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システム導入

なんで使ってくれないの?従業員に「業務効率化ツールが浸透しない」企業の特徴と解決策

2021.10.15

自社の業務を効率化するために、ツールの導入を進めている中小企業は多いのではないでしょうか? 業務効率化ツールの活用は、昨今の働き方改革やコロナ禍に伴う働き方の変化のニーズにも合っているので、中小企業にとって導入は急務ともいえます。

ただ、“業務効率化ツール”と一口に言っても、その種類は多岐にわたります。さまざまなツールが存在し、その導入目的や運用方針などは企業によって異なることでしょう。

自社に合った業務効率化ツールを導入し、うまく活用できているケースも多くあります。しかしその一方で、せっかく導入された業務効率化ツールなのに、結局社内で浸透することなく活用されないという問題も耳にします。

ここでは“浸透させられない企業の特徴”とともに、目下の解決策について解説していきましょう。

業務効率化ツールが浸透しない企業の特徴

業務効率化ツールを導入したのに、どうも活用できていない……という企業にはいくつかの特徴があるようです。ここでそのいくつかを取り上げましょう。これから導入する場合や、導入したツールがうまく活用できてない場合、下記のような問題点はないか確認してみてください。

自社の業務に合っていないツールを導入した

業務効率化ツールと一口に言ってもその種類はさまざまです。他社の導入事例を参考にしてそのツールを選択したものの、実際に運用を始めるとそれが自社の業務に適応していないことが判明。結局、業務効率化ツールは無用の長物に……というケースは少なくありません。

ベンダー選びに失敗している

業務効率化ツールを導入するのに、ベンダーやコンサルタントを頼ることはよくある話です。しかしその際、導入後のサポート支援の有無を見誤ってしまうことがあります。導入後にまったくサポートがない場合、運用開始からつまずくこともあり、誰も使わない業務効率化ツールだけが残った……ということになりかねません。

専門的な知識を持つ経営陣がいない

中小企業の場合、経営者や経営陣がITへの造詣が深くないことは少なくありません。かといって情報システム担当者のような社内のITを任せられる担当者がいない企業も多いでしょう。その結果、導入後の運用を従業員に“丸投げ”してしまうことがあります。運用状況も確認せずに放置して、確認したときには誰も使っていないという状況に陥ることがあります。

環境が整っていない

十分に使いこなせない原因は、必ずしも従業員のリテラシーだけではないこともあります。システムを稼働させるのに十分なスペックのパソコンやタブレット、スマホなどが、従業員に行き渡るように用意されておらず、そもそも使いこなすのは難しいという場合もあります。

ルール・運用基準があいまい

業務効率化ツールが導入されたものの、どういう場面で利用するべきなどの“運用ルール”が明言されていないと、システムの浸透はなかなか進みません。業務プロセスの中のどこでどう運用するか、ある程度のルールを定めて従業員の利用を促進しないと、システムの浸透は難しいかもしれません。

また運用ルールを定めるに当たっては、活用することで“どういう結果が出るのか”ということを示すことが必要です。そして、出た結果を社内で共有することも重要です。なんのために業務効率化ツールを使い、どういう結果が生じるのかという“明確な成果”を示さないと、浸透は難しいでしょう。

導入ツールがバラバラすぎる

複数の業務効率化ツールが導入されたことにより、さまざまな業務が効率化できる可能性は高いです。しかしあまりにツールが細分化されることで、あのツールはよく使うけど、このツールは放置される、という事態にもなりかねません。統合化された業務効率化ツールの導入によって、ツールによる作業の細分化、情報の分散化を防ぐことが可能でしょう。

業務効率化ツールを企業内で浸透させるには

業務効率化ツールがなかなか浸透しない場合には、その問題点を解決していく必要がありあす。問題を洗い出して改善し、ツールの浸透を目指したいものです。導入したツールがうまく活用されていない場合も、下記の点を見直してみてはいかがでしょうか?

誰もが使える環境をつくる

導入したツールは、誰もが使えるような環境になっていますか? とにもかくにも“従業員全員が使える”状況を作るようにしましょう。

機能が多岐にわたるツールも多いです。その場合は、たとえばグループウェアのような、全員が利用できて全員が情報を共有できるようなツールをベースとして、まずは利用の浸透を促し、徐々に機能を追加していって業務ごとに細分化するとよいでしょう。

またハードウェアの整備も必要です。機材が足りずにツールを利用できない従業員がいるという状況は、明らかに業務効率化ツールの浸透を妨げる要因となるからです。

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運用ルールを整える

業務効率化ツールを導入したあと、使用シーンを規定し、業務改善想定を明確に示す必要があります。その上で、業務効率化ツールに応じた業務の進め方に変えていくことも求められます。ツールのみで業務を改善することに期待するのではなく、ツールに応じて業務プロセスを柔軟に整えることも検討しましょう。

また、ルールの1つとして、ツールを使わなければ業務が進まないようにフローを変えることも浸透を促します。例えば、経費精算システムの場合、交通費や経費の精算にあたって、ツールを通して行わない限り精算不可というルールにすれば、否が応でも従業員はツールを使用することになります。ただし、導入後、しばらくたっても従業員がスムーズに使用できない場合、次項を参考に対処する必要があります。

試用期間を定め従業員の声を拾い上げる

新たに業務効率化ツールを導入した場合、いきなり本格運用を開始するのではなく、一定の“試用期間”を設けることが成功の一手段となることがあります。そして、試用してみた従業員によるシステムの使いにくいところや操作の疑問点といった声を拾い上げ、Q&Aマニュアルを作成する、運用手段を改善するといった改善手段を執ることが可能となります。

社内講習や社内セミナーを開催する

用意されたマニュアル、Q&Aを参照してもシステムを使いこなせない従業員は少なからずいるものです。そういった場合、社内講習や社内セミナーを開催して活用を促す必要があるでしょう。特にデジタルに強くない社員にとっては、マニュアルを片手に独学を促すよりも講習によって操作を学ぶスタイルのほうが利用促進につながる可能性が高いでしょう。

トップが活用する姿を見せる

やや日本人的な考えかもしれませんが、経営者、経営陣、部門長といったトップが積極的に業務効率化ツールを使っている姿を示せれば、彼らに従う従業員たちも積極的にツールを使ってみようと考えるのではないでしょうか。誰も使っていない状況を看過できないとトップが考えているのであれば、なおさら自ら進んで利用する必要があるでしょう。

また、専門的な知識を持つ経営陣、経営者、部門長がいないために業務改善かツールの浸透が進まない場合においても、上で触れたような社内講習や社内セミナーに上層部も積極的に参加し、従業員とともに業務効率化ツールへの理解を深めようとしている姿を見せることが重要です。

見切りをつけるタイミング

せっかくコストをかけて導入した業務効率化ツールでも、従業員に浸透するとともに何らかの“効果”が出なければ意味はありません。

まずは、効果測定を実施して、導入と運用が妥当かどうかを検討してみることも必要になってきます。業務改善の目的・導入したツールの種類など、条件によって測定方法はさまざまです。例えば、業務効率化を評価する1つの指標に残業時間があるでしょう。勤怠記録から残業時間を計測し、導入前後でどれほど改善されたか(この場合は残業時間がどれだけ減ったか)をみることで、業務効率化ツールがどれほど効果的かを知る手がかりになるでしょう。ほかにも、従業員に対してアンケートをとることで、実際の声を聞きながら業務効率化ツールに対する満足度を測ることができます。

効果測定の結果、業務改善の主たる目的(コスト削減や残業時間の減少)が達成できていなければ、改善が必要となります。従業員に浸透していないことが要因と考えられる場合は、これまででご紹介した内容を参考に、自社でツールが浸透しない理由を探ってみましょう。その上で、先に触れたような業務効率化ツールを浸透させるための解決策で、自社に合ったものを試してみて、一定期間様子をみることをおすすめします。それでも、全従業員が使うべき業務効率化ツールを過半数の従業員が利用していないなど、あまり改善が見られない場合は見切りをつけることも検討しましょう。

また、自社の業務に合っていないツールを導入してしまった、ベンダー選びに失敗してサポートも得られないまま導入が終了してしまった、導入したツールがバラバラすぎて使いこなせていない、といった本来なら導入時に見直してしかるべき問題点が分かってくることもあるでしょう。これらについては改善が難しいというケースも多いです。早い段階で業務効率化ツールに見切りをつけ、システムの廃止や刷新も検討したほうがよいかもしれません。

 

業務効率化ツールの導入は、中小企業にとって業務改善のために欠かせないといえるでしょう。しかしながらその浸透と活用にはいくつものハードルがあります。どうしても活用できなければ、勇気ある撤退も視野に入れなければなりません。そうなる前になんとか浸透させられる環境を整えたいものです。

* Graphs / PIXTA(ピクスタ)