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TOP > 記事一覧 > 総務・法務 > 何が変わった?2022年4月の育児・介護休業法改正における中小企業の対応ポイント【社労士が解説】
育児・介護休業法

何が変わった?2022年4月の育児・介護休業法改正における中小企業の対応ポイント【社労士が解説】

2022.04.28

2021年6月3日、国会にて「育児・介護休業法」の改正案が可決され、この2022年4月から段階的に施行されることとなっています。日本ではまだまだ男性が育休を取得することにあまりいい顔をしない企業や組織も少なくありません。今回新たに施行される育児・介護法案は、働き方改革も推進されつつあるこのニューノーマルな社会において、日本の職場に古くからある慣習や、そこに属する従業員の意識を変化させるきっかけとなる可能性もあります。

そこで今回は、富田社会保険労務士事務所所長であり、特定社会保険労務士の富田朗氏を講師に迎え、Webセミナー「経営に必須!4月から続く法改正!育児・介護休業法の大改正に会社が対応するための必須知識!」を開催し、改正に備えて中小企業が押さえておくべき「育児・介護休業法」のポイントについて解説していただきました。

ここでは、Webセミナーで解説された内容を4回に分けて連載していきます。当記事では、第3回として「2022年4月からの法改正への対応ポイント」について掲載します。

第1回:2022年4月以前の「育児・介護休業法」の概要
第2回:「育児・介護休業法」に含まれる代表的な義務規定
第3回:2022年4月からの法改正への対応ポイント
第4回:2022年10月と2023年4月の法改正への対応ポイント

資料・動画のDLはこちらから

【登壇者】

富田朗(とみた・あきら)
特定社会保険労務士/富田社会保険労務士事務所 所長/東京都社会保険労務士会 研修委員/東京都社会保険労務士会新宿支部 役員/社会保険労務士駿台会 副事務局長
日々、規模・職種等を問わず、多くの企業様の労務相談、経営労務に関するコンサルティング等をしている。特に、労務に関するコンプライアンスの観点から、社内で労働社会保険諸法令等に合致した労務管理が行われているかを精査し、必要があれば改善指導をすることを得意としている。また、開業当初より、「わかりやすく」をモットーに法令や制度等を解説するセミナーを多数行っており、現場目線でわかりやすく解説することに定評がある。

改正育児・介護休業法の施行の概要

2022年4月から、改正された育児・介護休業法が段階的に施行されます。3段階で施行され、その第1弾が2022年4月、第2弾が2022年10月、第3弾が2023年4月です。段階的に施行されるので、その都度対応していけばいいのですが、とはいえ猶予は1年しかありません。それを考えると、もう2022年10月の施行、翌年の2023年4月の施行についても対応していって構わないでしょう。

まず各段階での改正内容の概要を確認していきましょう。各項目の詳しい内容は後述します。

(1)2022年4月施行の改正
・育児休業を取得しやすい雇用環境整備および妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置義務
・有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和

(2)2022年10月施行の改正

・子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設
・育児休業の分割取得

(3)2023年4月施行の改正
・育児休業の取得の状況の公表義務付け

このように3段階で改正された育児・介護休業法が施行されていきます。ここに挙げた項目が、今回の改正の一番の骨組みとなります。

それでは、各段階で改正された内容についてもう少し詳しく解説していきましょう

2022年4月の改正で何が変わる?

まず、2022年4月に施行される改正内容について解説していきます。

育児休業を取得しやすい雇用環境整備

「育児休業を取得しやすい雇用環境整備」ですが、上の図にある4項目いずれかの措置を講ずる義務が生じます。これらについては、特に中小企業だからといって猶予されることではありません。「いずれかの措置」とされているので、それに従えばいいのですが、「できれば複数の措置を講じる」という指針も示されているので注意したいところです。

なおこの雇用環境整備については、完全に初めて設けられた規定です。そのため、どの企業も必ず整備する必要があります。具体的に内容を解説しましょう。

・育児休業に係る研修の実施

制度理解のための研修は、厚生労働省の指針によって「対象は全労働者が望ましい」とされています。当然と言えば当然の話です。あわせて示されたのは「少なくとも管理職はこの研修を受けた状態に」という指針です。これは、管理職が育児・介護制度を理解しているかどうかで実行度が大きく違うことが厚生労働省によって把握されているためです。

研修の実施については明確な頻度は示されてはいないものの、定期的に実施することが求められています。また、実態を踏まえて管理職を中心に階級別に実施するという指針も示されています。あまり厳しい縛りではありませんが、定期的に実施することを忘れないようにしましょう。

・育児休業に関する相談体制の整備

相談体制の整備として、相談窓口を作ったり相談できる担当者を置いたりするべきといったことを示しています。これは企業の規模によって体制整備可能かどうか異なることだと思います。大企業はともかく、中小企業で相談専任の担当者を置くことは難しいでしょう。そのため、専任ではなくても誰が担当者であるかを明確にしておくことで、十分に措置義務を果たすことになります。

なお、相談体制の指針としては「実質的に対応が可能な窓口を設けること」と示されています。企業によっては「窓口は設けた」としたものの、それは形だけであって実質的には相談できないということも多々あり、それを避けるための指針です。

・自社の育休取得事例の収集と提供

「会社の中でこのようにして育休を取る人がいます」という具体的な事例を挙げ、社内で共有していくことが求められます。同じような立場の人に認知されることで、育休を取りやすくするためです。あわせてこのとき指針で示されたのが「可能な限り多様な事例を載せること」そして「性別や年齢を限定しないこと」です。

・労働者への育休制度と育休取得促進に関する方針の周知

文字通り従業員に育休について自社の方針を周知させよという規定です。一番イメージしやすいのは、社内報に掲載する、掲示板に掲示するといったことでしょう。

2022年4月から、これらのいずれかの措置をとることが必要となってきます。

個別の周知・意向確認の措置義務

「個別の周知・意向確認の措置義務」については、従業員が妊娠・出産を申出たときに自社にある育児休業制度について知らせるとともに、育休を取得する意向があるか確認することを義務付けたものです。こちらも2022年4月から実際に行わなければならない措置です。

そのやり方としては、以下の表のように行うことが示されています。

この表にある「周知事項」4点を確実に伝えることが必要となります。この周知の際には面談することが義務付けられていますが、この場合は画像付きのオンライン面談も可能とされています。音声のみ、電話のみの周知は認められていません。

なお、はじめから育休を取得しないという意志を持つ従業員に対しても、周知事項については必ず周知する必要があることを覚えておいてください。

有機雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和

従来あった期間雇用労働者の取得要件のうち「雇用期間が1年以上であるもの」という要件が廃止されました。これは介護休業についても同様に改正されています。

2022年4月の改正内容について把握できたことと思います。次回は2022年10月、2023年4月の改正内容について解説していきましょう。

*にしやひさ / PIXTA(ピクスタ)

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