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人手不足

中小企業向け!「人手不足を解消したいとき」に役立つ支援制度を一挙解説

2021.09.22

中小企業を経営する立場であれば、“人手不足”は身近な課題ではないでしょうか?

働き方改革やワーク・ライフ・バランスが謳われる中、コロナ禍による不安定な雇用状況が追い打ちをかけ、労働者はより安定した雇用形態や待遇、賃金の職場を選択する傾向にあります。

このような状況下、大企業と比較して社内体制が整備されていない中小企業では、ますます人手不足に陥りやすい状況になってきました。

今回は、中小企業の人手不足に対して、企業が行うべき社内体制の見直しや、中小企業向けの支援制度について、順を追って解説します。求人募集がうまく進まない企業、人材の流出に悩む企業の皆さまは、ぜひ参考にしてください。

※最終更新:2021年9月

まずは社内体制を見直そう

人手不足解消の第一歩は、社員が働き続けたくなるような職場環境を整えることです。厚生労働省公式サイトの『人材確保対策』のページにも、まずは社内体制を見直すなど“魅力ある職場づくり”が必要とされています。会社に社員を惹きつける魅力がなければ、ニーズに合った採用を行うことは難しく、また社員の定着も見込めないでしょう。

社内体制の見直しのポイント

職場環境を整えるために、まずは下記で挙げるポイントを中心に、社内体制の課題を洗い出すことから始めましょう。「最も対応が必要となる問題点は何か」ということを念頭に置いて、問題点の詳細が浮き彫りになったところで具体的な対応策を検討することをおすすめします。

・人事制度
よくある社員の不満に「頑張った割に賃金が上がらない」などがあります。この場合、社内の評価制度が適切かを見直す必要があるでしょう。また、人事考課が適正に行われているか、社内に明確な賃金規程や賃金表は存在するか等、賃金にまつわる制度を一つずつ取り上げていきます。

・キャリアアップ支援
転職が当たり前となった現代では、賃金面などの待遇よりも自身のキャリアアップを図るために、これまでの職場を退職し、新たにステップアップできるような環境を求めるケースも増加しています。向上心がある優秀な人材を手放さないためには、キャリアアップに注力する社員への仕事割り振り・待遇面で優遇する制度や、研修制度を取り入れる方法が対応策として挙げられます。

・福利厚生制度
昨今の社会情勢に合った福利厚生制度や、多様な働き方制度に対応しているかどうかを確認する作業も必須といえるでしょう。今や、育児休業や介護休業を取得しながら働き続けることは常識化しているものの、それをうまく運用する社内制度が整備されていないことで、フルタイム出勤できない社員が職を離れるケースも多くみられます。

【こちらもチェック!】中小企業向けの福利厚生サービス5選

・IT面でのインフラ整備
在宅勤務者の増加に伴うテレワーク制度の整備や交代勤務などに対応するため、IT面でのインフラ整備も必要不可欠となります。

“魅力ある職場づくり”については、厚生労働省のリーフレット『取り組みませんか?「魅力ある職場づくり」で生産性向上と人材確保』も参考にしてみてください。

採用方法の見直しも必須

社内体制と同様に、自社の採用について見直すことも重要です。特に会社のニーズに合った人材をなかなか確保できない中小企業の場合、そもそもの採用方法が適していない可能性があります。

社員を採用するための求人募集の方法には、ハローワークなどを利用する方法の他にも、インターネットによる募集システムの活用や、採用に特化した採用代行サービスの利用、自社の社員に紹介してもらう方法など、さまざまな内容が挙げられます。

また、面接や選考の方法を工夫し、求職者に会社への魅力を感じてもらう方法や、求職者と素早く適切に連絡を取る手段なども、現状の内容に問題がないかチェックをする必要があるでしょう。

活用できる支援制度をチェックしよう

社内制度の見直しにより課題が明確になったら、それを改善していく必要があるでしょう題解決の取り組みに活用できる支援制度はないか、ぜひチェックしておきましょう。その際に確認したいのが、中小企業に向けた国の支援制度です。特に雇用に関する問題は、深刻な問題として認識されていることから、支援サービスの内容も多岐にわたります。社内の問題解決の取り組みに活用できる支援制度はないか、ぜひチェックしておきましょう。

(1)社内体制の整備に取り組む企業向け

・人材確保等支援助成金
労働者が安心して働けるような職場体制を整える企業向けの助成制度です。
各種手当や研修制度、健康管理といった雇用管理制度を導入する企業や、生産性向上のために人事評価制度を整備した企業、外国人労働者が働きやすい環境づくりに取り組んだ企業などが対象で、かかった経費の一部が助成されます。また、特に過酷な現場が多くみられる建設業に携わる労働者の環境整備を行った企業向けのコースもみられます。

・両立支援等助成金
育児や介護と両立しながら働き続ける社員のための制度を導入した企業が受けることのできる助成制度です。
特に育児支援については、通常の育児休業を取得し、復帰する社員のための制度に加え、子育てパパを支援するための制度や不妊治療両立支援制度、新型コロナウイルス感染症の影響により休業が必要となった妊婦が取得できる有給制度の導入など、昨今の社会事情に沿った形での支援が実施されています。

【詳しくはこちら】手当、助成金は?男性の取得は?産休・育休に関する相談まとめ

(2)人事育成を図る企業向け

・人材開発支援助成金
社員に段階的にレベルアップしてもらうために、職務に沿った専門的な知識を取得するための訓練や、技能実習訓練などを実施するための計画を立て、実施した企業に訓練経費や訓練期間中の賃金の一部が助成される制度です。

【詳しくはこちら】キャリアアップ助成金との違いは?3分でわかる「人材開発支援助成金」 【申請に必要な情報まとめ】

・キャリアアップ助成金
有期雇用者や短期雇用者、派遣社員などの非正規雇用者のキャリアアップを図るため、待遇の改善や正社員へのステップアップ制度を実施した企業向けの助成制度です。
その他、健康診断の実施制度や、賃金規程を共通にした場合の制度など、非正規雇用者が意欲をもって働き続けたいと考えるような制度が助成の対象となっています。

【詳しくはこちら】2021年の改正事項と注意点は?中堅企業に役立つ「キャリアアップ助成金」

(3)人材採用を実施する企業向け

・中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)
中途採用者の採用率をアップさせた企業や、中途採用者数が増加した企業向けに助成される制度です。特に、これまでに中途採用の経験がなかった企業や、45歳以上の労働者を中途採用者として雇用した場合などは、助成金が上乗せされるという特徴があります。

・特定求職者雇用開発助成金
65歳以上の者や障害者、母子家庭の親、震災被災者、その他正規雇用が困難とされる者などを雇い、雇用を継続した企業に対して行われる助成制度です。その他、ハローワークへ就労支援の要請が行われた生活保護受給者、新型コロナウイルス感染症の影響により離職し、他業種への就労を希望している者などを雇用した場合も対象に含まれます。

【詳しくはこちら】人手不足解消の一手に?「特定求職者開発助成金」コース別の支給額と申請方法・注意点

・トライアル雇用助成金
経験やスキル不足により安定した就労ができない求職者を、ハローワーク等の紹介により一定期間雇用した企業向けの助成制度です。トライアル雇用期間内に、新型コロナウイルス感染症の影響で休業した場合は、トライアル雇用期間を変更できるという特例も設けられています。

【詳しくはこちら】トラブル・ミスマッチを防ぐ!経営者が知るべき「トライアル雇用助成金」とは

地域独自の支援制度がある場合も

人手不足を解消するための支援制度としては、前述の通り国からさまざまな制度が打ち出されています。一方でそれらとは別に、地域限定で独自の支援制度を設けていることもあるので確認してみましょう。

たとえば、人口の集中する東京都では、短時間の職業訓練を実施する企業向けの『社内型・民間派遣型スキルアップ助成金』や、eラーニングを活用した職業訓練を実施する企業向けの『オンラインスキルアップ助成金』があります。その他、キャリアアップ講習の受付や会社の実態に沿ったオーダーメイドでの講習、職業訓練のための施設貸し出しサービスなど、社員のスキルアップを目指す会社向けのサービスが多々提供されています。

また、京都府では社内改革に携わる中小企業向けに、人材雇用にかかった経費の一部を助成する『人材活躍支援補助金』、鳥取県ではデジタル技術やデータ活用システムの導入やDX推進人材を育成する企業向けの『鳥取県県内企業DX導入加速化補助金』などもあります。

その他の地域でも、都道府県や各労働局では、人手不足に悩む企業向けの制度を多々提供していますので、まずは相談窓口を活用してみてはいかがでしょうか。

まとめ

人手不足を解消するための取り組みに対し、多種多様にわたる支援制度があることをお伝えしました。

必要な人材を確保するためには、“魅力ある職場づくり”が必要です。まず社内の課題を正しく把握したうえで、それを解決するために自社にあった支援制度を積極的に活用してみてはいかがでしょうか?

【参考】
人材確保対策』 / 厚生労働省
取り組みませんか?「魅力ある職場づくり」で生産性向上と人材確保』/ 厚生労働省

* SAMURAI / PIXTA(ピクスタ)