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常勤で働きながら65時点で厚生年金脱退の可否

著者 raku0000 さん

最終更新日:2018年12月07日 16:51

弊社の役員から65歳時点での厚生年金脱退の可否を相談されました。
通常70歳時に繰下げ受給すれば、年金の繰下げ効果は42%になりますが、給料が高い場合、繰り下げても大部分はカットされているため、繰下げ効果は殆どないとのことです。
そこで、常勤で働いていて、65歳時に厚生年金から脱退し、70歳時に繰下げ受給すれば、満額効果が得られるのではないかと言うのです。
そのあたりの仕組みをご存知の方、教示頂けると有難いです。
それが可能な場合、不利益なこと、例えば健康保険料、税金等についてもよろしくお願いします。

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Re: 常勤で働きながら65時点で厚生年金脱退の可否

著者村の平民さん

2018年12月08日 13:14

著者 raku0000 さん最終更新日:2018年12月07日 16:51について私見を述べます。

① 厚生年金保険被保険者(以下「年金被保険者」)の資格を失わない限り、任意に厚生年金を脱退することは出来ません。

② 年金被保険者でなくなるためには、分かりやすく言えば週所定労務時間が30時間未満(以下「短時間勤務」)になることです。但し、当然のことながら偽装は違法です。偽装が判明したらペナルティがあります。

③ 60歳を超えていたら、国民年金に加入することはありません。

④ 短時間勤務になると、それに合わせて健康保険被保険者資格も失います。
 そうなれば医療保険がなくなるので、⑴任意継続被保険者になるか、⑵国民健康保険被保険者になるか、⑶同一家族の健康保険扶養家族になるかのいずれかです。

⑤ 前記の⑴になると、従前の健康保険料の原則2倍の保険料を負担しなければなりません。⑵の場合は、保険料は住所地の市町村によって異なります。一般的に会社の健康保険料よりも高額だと言われています。⑶は要件が複雑なのでにわかに回答できません。これになれば健康保険料負担はゼロになります。ただし、年収が180万円以上であればなれません。

⑥ 税金については、各人の年収を基礎とするので、この程度の資料では評価困難です。

⑦  なお、先刻ご存知のように、給与が高ければ年金支給額と調整され、給与金額が一定額よりも高額の場合は年金支給が停止されることがあります。
 しかし、年金支給開始年齢を繰り下げた場合に、受給額を割り増しされ多くなるのは、前段に述べた給与との調整後の支給額を基礎とするのではなく、調整前の基本支給額に対して割り増しします。
 従って、繰り下げ支給開始前の実支給額とは大幅に異なる可能性が大です。
 ただし、一旦支給開始されていたならば、その後において支給を任意に停止して、70歳以後になって再度支給を開始することは認められません。これは原則的に受給権を辞退することになります。

⑧ 狙いは理解できますが、国法を無視した自己利益中心の考えなので賛成しがたいことです。
 年金法は基本的には上に薄く下に厚い制度です。相互扶助の精神が活かされています。高額収入があり、従業員に範を垂れるべき役員が、我利我利亡者のような考えを下のものに恥じらいもなく相談されることは、感心できず寒心します。

Re: 常勤で働きながら65時点で厚生年金脱退の可否

著者プロを目指す卵さん

2018年12月08日 17:39

> 弊社の役員から65歳時点での厚生年金脱退の可否を相談されました。
> 通常70歳時に繰下げ受給すれば、年金の繰下げ効果は42%になりますが、給料が高い場合、繰り下げても大部分はカットされているため、繰下げ効果は殆どないとのことです。
> そこで、常勤で働いていて、65歳時に厚生年金から脱退し、70歳時に繰下げ受給すれば、満額効果が得られるのではないかと言うのです。
> そのあたりの仕組みをご存知の方、教示頂けると有難いです。
> それが可能な場合、不利益なこと、例えば健康保険料、税金等についてもよろしくお願いします。


考慮する事項は3つあると考えます。

1:65歳時点での脱退
現在被保険者である者が脱退(被保険者でなくなる。)するには、①退職する。②被保険者要件に該当しない労働条件に変更する。が考えられます。
常勤役員として引き続き勤務する意向のようですから、①には該当しません。労働者であれば②によって被保険者に留まれない労働条件に変更というのが考えられますが、役員の場合は、完全な非常勤または無給以外は、その勤務条件は考慮されずに(役員は365日、24時間勤務)被保険者とされますから、常勤役員として引き続き勤務し、相応の給与を受けるのであれば、抜けることはできません。

2:70歳からの受給額
老齢年金の受給開始を70歳まで繰り下げれば42%増の年金になる。70歳になれば厚生年金被保険者ではなくなりますから、在職老齢年金制度の調整が無くなり、42%増額された年金を減額されることなく満額受け取れると当該役員さんはお考えなのかもしれませんが、70歳以上であっても、貴社に在籍して給与(役員なら報酬?)を受け取るのであれば、その旨の届を会社は年金機構に提出しなければなりません。年金機構はその届を基に、70歳以降も65歳以降の調整(高在老)の制度に基づき年金額の調整を行います。

3:その他
通常、年金制度というと、老齢年金が中心になります。が、老齢年金だけが年金制度ではありません。相応の年齢になれが障害による障害年金や、死亡による遺族年金も考えなければなりません。これらには当然のこととして、老齢年金とは別の受給要件がありますから、被保険者でなかったために受給できない事態も有り得ます。

以下は私の実体験です。

中学卒業後に社会人となり、長期間厚生年金に加入していた社員が、通常よりも若い年齢段階で老齢年金を受給できる(長期加入の特例)からとして、勤務時間と日数を減らした労働条件へ変更して年金から抜けた(年金の被保険者でなくなった)人がいました。その手続きなどを私は調べ、本人の希望に基づき被保険者資格喪失としました。通常勤務時の給与だけよりも、減額となった給与+老齢年金の方が多いからというのが理由でした。成人になったにも拘わらず、自宅でブラブラしている無職の息子の面倒を見なければならず、少しでも収入を増やして生活費に充てたかったようでした。
ところば、その人はその後の在職中に脳出血(労災ではない)から1級の障害状態になり、退職を余儀なくされました。障害発症時に被保険者でなかったため、1級の障害年金(老齢年金の25%増)が受給できませんでした。抜けると、障害に対応できなくなることを充分に説明できなかった点に悔いが残りました。

加入できる条件が揃っているなら加入を継続すべきです。変な小細工はしないことです。70歳まで加入すれば、その後に受給する老齢年金額は確実に増えます。もっとも、死ぬまで今の常勤役員を続けて今の給与を受け取れる保証が100%あるなら別ですが。

Re: 常勤で働きながら65時点で厚生年金脱退の可否

著者raku0000さん

2018年12月10日 10:25

村の平民さん 回答有難うございました。
常勤であれば、脱退することは出来ないのですね。健康保険料も国民保険料に対して高額になる不利もあることが分かりました。有難うございました。

すみません、1点、再確認させてください。

>しかし、年金支給開始年齢を繰り下げた場合に、受給額を割り増しされ多くなるのは、前段に述べた給与との調整後の支給額を基礎とするのではなく、調整前の基本支給額に対して割り増しします。

これでいくと、65歳で給料の多寡によらず、繰り下げ効果は同じだということでしょうか?
よろしくお願いします。

Re: 常勤で働きながら65時点で厚生年金脱退の可否

著者raku0000さん

2018年12月10日 10:27

プロを目指す卵さん 回答有難うございました。

実体験からの説明、有難うございました。障害年金遺族年金の要素もありますね。理解しました。有難うございました。

Re: 常勤で働きながら65時点で厚生年金脱退の可否

著者村の平民さん

2018年12月10日 12:49

著者 raku0000 さん最終更新日:2018年12月10日 10:25について私見を述べます。

① 再質問「65歳で給料の多寡によらず、繰り下げ効果は同じだということでしょうか?」に対しての回答です。

② 限られた総務の森で、設例を挙げて説明するのはシロウトには甚だ困難です。

③ 言えることは、年金支給開始を65歳にした場合にくらべ、70歳にした場合は、基本的に年金額が大幅に増えます。

③ 65歳時点と70歳時点の給与が同額であれば、70歳時点の方が年金と給与の差が大きくなります。従って、どちらの時点でも同様に調整されるとしたら、70歳時点の方が差引支給額が大きくなります。
 70歳支給開始した方が、給与と調整されても有利であることは間違いありません。

④ それ故、前回のように書きました。

⑤ しかし、一旦65歳時点で年金支給開始すれば、その後において70歳支給開始に変更できません。

⑥ また、70歳までは受給できないことを前提に70歳支給開始にするのですから、それまでに死亡したら一切年金はゼロです。また70歳までに調整されて少なくなっているといえども年金を受給していますが、70歳以後早く死亡すると、損になり取り返しは出来ません。

⑦ 年金支給開始年齢をいつにするかは、一種の賭です。80歳前後までに早く死ぬ予定であれば可能な限り若いときに受給開始し、80歳前後を超えて長生きする予定であれば可能な限り年老いてから受給開始しましょう。
 (当時はそれが基本だったので)私事ですが、60歳の時に支給開始申請しました。現在86歳です。その当時でも65歳開始すれば41%受給額が増えました。もし開始年齢を65歳にしていたら月額50万円超になっていたのにと残念です。

⑧ 順不同ですが、会社の健康保険国民健康保険より高額になるとの理解は誤りです。私の説明に不十分な点があったようです。
 一般的には会社の方が本人にとっては有利だと言われています。その実例を多く知っています。

⑨ 質問文の
 「年金支給開始年齢を繰り下げた場合に、受給額を割り増しされ多くなるのは、前段に述べた給与との調整後の支給額を基礎とするのではなく、調整前の基本支給額に対して割り増しします。
 これでいくと、65歳で給料の多寡によらず、繰り下げ効果は同じだということでしょうか?」
 に対しては、文意の読み違えと思います。繰り下げ効果があります。
 しかし、繰り返すようですが、一旦受給開始申請をすれば、繰り下げ申請は出来ません。
 不審であれば年金機構(年金事務所)で聞いて下さい。

Re: 常勤で働きながら65時点で厚生年金脱退の可否

著者raku0000さん

2018年12月10日 15:00

村の平民さん 懇切丁寧に教えて頂きまして、有難うございます。

ご自身で経験された上での助言に説得力があります。
ご教示頂いたことを役員の方へ伝えます。
有難うございました。

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