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ものづくり補助金

補助率や対象の拡大も!? 中小企業の強い味方「ものづくり補助金」を詳しく解説

2021.08.06

労働力不足や長引くデフレの影響による原材料の高騰、そしてコロナ禍の中で利益を出さなければならない、という不透明な経済情勢下において、中小企業にとって受難が続く状況になっています。利益を出さないことには経営が安定せず、企業の今後を左右する優秀な人材確保もままならないという事態に陥ってしまうことも。

このような中小企業に向けたサポート制度の一つが、『ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金』です。通称“ものづくり補助金(以下“ものづくり補助金”)”とも呼ばれています。

本記事では、この補助金制度の概要や目的、気になる支給額や手続きの流れについて、順を追って解説していきましょう。

「ものづくり補助金」とは?

『ものづくり補助金』は、中小企業が社内制度を変更する際のサポートをするための制度です。

特に中小企業の場合、昨今は慢性的な人材不足に悩まされているケースが多いです。また、従業員の生活を支援するための働き方改革や雇用保険・社会保険の適用拡大、さらに請求書にまつわるインボイス制度の導入など、日々情勢に応じて変化する制度に適用するための体制を整えなければなりません。

大企業と比較すると社員数が少なく、日々の業務に追われてしまいがちな中小企業の場合、これらの制度に対応をしていくためには時間や手間がかかり、なかなか重い腰を上げることができないことが問題視されています。

『ものづくり補助金』はこのような状況に対応するため、中小企業や小規模事業者が社内制度を変更するための対応や、生産性を向上させるための取り組み内容に応じて補助金を支給し、資金面から企業をサポートする役割を持っています。

補助金制度に共通する点として、計画の立案から申請に一定の時間を要することに留意する必要はありますが、制度の改革を先延ばしにせず、金銭面での補助を受けながら企業の充実を図るよいきっかけになるはずです。

「ものづくり補助金」の対象となる企業は?

『ものづくり補助金』の対象は、資本金や従業員数が一定数以下の中小企業で、国内で補助対象となる事業を実施する事業所がある会社です。対象となる制度は、“一般型”、“グローバル展開型”、“ビジネスモデル構築型”の3つがあります。

ただし、ビジネスモデル構築型は、30社以上の中小企業のビジネスモデル構築や事業計画を策定するための支援プログラムを補助する企業に対して行われる制度であることから、ここでは“一般型”と“グローバル展開型”の対象について説明をしましょう。

(1)一般型

生産性向上のために効率化を図るための制度を導入し付加価値を実現させる等の”革新的な製品・サービス開発”、もしくは”生産プロセス・サービス提供方法の改善”に必要となる設備やシステムを導入した中小企業が対象です。

たとえば、利用者が効率よく家事を進めることができる商品を開発する場合や、これまで販売していた商品に新たな付加価値をつける、もしくは工場の自動化を図り製造工程を簡略化するなどの内容が挙げられます。

なお、この一般型では現在の情勢に対応するために、新特別枠として”低感染リスク型ビジネス枠”も設けられています。これは、新型コロナウイルス等の感染拡大を防ぐため、対人での接触を減らすためのオンラインシステムや商品開発、withコロナに対応するための設備投資などを行う中小企業が対象です。

(2)ビジネスモデル構築型

国内での事業と海外での事業をともに強化し、グローバルな視点による製品を開発した場合や、外国人向けのサービスを付加するなどの取り組みを行う企業が対象になります。

「ものづくり補助金」の支給額はいくら?

ここからは、『ものづくり補助金』の具体的な補助金や補助率について解説をしましょう。

それぞれの具体的な金額は下記の通りです。新たに創設された新特別枠である”低感染リスク型ビジネス枠”は、国を挙げて早急に対応しなければならない制度改革であるため、一般型と比較すると補助率や対象となる経費が拡大されている点に特徴があります。(※中小企業、小規模企業者、小規模事業者の定義は記事末尾参照)

(1)一般型

 (2)一般型(特別枠:低感染リスク型ビジネス枠)

(3)グローバル展開型

「ものづくり補助金」の申請や手続きの流れは?

『ものづくり補助金』の概要や補助金額について理解できたところで、ここからは具体的な申請の方法について説明をします。

まず覚えておかなければならないのが、『ものづくり補助金』の申請方法は、電子申請“のみ”という点です。具体的には、申請前にあらかじめ電子申請システム『gBizID』を取得する必要があります。

『gBizID』アカウント取得後の流れは以下の通りです。

(1)公募内容の確認

補助金には、公募開始から申請受付期間、応募締切日があらかじめ設定されています。公式ホームページなどから情報を取得し、カレンダーなどで把握します。

(2)事業計画書の作成、送信

『gBizID』取得後に電子申請システムにログインし、事業計画書を作成した上で送信をします。

(3)採択結果の通知

補助金担当の事務局より、採択・不採択の結果通知が届きます。採択となった場合は、受付番号や事業計画の名称、事業実施場所などがホームページ上で公表されます。

(4)補助金の交付申請

補助対象となる経費を洗い出した上で、補助金の交付申請手続きを行います。

「ものづくり補助金」申請で注意したい点は?

申請に当たっては以下の点に注意するようにしましょう。

利用登録に時間がかかること

コロナ禍の中で電子申請の需要が高まっているためか、実際に『gBizID』アカウントを申し込んでから取得できるまでの間に3週間前後の期間を要することがあるそうです。補助金申請を検討する際には、応募締切に間に合うように余裕を持った利用登録が必要になります。

満額支給でない可能性があること

採択された場合にも、受給できる補助金の額が変更になるケースがあります。採択されたからといって必ず満額支給される訳ではない点について覚えておく必要があります。

事業内容の変更ができないこと

補助金に関わる事業内容をあとから変更することは認められてはいません。必ず計画書に沿った対応を心がけましょう。

 

『ものづくり補助金』は、資金援助を受けながら社内の改革をすることができるため、資金に限りのある中小企業にとって非常にメリットのある制度です。

事前に申請対象内容や申請の流れを入念に確認したうえで、会社の未来のためにも適切な形で申請を行いましょう。

【補足:中小企業、小規模企業者、小規模事業者の定義】

・中小企業(組合関連以外)

※1:資本金は、資本の額又は出資の総額をいいます。
※2:常勤従業員は、中小企業基本法上の「常時使用する従業員」をいい、労働基準法第20条の規定に基づく「予め解雇の予告を必要とする者」と解されます。これには、日々雇い入れられる者、2カ月以内の期間を定めて使用される者、季節的業務に4カ月以内の期間を定めて使用される者、試の使用期間中の者は含まれません。
※3:資本金及び従業員数がともに上表の数字を超える場合、大企業に該当します。ただし、以下が株式を保有する場合は、その保有比率等をもってみなし大企業の規定を適用しません。
・中小企業投資育成株式会社法に規定する中小企業投資育成株式会社
・投資事業有限責任組合契約に関する法律に規定する投資事業有限責任組合
※4:本条件の適用は、補助事業実施期間中にも及びます。

・中小企業(組合関連)

※1:その直接又は間接の構成員の3分の2以上が5,000万円(卸売業を主たる事業とする事業者については、1億円)以下の金額をその資本金の額もしくは出資の総額とする法人又は常時50人(卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業者については、100人)以下の従業員を使用する者であるもの。
※2:その直接又は間接の構成員たる酒類製造業者の3分の2以上が3億円以下の金額をその資本金の額若しくは出資の総額とする法人又は常時300人以下の従業員を使用する者であるもの並びに酒販組合、酒販組合連合会及び酒販組合中央会であって、その直接又は間接の構成員たる酒類販売業者の3分の2以上が5,000万円(酒類卸業者については、1億円)以下の金額をその資本金の額若しくは出資の総額とする法人又は常時50人(酒類卸業者については、100人)以下の従業員を使用する者であるもの。
※3:その直接又は間接の構成員たる内航海運事業を営む者の3分の2以上が3億円以下の金額をその資本金の額若しくは出資の総額とする法人又は常時30人以下の従業員を使用する者であるもの。

・小規模企業者

・小規模事業者

【参考】
ものづくり補助金総合サイト』 / 全国中小企業団体中央会
gBizID』 / 経済産業省

* 【IWJ】Image Works Japan / PIXTA(ピクスタ)