相談の広場
ASP(SaaSともほとんど同義)における著作権の質問をさせていただきます。
あるソフトウェア(顧客が数値を入力 その数値を分析して結果を出すソフトウェア 「ASPソフトウェア」とします)をASP業者のサーバに格納 インターネットを通じ顧客(企業)に提供し、顧客が社内の複数人がASPソフトウェアを使用する契約の場合です。
この場合の契約類型は、(著作権法上は使用権は無いので、)民法に基づく賃貸借契約となると思うのですが、ASPソフトウェアが出した分析結果のデータの著作権は誰の所有物でしょうか。
ASPソフトウェアの著作権がASP業者にある以上、分析結果データの著作権はASP業者が保有していると考えていますが、正しいでしょうか?
もし、分析結果データの著作権がASP業者にある場合は、その分析結果データを加工、配布、複製、再公衆送信する場合は、利用許諾契約にて著作権法上の利用許諾を得る必要があると考えています。
賃貸借における使用の結果から当然に、著作権上の利用権も取得する事があるのかな?と考え、頭が混乱しています。
当方が提供業者側なので、分析結果データの著作権は主張したいと考えています。
出来れば、判例、学説、ガイドライン等の参考資料を御紹介いただけると大変助かります。
宜しくお願いいたします。
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外資社員さんのおっしゃること、そのとおりと
思います。
思想の表白のないものは著作物とは思えず、
蓄積してなにがしかの検索方法を考案し
思想の表白の顕著なDBでもできあがれば
また、別でしょうが。
単なるデータ(例:日々の株価)を入力して、
便利な出力(例:グラフ表示)や
学術的独創性ある出力が得られても
実用のレベルにとどまるのではないでしょうか?
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三省堂、判例六法の著作権法第2条の判例の項など
参考になると思います。
ここで、それを書き出すと外資社員さんの多面的で
丁寧な長文を更に上回る長文になってしまいます。
少なくても私はご容赦下さい。
こんにちは
まず第一に、データに対する著作権自体が,どちらにも存在しないと思います。 それは帰属の問題ではなく、権利自体が認められないという意味です。
一般の著作権は、計算結果や数値の羅列そのものみは認めらません。 それに著作権が生じるとすれば、データを利用して分析や解析をした思考の結果や著述に対してです。
書き込みからは不明ですが”分析結果データの著作権”と書くには何らかの思考が行われたと思います。その点をまずはっきりとしてみたら如何でしょうか。
一方では、ソフトウエアそのものに対しては著作権は当然に認められます。 その使用契約の中では、一般通年としてソフトウエアにより発生させられたデータに対しては、元データが契約者に帰属するならば、発生したデータもその延長上にあると考えるのが通常でしょう。
ここでいう帰属とは、著作権という意味ではなく、その情報が誰のものかという意味で、権利でいえば利用権や開示面になります。
それらに対して権利主張をするならば、使用契約の中で明確に特約として「ソフトウエアの利用結果も、ソフトウエアの著作権者に帰属する」と明示され合意されている必要があります。
それがあれば、状況は変わりますが、そのような特約があれば、私ならば契約を結びません。
例えて言えば、表計算ソフトの使用許諾に、計算結果は表計算ソフトの権利者に帰属するとの特約があるようなものと思います。 ご質問の状況は同じでしょうか。
もう一つ、不明なのは、著作権の主張が真の目的なのでしょうか?
それとも、著作権により保障される、情報開示とか、利用権が必要なのでしょうか? 目的により、対応方法があるかもしれません。
外資社員さん
行政書士中村三郎事務所さん
多面的な見地からの御返答大変感謝しております。
「思考の結果」や「思想の表白の顕著な」ものであれば、著作権を主張できるとの事ですので、分析結果データに当方の著作権が在る方向で考えたいと思っています。
このASPソフトウェアは、ある情報を入力した結果、一種のDBを作成し、その傾向を分析し予測まで行ったデータを出力することが出来るものです。(あまり詳しく書けないのですが…)
著作権主張の主旨は、分析結果のDBや予測値は、他のソフトウェアへの転用やデータ自体を第三者に開示することにより、利益を生む可能性がある(当方のビジネスモデルの根幹でもあります)ため、分析結果データを転用する際には再度その転用に関して契約による料金を発生させたい事と、著作権法上の強い制裁による契約違反の抑止効果を期待したいと考えているためです。
実際の著作性の認定は、司法に委ねるとして(もしそうなればですが)、外資社員さんのおっしゃるとおり、契約書内に「「ソフトウエアの利用結果も、ソフトウエアの著作権者に帰属する」と明示」して対応したいと思います。
追質問となってしまいますが、入力される顧客のデータに著作権がある場合(顧客のDBなど)は、分析結果データが顧客DBの同一性を完全に排除していない場合は、二次的著作物としての取扱で問題ないでしょうか。
逆に言えば、DBが完全に加工され、再現不能、DBの構成要素のデータのみを使用した、分析結果データは二次的著作物とならないとの考えです。
もし、二次的著作物となるの場合は、黙示の単独使用の合意の推定(キャンディ・キャンディ事件判決)を避けるため、契約上で明示的に、単独使用の禁止を謳おうと思ってます。
すでに判例等があるかもしれませんが、質問させていただきました。
いまだ、判例六法を紐解いていないので、早速購入し、判例の確認を行います。
宜しくお願いします。
TigreBiancoさん
著作権の観点から、興味深い問題だと思いますが、まず現実的な観点から。
契約(使用許諾等)により、生成されたデータへの権利を求める特約が存在していれば、その権利は主張できます。
ただし、相手が「著作権が存在しない」ことを理由に特約の無効を申し立ててくれば、おっしゃるような観点での裁判なり話し合いになるのだと思います。
この点の有効性については、仕様詳細を理解した上での解釈が必要ですので、専門家に相談されることをお勧めします。
著作権を主張できても、権利を守れることや、それを対価に結び付けるには、別の枠組みや仕掛けが必要です。
特許、著作権など知的財産権を権利行使し対価に結び付けることは、大変な作業です。 ですから、ソフトウエア等にそのような権利保護ができるような仕組みを組み込むことができればよいのだと思います。
以上 ご参考まで。
横レス失礼します。
まず、本件のような著作権使用許諾契約(ライセンス契約)は、さまざまな要素を含んだ非定型契約であります。
これには、民法上の賃貸借契約も要素として含まれていますが、これだけを基に解釈するのは難しいです。
それから、他の方がおっしゃる通り、データには著作権はありません。
参考に、著作権法上、著作者となる者は、著作物を実際に創作した者です。
これと類似するケースに例えて、パソコンソフトを使用してデザインや文章(著作物)を作成した場合、ユーザーが創作したものなので、ユーザーが著作者となります。
これを考えると、分析結果のデータの権利はあくまでユーザーのものなので、弊社がデータについても権利を主張するのはちょっと無理があるのかと思います。
入力される顧客のデータに著作権がある場合(顧客のDBなど)は、分析結果データが顧客DBの同一性を完全に排除していない場合は、二次的著作物としての取扱で問題ないでしょうか。
この部分ですが、原著作とその翻訳物と同様の関係と考えられれば、翻訳:二次著作物にも著作権が生じます。
ただし、原著作者の許諾がない二次著作物は、原著作物に対する著作権侵害となる可能性があります。ですから、二次著作物の権利を行使するには、原著作者の許諾が必須と思います。それを現実的に行うのは難しいようにも思います。
個別の許諾は不可能でしょうし、ソフトウエアの使用許諾に盛り込むと範囲が大きすぎで承諾を得られるとは思えませんし、私なら合意しません、利用者に対して許諾を要求する特約が出来れば簡単ですが、それが公序良俗に反すると言われる危険があるように思います。
また、これらの前提は、元になるデータに著作権が認めらられ、かつソフトウエアの処理に対して思考の結果が認められる必要があります。 ソフトウエア等による生成物に対する判断は、まだ見解が様々あり、この点は私には不明です。
> 出来れば、判例、学説、ガイドライン等の参考資料を御紹介いただけると大変助かります。
ネット調査結果ですが・・。
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1.コンピュータ創作物
誰でも手軽に作品系FLASHコンテンツの音楽パートを自動生成するシステム
著作権の不要な「リアルタイム作曲」BGMを生成応用の可能性
http://nagasm.suac.net/ASL/IPSJ0603/index.html
2.契約
(7)お客様は、本ソフトウェアによる生成物を商品として販売することはできません。
http://shop.vector.co.jp/service/servlet/Catalogue.Agree.Top?ITEM_NO=SR015873&URL=NCart.Add%3FITEM_NO%3DSR015873
3.コンピュータ創作物に関する著作権問題について
○著作権審議会第9小委員会(コンピュータ創作物関係)報告書
平成5年11月 文化庁
http://www.cric.or.jp/houkoku/h5_11_2/h5_11_2.html
外資社員さん
御返信ありがとうございます。
>翻訳:二次著作物にも著作権が生じます。
文献等を調べたのですが、おっしゃるとおり、翻訳(翻案)にあたるようですね。
当方の契約ですと、DBの著作権を持っているのが顧客で、分析結果データの使用を制限したい当事者も顧客なので、何とか契約に織り込むようにしてみようと思います。
又、分析結果データを顧客が勝手に第三者に商業的に開示などを行わないようにすることが主眼ですので、二次的著作物性がある場合は「分析結果データの譲渡、複製等の著作権の行使は、相手方の承諾を得なければこれを行ってはならない」として制限をかけたいと思います。
顧客(所有の)DBとの同一性を完全に排除できるほどの分析結果データの場合は、「分析結果データの知的財産権は、原始的又は譲渡により、当方に帰属する。」として、当方に所属する形を取ろうかと思います。(少々強引ですが…)
さまざまな御意見ありがとうございました。
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