賃金支払いの原則としては賃金の全額を支払う必要がありますが、法令に別段の定めがある場合は労働協定がなくとも控除することができます。
法令に別段の定めがある場合:給与所得の源泉徴収、市町村民税の特別徴収、報酬からの保険料の控除
社会保険料控除は法令で定められているので問題ないと思いますが、当月控除すべき差額を翌月で控除したいとするのですから、社員が言っていることも間違ってはいないと思います。
しかしながら会社としては正しい額を徴収して保険料を支払わなければなりませんので、誠意をもって対応していくしかないと思います。
次回給与で控除してほしくないとのことでしたら(社員、会社とも手間がかかりますが)不足額を会社の口座へ送金してもらうなど、社員が納得できる方法を話しあってみては如何でしょうか。
(賃金台帳等の社会保険料額の修正をお忘れなく)
総務省e-Gov(イーガブ)URL
労働基準法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO049.html
(賃金の支払)
第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
健康保険法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/T11/T11HO070.html
(保険料の源泉控除)
第百六十七条 事業主は、被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所に使用されなくなった場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができる。