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退職給付企業年金の給付算定期間について

最終更新日:2014年11月28日 12:04

みなさんこんにちは。

私は、とある企業で人事を担当しています。
当社の退職金の制度は、確定給付企業年金を用いています。
育児勤務など短時間勤務者については、就業規則勤務時間を1日4時間以上とし
退職金算定は勤続年数の1/2を参入すると定めています。
ところが、東京労働局の巡回時に、全員1/2の算定ではおかしいのではないか?
との指摘を受けました。

退職金の運営は、信託銀行にお願いしていますが、今までの銀行への届け出は、
100%か短時間勤務になると1/2のいずれかしかありません。

そこで、
退職給付年金の制度で、数種類に算定期間を変更できるのか。
銀行にできないと断られる場合があるのか
確定拠出年金であれば可能か。

など、不明な点が多くあります。

どなたか、お答えいただけると助かります。

よろしくお願いいたします。

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Re: 退職給付企業年金の給付算定期間について

著者みなとみらい人事コンサルティングさん (専門家)

2014年12月09日 20:21

> 当社の退職金の制度は、確定給付企業年金を用いています。
> 育児勤務など短時間勤務者については、就業規則勤務時間を1日4時間以上とし
> 退職金算定は勤続年数の1/2を参入すると定めています。
> ところが、東京労働局の巡回時に、全員1/2の算定ではおかしいのではないか?
> との指摘を受けました。


確定給付企業年金であっても、確定拠出年金であっても、
規約には厚生労働大臣の承認が必要です。

今回指摘を受けたのは、規約の内容、つまり、短時間労働者を、
1日4時間以上8時間未満の間で労働時間に長短があるにも関わらず、
一律2分の1にすることが、パートタイム労働法8条等に規定する
短時間労働者の待遇を通常の労働者(正社員)と異なるものとする場合、
その相違は不合理と認められるものであってはならない」主旨に
違反する可能性があるからだと思われます。

労働局は労働基準法等(パートタイム法も含む)の法律に
抵触するおそれがある規約の場合、
それが承認されることは法の主旨にも反しますから、
例えば1日4時間でも6時間でも一律2分の1では、
6時間勤務の労働者にとっては不合理であり、
労働時間に応じた算定期間を設定する必要があると判断されたのだと思います。


> 退職金の運営は、信託銀行にお願いしていますが、今までの銀行への届け出は、
> 100%か短時間勤務になると1/2のいずれかしかありません。
>
> そこで、
> 退職給付年金の制度で、数種類に算定期間を変更できるのか。

確定給付企業年金は、規約型か基金型によって異なります。
規約型とは、会社の労使が合意した年金規約に基づき、
会社が外部の信託銀行等と契約を締結し、年金資金を管理・運用し、給付を行うものです。
基金型とは、会社とは別法人の基金を設立した上で、
その基金が管理・運用、給付を行うものです。

ご質問の内容から、御社は基金型と判断されます。
この場合、会社の労使の合意で年金規約を制定しますので、
当然、労使の合意があれば規約の内容は原則自由です。
従って、算定期間を複数設定することは可能です。

> 銀行にできないと断られる場合があるのか

確定給付企業年金はその名の通り、確定給付型
(予め将来の給付水準を確定する年金制度)です。
掛金は運用実績に応じて変動し、運用リスクは企業が負います。
つまり、運用に失敗したからと言って、将来の給付水準を下げることはできません。

従って、複数算定期間を設定し、この場合、短時間労働者を一律2分の1とするのではなく、
労働時間に応じて、4分の3等の選択を増やす、つまり、将来の給付が多くなるわけですから、
これは当然、会社及び運営を委託される信託銀行にとってもリスクが高まります。
更に、会社の掛金は当然高くなります。

ただし、規約そのものを厚生労働大臣が承認してくれなければ、
この年金自体無くなってしまいますので、
銀行側とは御社の掛金の引き上げや信託銀行への手数料等も含め、
契約の見直しを進めて行く、ということになります。


> 確定拠出年金であれば可能か。

確定拠出年金(企業型年金)においても、
過半数労働組合等の同意を得て規約を作成し、
厚生労働大臣の承認を受けて実施しますから、
当然、前記同意があれば規約の内容は原則自由です。
従って、算定期間を複数設定することは可能です。

また、こちらは将来の給付水準を確定する必要は無いので、
確定給付企業年金に比べ、会社の運用リスクは低くなりますが、
将来の給付が多くなることには変わりないので、同様に掛金は増えます。

いずれにせよ、信託銀行担当者とご相談されることをお勧めします。
信託銀行も民間ですから、契約の見直しに応じない可能性はありますが、
それを理由にしてこの労働局からの指摘を放置することは妥当ではないので、
その場合、年金を維持するのであれば、別の信託銀行等と契約し、
是正した規約をもって年金を運営していくことになります。

ご不明な点等ありましたら、また追加でご質問下さい。

Re: 退職給付企業年金の給付算定期間について

みなとみらい人事コンサルティング 様

いつもお世話になっております。

質問に対し、ご丁寧に回答いただきましてありがとうございました。
単純に、対銀行間との話だけでは進まないこともわかり、勉強させていただきました。

回答の内容を拝見する限り、銀行だけでなく、労働局(関東信越厚生局)にも相談に行くべきでしょうか。
また、別の信託銀行と契約し・・・とありますが、それも可能なのでしょうか。

あまりに知識がなく、申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

Re: 退職給付企業年金の給付算定期間について

著者みなとみらい人事コンサルティングさん (専門家)

2014年12月09日 20:27

> みなとみらい人事コンサルティング 様
>
> いつもお世話になっております。
>
> 質問に対し、ご丁寧に回答いただきましてありがとうございました。
> 単純に、対銀行間との話だけでは進まないこともわかり、勉強させていただきました。

こちらこそ、少しでもお役に立てれば幸いです。


>
> 回答の内容を拝見する限り、銀行だけでなく、労働局(関東信越厚生局)にも相談に行くべきでしょうか。

仰る通り、担当の窓口にご相談されるのもよろしいかと思います。
確定給付企業年金の認可、承認及び指導監督等について」
関東信越厚生局 健康福祉部 年金課
http://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/gyomu/bu_ka/nenkin/gyomu/kyufu.html

パートタイム労働法について」
東京労働局 雇用均等室 
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/roudoukyoku/roudoukyoku/organization_x.html
あるいは管轄労働基準監督署
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/kantoku/list.html


> また、別の信託銀行と契約し・・・とありますが、それも可能なのでしょうか。

確定給付企業年金は、必ず外部の信託銀行等に運営して貰わなければなりません。
従って、現在の信託銀行との契約が解除ということになれば、
再度、別の信託銀行と契約し、新たな規約を作成し、承認を受ける必要があります。
運営する信託銀行がなければ、基金が廃止ということになります。

> あまりに知識がなく、申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

我々はそのための専門家であり、
そのためのこの「総務の森」ですから、お気軽にご相談下さい。
ご不明な点等ありましたら、またいつでもお問合せ下さい。

Re: 退職給付企業年金の給付算定期間について

みなとみらい人事コンサルティング 様

いつもお世話になっております。

今回も、丁寧なご回答ありがとうございました。
やや時間のかかる問題と思われますが、銀行も含めて
納得できる制度にしていきたいと思います。
何かの節は、またご相談させていただきます。

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