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非対面化の取組みも強化!「IT導入補助金2021」の対象と申請方法【事例紹介あり】

2021.08.02

中小企業の経営者の方であれば、”IT導入補助金”という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。

ただ、自社もIT導入補助金の対象になりうるのか、具体的にどんな手続きが必要か、というところまでは詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか?

そこで本記事では、IT導入補助金の対象と申請方法についてまとめました。

IT導入補助金とは?

IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者、個人事業者などが、自社の生産性を向上させるため、自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する場合、その経費の一部を補助する制度です。2017年に開始された制度で、経済産業省が監督し、事務局業務は『一般社団法人サービスデザイン推進協議会』によって運営されています。

最大の特徴は、補助を受ける中小企業が直接補助金を申請するのではなく、対象となるITツールを販売している企業”IT導入支援事業者”を通じて申請するところにあります。

ITツールとは、“ソフトウェア”とそれと連携する“オプション”、そして導入にあたってのサポートやコンサルティングのような“役務”に分類されています。

また補助金の対象となるのは、IT導入支援事業者が提供する認定されたITツールであると同時に、申請する企業や事業者にとって“新規導入するITツール”である必要があります。基本的にハードウェアは含まれませんが、後述する“低感染リスクビジネス枠C・D類型”に分類されるITツールを導入する場合、ハードウェア(パソコンやタブレットなど)のレンタルが“役務”に含まれることもあります。

IT導入補助金の対象となる企業や申請区分は?

対象企業

IT導入補助金の対象となる企業と事業者については、業種ごとに資本金と従業員数の制限があります。例えば、

・製造・建設・運輸業:資本金3億円以下、従業員数300人以下
・卸売業:資本金1億円以下、従業員数100人以下
・小売業:資本金5,000万円以下、従業員数50人以下
・社会福祉法人:従業員数300人以下
・商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く):従業員5人以下

といった条件が提示されています。詳細は一般社団法人サービスデザイン推進協議会が公開しているウェブサイト『IT導入補助金2021』の”補助対象について”に記載されています。

申請区分

IT導入補助金の申請区分として4つの枠が設けられていて、それぞれで補助金の上下限や補助率が異なります。これらの枠分類は、導入を検討するITツールによって決定されます。

・通常枠A類型:補助金30万~150万円未満、補助率1/2以内
・通常枠B類型:補助金150万~450万円以下、補助率1/2以内
・低感染リスクビジネス枠C類型:補助金30万~450万円以下、補助率2/3以内
・低感染リスクビジネス枠D類型:補助金30万~150万円以下、補助率2/3以内

大別すると、「通常枠(A・B類型)」と「低感染リスクビジネス枠(C・D類型)」に分類されています。C・D類型は、新型コロナウイルス禍を受けて2021年に新たに設けられた枠で、特にテレワークのような非対面化、遠隔化によって業務の効率化を計画する場合に適応され、運用のためのハードウェア(パソコンやタブレット)のレンタル料金も補助対象に含まれます。

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生産性向上や業務効率化を実現!ITツールを導入するなら活用したい「IT導入補助金」とは【基本編】

IT導入補助金の対象となるITツールとは?

IT導入補助金の対象ITツールに含まれるソフトウェア、クラウドサービスは多岐にわたります。

前述したとおり、IT導入支援事業者として認定された企業が提供するソフトやサービスがITツールとしてIT導入補助金の対象になります。代表的なITツールのジャンルとして、以下のようなものが挙げられます。

・顧客対応
・勤怠管理
・人事給与・労務管理
・グループウェア・テレワーク(非対面化への取り組みとして)
・会計・経費精算
・販売仕入・在庫管理
・ECサイト構築(非対面化への取り組みとして)
・CAD/CAM

いずれのITツールにおいても、導入することによって業務プロセスの改善に寄与するものである必要があります。『IT導入補助金2021』ウェブサイトの”IT導入支援事業者・ITツール検索”にて、自社の業種や改善したいプロセスなどの条件を選択することで、導入可能なITツールを絞り込むことが可能です。

次に解説するIT導入補助金を申請する手順の中でも、自社が導入したいITツールを決定することが非常に重要なポイントとなります。

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IT導入補助金申請の手順は?

IT導入補助金の申請は、補助を希望する企業が直接行うのではなく、導入するITツールを販売・提供しているIT導入支援事業者を通じて行います。そのため、申請のプロセスもやや特殊です。申請手順は以下のとおりです。

(1) gBizIDプライムの取得、SECURITY ACTIONの自己宣言を行う

“gBizIDプライム”は経済産業省が提供している行政サービスを利用するために必要なアカウントです。アカウント申請は『gBizID』のウェブサイトから行えます。また、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する“SECURITY ACTION”を自己宣言し、使用規約に合意することも申請の条件の1つになります。”SECURITY ACTION”とは、中小企業・小規模事業者自らが、情報セキュリティ対策に取り組むことを宣言する制度で、『SECURITY ACTION』のウェブサイトにて自己宣言の条件を確認できます。

(2) ITツールとIT導入支援事業者を決定する

導入するITツールを決定します。事業規模や経営課題に応じて導入するツールを『IT導入補助金2021』ウェブサイトの“IT導入支援事業者・ITツール検索”から検索し、それを提供するIT導入支援事業者を決定します。すでに導入したソフトウェア、サービスが絞り込まれている場合は、それらの名称からそれを取り扱うIT導入支援事業者を検索し、決定します。

(3) 交付申請する

IT導入支援事業者に連絡し、導入したいソフト・サービスをIT導入補助金を利用して購入する旨を伝えます。そして製品の見積りとともに、補助金の交付申請を依頼します。このとき、IT導入支援事業者から“申請マイページ”への招待が行われるので、企業情報などを入力。ほかにgBizIDプライムアカウント、SECURITY ACTION宣言済みアカウントIDを伝えるほか、直近2年の決算情報、各種計画書などの提出が必要となります。

(4) 審査を受ける

IT導入支援事業者が交付申請を行い、約1ヶ月の審査期間を経ると、導入補助金交付の可否が決定します。

(5) 導入し、事業実施を報告する

交付決定後、IT導入支援事業者への支払いと導入手続きを行います。支払いの証憑(振込明細など)とともに事業実施報告を事務局へ提出します。

(6) 補助金の交付を受ける

事業実施報告の確認後、不備が認められなければ事務局より補助金交付決定の連絡があり、補助金が交付されます。事業実施報告の提出から審査を経て入金が実施されるまで約3ヶ月かかるとされています。なお補助金交付後は3年間にわたって事業効果実施報告が必要となります。

募集期間について

『IT導入補助金2021』の第1次募集期間はすでに終了しています。第2次募集の締め切りは2021年7月30日、交付決定日は8月31日が予定されています。また第3次の募集締め切りが9月(日付未定)に予定されています。

なお、2020年では『IT導入補助金2020』の通常枠が第10次まで募集されましたので、『IT導入補助金2021』についても詳細は未定ながら同様の追加募集が行われる可能性も考えられるでしょう。

IT導入補助金申請によるIT導入の事例

『IT導入補助金2021』ウェブサイトで紹介されている、導入の事例をいくつか紹介しましょう(導入企業名は伏せています)。

食品製造業A社(資本金1億円、従業員8人)

食品の製造・販売を行っているA社。受発注管理をExcelで行っていたが受注ミスの修正などの手間が業務を圧迫。その解消を目的にIT導入補助金を利用してRPAツールを導入することを決定。結果、売上管理業務の短縮に成功。担当者の当該業務時間が1日あたり15分削減できた。

宿泊業B社(資本金1,000万円、従業員39人)

鳥取県の温泉地で温泉旅館を経営しているB社。従来使用していた会計システム、給与計算ソフトがデータ連動性に欠けていた。効率化のためIT導入補助金を利用してクラウド会計システム、給与計算システムを導入。会計と給与計算システムの連携により業務時間の短縮に成功。またタイムリーな業績把握が素早い経営判断を可能とした。

建設業C社(資本金1,000万円、従業員11名)

地域密着型の工務店C社。顧客への建築提案内容の高度化、迅速化のために作業負担が増えていた。その解決のためIT導入補助金によるCADツールの導入を検討。設計提案、間取り図面作成のため3次元CADを導入。図面設計とともに3次元による建物内外観のイメージを伝えられるようになり、顧客の満足度、理解度が向上。意志決定スピードが上がり、利益アップにつながった。

中小企業が新たにITツールを導入するのであれば、IT導入補助金を利用しないのは損とも言える状況の昨今です。特にテレワークなどの非対面業務を強化する意志が強ければ、迅速に申請を検討するべきでしょう。

申請した場合の採択率は公式に発表されてはいないものの、おおむね50%を超える採択率といわれています。

重要なのは導入するITツールのジャンルを明確にすること、そしてそれを扱うIT導入支援事業者を選定することです。いわばIT導入支援事業者が申請を代行する形になるので、深いコミュニケーションを図ることで申請がスムーズに進むでしょう。

ぜひIT導入補助金を利用して、事業のIT化と業務の効率化を進めてください。

【参考】
IT導入補助金2021』 / 一般社団法人 サービスデザイン推進協議会
gBizID』 /  経済産業省
SECURITY ACTION』 / 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)

* metamorworks / PIXTA(ピクスタ)