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新規事業立ち上げ助成金

新規事業で活用できる補助金・助成金って何があるの?立ち上げ時の資金問題を解決!

2021.11.18

新規事業立ち上げを成功に導いていくためには、事業の方向性やアイデアはもちろん、経費の面でも適切な計画を立てる必要があります。しかし、いざ計画を立ててみると想定以上に経費がかかり、新規事業立ち上げに躊躇してしまうこともあるかもしれません。

そんな時に、新規事業を立ち上げることで獲得できる補助金や助成金があればいかがでしょうか? 新規事業に対するハードルが下がり、取り組みが加速することもあるのではないでしょうか。

今回は、新規事業立ち上げの際に活用を検討したい補助金・助成金をご紹介します。

※最終更新:2021年11月

1:新規事業で必要な人材登用に「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」

新規事業立ち上げの際には、その活動を直接的に担う人材や補助をする人材が必要になるということも多いでしょう。そこで検討したいのが『キャリアアップ助成金』です。

助成金の対象

『キャリアアップ助成金』は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者などの非正規雇用労働者のキャリアップを促進するために正社員化、処遇改善の取り組みを実施した事業主に対して助成される制度です。

この助成金には複数のコースがあり、今回紹介する『キャリアップ助成金(正社員化コース)』は非正規雇用労働者を正規雇用労働者等に転換または直接雇用した場合に助成される制度です。

例えば、新規事業立ち上げについて社内の非正規雇用社員に適任者がおり、キャリアアップの一環として担当として任命するタイミングで正社員に転換するということが想定されます。

助成金額

1年度で1事業所あたり20人までが申請でき、また有期雇用社員を正規雇用にすれば、事業所に対して一人あたり57万円が助成されます。該当となる社員に対しても、正社員化に合わせて賃金総額を増額させるという要件があり、労使ともにメリットのある制度といえるでしょう。

【もっと詳しく】2021年の改正事項と注意点は?企業に役立つ「キャリアアップ助成金」

2:販路開拓や販売促進に幅広く活用「小規模事業者持続化補助金」

新規事業立ち上げの際には、販路開拓や販売促進活動が必要になることも多いでしょう。そのような時に活用できるのが『小規模事業者持続化補助金(一般型)』です。

この補助金は小規模事業者等が商工会または商工会議所の助言を受けながら経営計画を作成し、その計画に沿って行う販路開拓等の費用を補助するものです。

補助金の対象となる小規模事業者

対象となる小規模事業者は以下のように定められています。

・商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く):常時使用する従業員の数5人以下
・サービス業のうち宿泊業・娯楽業:常時使用する従業員の数20人以下
・製造業その他:常時使用する従業員の数20人以下

補助金の対象となる販路開拓

また対象となる販路開拓等の費用は幅広く、例えば以下のような活動が該当します。

・新商品を陳列するための棚の購入
・新たな販促用チラシの作成、送付
・新たな販促用PR(マスコミ媒体での広告、ウェブサイトでの広告)
・新たな販促品の調達、配布 ・ネット販売システムの構築
・国内外の展示会、見本市への出展、商談会への参加
・新たな販促用チラシのポスティング
・国内外での商品PRイベントの実施
・ブランディングの専門家から新商品開発に向けた指導、助言

補助率と補助額

販路開拓が対象となる一般型の補助率および補助額は、補助対象経費の3分の2で上限50万円までとなっています。

第7回目の申請は2022年2月4日までとなっており、その後8回目以降の申請も予定されています。

【こちらの記事も】この補助金の低感染リスク型ビジネス枠についてはこちら

3:新規事業立ち上げに設備投資が必要な時に「ものづくり補助金」

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)』は、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたって行われる制度変更に対応するために、革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するものとされています。制度変更には、働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等が含まれます。

先に紹介した『小規模事業者持続化補助金』よりも対象企業が広く設定されているうえ、補助金額も大きいため、特に設備投資等を伴う新規事業立ち上げの際に有効でしょう。

補助金の種類と補助額

通常の“一般型”と海外事業の拡大・強化等を目的とした設備投資等を支援する“グローバル展開型”があります。

比較的大型の補助金であり、“一般型”と“グローバル展開型”それぞれ以下のように補助額上限と補助率が設定されています。

・一般型:1,000万円まで・補助率2分の1(※低感染リスク型ビジネス枠・小規模事業者は3分の2)
・グローバル展開型:3,000万円まで・補助率2分の1

補助金の対象となる設備投資

一般型では以下に該当する“経営革新のための設備投資等”に対する補助となっており、新規事業立ち上げで想定される新商品やサービスの開発等に対応しています。

・新商品開発
・新たな生産方法の導入
・新役務(サービス)開発
・新たな提供方法の導入

具体的な費用項目としては“機械装置・システム構築費”、“運搬費”、“外注費”、“専門家経費”、“クラウドサービス利用費”、“原材料費”等、幅広く設定されています。

【もっと詳しく】中小企業の強い味方「ものづくり補助金」を詳しく解説

4:規模の大きい新規事業や大胆な事業転換に「事業再構築補助金」

事業再構築補助金』は、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために、中小企業等の事業再構築を支援するための補助金です。具体的には、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、または事業再編という思い切った事業再構築を目指す中小企業を支援するものです。

規模の大きい新規事業の場合では“新分野展開”、大きな事業転換を行う場合には、“業態転換”、“事業・業種転換”、“事業再編”での検討が可能でしょう。

制度の抜本的見直しへ

2021年11月1日、財務省は『事業再構築補助金』について、中小企業の依存を問題視し、制度の抜本的な見直す必要性があると表明しました。今後、本補助金を所管する経済産業省と協議を進める方針とのことです。

実際に見直しが制度に反映されるのはしばらく先になることが予想されますが、本制度を検討している企業は、早めの申請をおすすめします。また、今後に本制度を利用される方は、申請前に最新の情報を確認するようにしましょう。

補助額と補助率

中小企業向けの一般型では、以下のように補助額と補助率が設定されています。

・従業員数20人以下:補助額100万円~4,000万円・補助率3分の2
・従業員数21~50人:補助額100万円~6,000万円・補助率3分の2
・従業員数51人以上:補助額100万円~8,000万円・補助率3分の2
(※補助額が6,000万円を超える場合は補助率の2分の1)

補助金の対象となる要件

もともと『事業再構築補助金』は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売り上げの回復が期待しづらい中、大胆に事業転換等に取り組む企業に対して創設された補助金です。そのため、以下のように売上減少の要件があることに注意が必要です。

<売上要件>
①2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月間の合計売上高が、コロナ以前(2019年または、2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している。
②2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月間の合計売上高が、コロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して5%以上減少している。

上記①と②を満たさない場合は、次の項目を満たすことでも申請可能です。
・2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計付加価値額が、コロナ以前の同3か月の合計付加価値額と比較して15%以上減少している。
・2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計付加価値額が、コロナ以前の同3か月の合計付加価値額と比較して7.5%以上減少している。

補助金の対象となる経費

対象となる経費は以下のように設定されており、新規事業立ち上げで必要となり得る経費にも広く対応できるでしょう。

・建物費
・機械装置・システム構築費(リース料を含む)
・技術導入費
・専門家経費
・運搬費
・クラウドサービス利用費
・外注費
・知的財産権等関連経費
・広告宣伝・販売促進費
・研修費

【こちらの記事も】社労士が教える!「事業再構築補助金」申請書づくりのコツ・書き方のポイント

 

今回紹介した補助金と比べても規模の大きい補助金であり、もし新規事業立ち上げが要件を満たすのであればぜひ挑戦していただきたい補助金です。

補助金や助成金は事業計画書作成や申請が必要になるものの、採択された場合は返済不要の資金を獲得できるという点で非常に有効な方法であるといえます。

新規事業立ち上げのタイミングで対象となる補助金や助成金があれば、ぜひ活用を検討してみてください。

【こちらの記事も】税理士が解説!新規事業を成功させるためのフレームワークとは?

【参考】
キャリアアップ助成金』 / 厚生労働省
小規模事業者持続化補助金<一般型>』 / 日本商工会議所
ものづくり補助金総合サイト』 / 全国中小企業団体中央会
事業再構築補助金』 / 中小企業庁

*Graphs、freeangle / PIXTA(ピクスタ)