履行に際して、発注者が一方的な都合で便宜供与と称して、発注者が現地で所有する車両(運転手付の場合も有り)を受注者に貸与し、業務従事者がそれを使用することを強制します。発注者が所有する車両には、発注者マークであるの大きなステッカーが貼られているため、業務従事者はコンサルタント企業の社員であるにも拘らず現地の人々には発注者の職員と頻繁に勘違いされます。また発注者所有の運転手付車両の場合、請負業務を実施するために土日に車両を使用したくても、発注者側が内規によって使用できず業務に支障をきたす場合があります。また発注者側の人が、業務従事者が現地の人々に紹介されるときに、発注者名、プロジェクト名、専門分野、氏名を言うのですが、会社名を言いません。このような状況で請負業務を履行することは偽装請負ではありませんか?

帰国後

(14)業務完了後、発注者は成果品の検査をします。しかし、公示から業務完了まで、更に業務完了後でさえも発注者は成果品の検査・合格基準を受注者に示しません。成果品に対する対価を支払う契約では、公示段階で成果品の詳細な仕様や検査・合格基準を明らかにしなければなりません。発注者が成果品の詳細かつ客観的な仕様を確定して受注者に示さなければ、受注者は完成させる成果品がわからなければ、完成させる方法や費用をプロポーザルに書くことができません。仕様が確定しなければ、検査の合否は発注者が恣意的に決めることになります。成果品の検査・合格基準を確定させない請負契約が法的に許されるのですか?

(15)請負契約では、成果品が検査に合格すると、受注者は発注者に契約金額を請求して支払いを受けます。しかし、当該発注者の場合は、発注者は、受注者に全ての領収証を提出させ、契約金額を上限として直接経費を実費精算して、一方的に精算金額(受注者に支払う金額)を確定します。「契約金額を上限とする」とは、実費が契約金額を超えた場合には発注者は契約金額を精算金額とし、超過分は受注者に負担させます。一方、実費が契約金額より少ない場合は、発注者は実費を精算金額とします。これでは受注者が経費から利益を出すことは不可能です。このような契約金額を上限とする実費精算が片務的請負契約は違法ではないですか?

(16)発注者は、直接経費と同様、直接人件費も業務従事者の人月の実績で業務完了時に精算し、精算金額(受注者に支払う金額)を確定します。発注者は、1人月に対して受注者に支払う金額を「直接人件費月額単価」、総人月に対する金額を「直接人件費」と呼ぶ一方で、人月は業務量の単位であると主張します。業務実施契約は発注者が受注者に対して成果品の対価を支払う契約であり、人月が業務量ならば、業務従事者が実際に業務に費やした日数に関係なく契約金額が支払われるはずです。しかし、実態は違います。例えば、業務従事者が、社用や私事(身内の葬式など)で業務実施国を一時的に出国した場合は、たとえ成果品が検査に合格しても、発注者は精算時にその業務従事者が業務実施国を離れていた日数分の直接人件費(直接人件費月額単価÷30×日数)を契約金額から減額します。また、発注者は業務従事者が海外出張中に週2日休日を取ることを認めていますが、業務従事者が出張中に努力(残業や休日労働など)して成果品を早く完成させて予定より早く帰国すると、やはり成果品が検査に合格しても、発注者は出張を短縮した日数分の直接人件費を精算時に契約金額から減額します。つまり、発注者が受注者へ支払う金は、成果品の対価ではなく、業務従事者が実際に業務に費やした日数、すなわち労働に対する報酬です。これは偽装請負ではありませんか?

当該独法は、我国で唯一のODA実施機関であり、ODA業務の発注を独占しているため、受注者に対して高飛車で、著しい片務的契約を締結するのです。

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Re: 偽装請負でしょうか(その2)

著者hitokoto2008さん

2014年10月07日 14:27

あまりに大量な内容ですので、掲示板で個別内容について言及していくのは難しい気がします。
弁護士さんにリーガルチェックしてもらうことをお勧めいたします。
業務委託契約請負の内容は、法律上は確かにおっしゃるとおりですが、現実にその通り行われているのかは疑わしいです。
ただ、問題は、その契約書は統一様式なはずですから、多くのコンサルタント企業がそれに応じているはずですね。
個別内容の見直しはあっても、大きな変更はないだろうというのが認識です。
場合によっては、企業によって特約条項を設けているかもしれませんね。
請負契約といいながら、金額の大きい案件については、発注者がその人選まで口を出すのが一般的です。
それを拒否すれば、受注そのものができなくなくおそれがあります。
契約書契約書として、個別内容について問題が発生しそうな部分については、最低限取り扱いを書面で取り決めて(打ち合わせ記録でもよい)おいたほうがよいかもしれません。

契約解除条項には、損害賠償の請求と指示に従わない場合の解約も記載されているはずです。
発注者側は、万が一にも損をしないように契約書を作成しますから、本質は、請負金額の総額が採算ラインにあるかが問題になるでしょうね。

Re: 偽装請負でしょうか(その2)

著者いつかいりさん

2014年10月07日 20:53

偽装請負の何が問題なのかといえば、雇用契約関係にない赤の他人を使用従属させてはいけない、というのが要でしょう。

子細に読んだわけではありませんが、前半の問題提起では、5)以外には問題を見出せません。5)自体も偽装請負とは関係のないところに、問題があります。

この後段では、雇用関係にない人間に指揮命令し使用従属させている問題を見受けますが、実行地は日本法の及ばない国外です。偽装請負に関して取締る法規に国外犯、身分犯(行為者が公務員であること)といった種々の規定がないことには刑事罰は問えません。前半の契約行為も刑法罪に該当するのかわかりません。

そうなるとあとは民事訴訟も辞さない構えで、独行相手に当事者間でとことん糾弾する道しかないと思います。

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