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総務の給湯室

総務担当者同士の給湯室的空間!「みんなの会社ではどうしてる?」など・・・ご自由に!

定年再雇用後の賃金減額

著者 hitokoto2008 さん

最終更新日:2016年11月03日 10:59

>定年後に再雇用されたトラックの運転手が「正社員と同じ仕事なのに賃金に差があるのは違法だ」と訴えた裁判で、東京高等裁判所は「2割前後の賃金の減額は不合理ではない」として、原告が勝訴した1審の判決を取り消し、訴えを退けました。
横浜市に本社がある長澤運輸を定年退職したあと、嘱託社員として再雇用されたトラックの運転手の男性3人は「正社員と同じ仕事なのに賃金に差があるのは違法だ」として会社を訴えました。裁判では、正社員との格差が、法律で禁止された不合理なものと言えるかどうかが争われ、1審の東京地方裁判所は「財務状況などを見ても正社員と格差を設ける特段の事情はない」として同じ賃金の支払いを命じ、会社が控訴していました。
2審の判決で、東京高等裁判所の杉原則彦裁判長は「同じ仕事でも一定程度の賃金の減額は社会的に容認されていて、企業が若年層を含む雇用を確保する必要性などを考慮すると、減額は一定の合理性がある」と指摘しました。そのうえで、「賃金の引き下げ幅は、年収ベースで2割前後と同規模の他社を下回っていて、直ちに不合理とは認められない」として、1審の判決を取り消し、原告の訴えを退けました。
原告側は会見し、「格差や差別を正すために訴えたのに、現状を追認する判決に強い憤りを覚える」と述べ、上告する考えを示しました。


ニュースで読んだが、やはり、最高裁の判断が必要だと思う。
これでは、普遍的な規範には成りえず、個人的にも高裁判決には納得できない。
運転手が不足しているトラック業界で若年労働者の雇用とリンクさせる話を、他業界へも波及させられては困る。
但し、賃金を下げてはいけないという趣旨ではない。許容できるとする減額割合も問題だが、合理的理由そのものが弱すぎると思われる。
再雇用制度導入時には60歳時から在職老齢年金が貰えたが、それも無くなった。当初の制度導入時から社会状況が変わってしまっているわけだから、考え方の見直しも必要だろう。
ただ、仕事量と賃金をリンクさせないことを「是」としていることが、判決の一番の問題点だ。
定年再雇用者なら同一労働同一賃金でなくても良いのか?高年齢者雇用の65歳を超えた場合には、また、同一労働同一賃金の考えた方が適用されるのか?
今まで労働者に説明していたことが根底的に崩れ去ることも考えられる…
総務担当者でも、なぜ、「賃金を減額しても大丈夫なのか?」とハッキリ答えられる人は少ないはずだが、それら問題点を整理する意味では、上告は意義のあることだと思う。

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Re: 定年再雇用後の賃金減額

著者 いつかいり さん

最終更新日:2016年11月04日 21:03

hitokoto2008 さん おばんです。

仕事量をあるていど客観的に測定できる業務だけに、2審は意外でしたね。最高裁も大法廷に回付されて、今後20年、時代の評価に耐えられる判決がでることを期待しましょう。

思えば、解雇自由な戦後労基法がその後の判例で不自由となり、労働市場が発達せず、人手不足になってもブラック企業がしぶとく生き延びるてる。労対使のミクロ判決が、意図しない半世紀の長きにわたって日本社会を固定化してしまっただけに、これからでる判決はこれまた今後半世紀にわたって影響をおよぼすでしょうね。

Re: 定年再雇用後の賃金減額

著者 hitokoto2008 さん

最終更新日:2016年11月05日 11:32

いつかいりさん。

おはようございます。

仕事内容を変えずに、賃金を下げても問題ない。それも年齢によって…

とんでもない判決です(笑)
現実の雇用実態を知らない裁判官の判断ですね。
企業の賃金体系に精通していれば、そんな判断はできません。
当外企業においての、当該労働者のその労働内容、その職務責任に基づいて賃金額の適否が判断されるべきで、他企業の減額水準は全く関係ありませんね。
企業によって、その経営内容、経営方針は全く違うわけですから。
また、各企業の賃金制度も全く違うわけで、年功序列賃金や能力賃金の違いによっても、基準になる定年時の賃金の性質が変わってきます。
能力給中心の体系をとってきた企業においては、定年時も同じ能力を維持しているとみなすことができるわけで、その労働内容の検証せずに、年齢によってカットすることは、その企業が過去に行ってきた労務施策をすべて否定することになりますね。
なお、判決には若年労働者の雇用についても触れていますが、若年労働者の雇用と直接リンクさせるものではありません。
多くの企業においては、65歳までの高年齢者雇用継続に際して、事前にいろいろな労務施策を施してきました。
65歳までの雇用を見据えての賃金引き下げ等ですね。当然、その引き下げ原資は、若年労働者の雇用原資にも対応していくものであったはずです(60歳退職も65歳退職でも生涯賃金は変わらない)。

後は、同業他社を引き合いに出した具体的な減額率。これも、無知な経営者には「毒」にしかならない。
本質論の話ではなく、「賃金を減額できる話」しか伝わりませんね。
減額率が独り歩きしてしまうのも怖い…
うちの新しい経営陣も「賃金5%位なら理由がなくてもカットできる(一般労働者の話)」と話をしていましたが、都合のよい部分だけ聞き残しています(当該社労士は言ったことを否定)
また、設立数十年も経ているのに、40歳以上の社員がいない(笑)…そんな会社もあります。
現実の世界は、そういうレベルなので、最高裁では、キッチリ条件付きの判断を下してほしいと思っています(笑)

いつかいりさんが言われる通り、マクロ的に考えると「雇用の流動化」になりますが、高裁がそんな判断を下しているようでは、まず無理でしょう。
それを促す判断にもなっていないし…





> hitokoto2008 さん おばんです。
>
> 仕事量をあるていど客観的に測定できる業務だけに、2審は意外でしたね。最高裁も大法廷に回付されて、今後20年、時代の評価に耐えられる判決がでることを期待しましょう。
>
> 思えば、解雇自由な戦後労基法がその後の判例で不自由となり、労働市場が発達せず、人手不足になってもブラック企業がしぶとく生き延びるてる。労対使のミクロ判決が、意図しない半世紀の長きにわたって日本社会を固定化してしまっただけに、これからでる判決はこれまた今後半世紀にわたって影響をおよぼすでしょうね。
>

Re: 定年再雇用後の賃金減額

著者 いつかいり さん

最終更新日:2016年11月06日 11:09

簡単にコメントだけ、

控訴審判決は多岐にわたって言及し廃頽的(後ろ向きという意味)で衝撃的ですけれど、あれは裁判官の作文じゃなく(裁判官の創作文だったら政治的すぎますが)、あくまで控訴した被告弁護団側の寄せ集め的作文を読んだ裁判官が、うむぅもっともじゃとそのまま引用しただけですので、原告弁護側が作戦負けした感があります。

ここは原告側弁護団がふんばって上告審に臨んでほしいものです。

Re: 定年再雇用後の賃金減額

著者 コイズミ さん

最終更新日:2016年11月27日 07:45

定年後に給与が減額される方式は、60歳から年金が出、一定収入以上だと年金が減額されるという旧来の状況では説得力がありました。
現在順次65歳からの年金支給に移行する状態では、意味がありません。
2~3割給与を減らすなら、労働時間や日数を減らして、出勤していない日に別の仕事を個人的に受けてもいい(もちろん会社と同業の仕事はNGですが。請負ならいくら稼いでも年金には影響しませんし)仕組みは必要だと思います。
最高裁まで先々行くでしょうが、本来なら法律で、定年後減給はNGと明確に規定すべきと考えます。

Re: 定年再雇用後の賃金減額

著者 -くろ- さん

最終更新日:2016年11月28日 16:54

どっちの転んでも色々ありそうですが・・・
個人的には、同一労働同一賃金は推奨ですが、定年後再雇用の同一労働自体は否定的です。同一にするのであれば定年を65歳にした方が良いと考えます。

ちなみに、いち事務員として2割減を労働者に説明するのであれば・・・
トラックの運転手は肉体的に全員が65歳まで同一労働することは困難なため、60歳定年として退職金等を享受できるような給与体系になっている。そして、再雇用時2割減を前提としているため60歳までの基本給を割増で支給している状態。
もし、定年後再雇用時に減額しないとする場合は、給与体系を見直し(給表全体の見直しや55歳前後で昇給無等)60歳時点での基本給減にしなければ経営が困難になる。これまでの2割減については60歳までの割増分をすでに支給しているため遡及出来ない。
また、「同一労働同一賃金」を言うのであれば、同一労働の20歳代と同じ給与で良いということになります・・・という感じになるかと。

労使間のやり取りの内はいいですが、裁判になると明確な理由を提示することが困難ですので面倒ですね~

人件費は無尽蔵に捻出できるわけではないので、どこかを出すのであればどこかを削らなければいけないことになります。そもそも、日本では年功序列は適法とされているので、もともと若い人の賃金を下げて高齢者の賃金を高くしています。定年後でも、その高いままで良いのか?という問題でもあるので一概に2割減が違法というのもちょっと違う気がします。
もし、同一労働同一賃金を本来の意味で実現させようとするのであれば、年功序列で昇給するシステム自体を壊さなければいけないのでは?と考えます。

「同一労働同一賃金」について、その定義自体も曖昧なままですので、最高裁でどのような判断が下されるのか気になります。

Re: 定年再雇用後の賃金減額

著者 hitokoto2008 さん

最終更新日:2016年11月28日 21:33

こんばんは、コイズミさん。

かなり前の投稿でしたので、その後レスがつくとは思っていませんでした。

> 定年後に給与が減額される方式は、60歳から年金が出、一定収入以上だと年金が減額されるという旧来の状況では説得力がありました。
> 現在順次65歳からの年金支給に移行する状態では、意味がありません。

これについては同感ですね。

> 2~3割給与を減らすなら、労働時間や日数を減らして、出勤していない日に別の仕事を個人的に受けてもいい(もちろん会社と同業の仕事はNGですが。請負ならいくら稼いでも年金には影響しませんし)仕組みは必要だと思います。
> 最高裁まで先々行くでしょうが、本来なら法律で、定年後減給はNGと明確に規定すべきと考えます。

これについては、究極はダブルワークを認めること(どちらが本業になるかわからないが、本業に支障がないという条件で…(笑))
但し、私のWワーク論はもっとマクロ的ですが…
で、定年後の減給も同時に最低賃金ラインまで減額可能と個人的には考えています。
でも、賃金に見合った労働の枠だけは外せません。
会社がある程度の賃金を提示できなければ、それはそれで仕方がないと思います。無理をいっても、出せないものは出せない…
問題は、「再雇用賃金が安いか高いかではなく、その出せる賃金に見合った仕事をさせなさい」ということです。
会社はこれしか給与を出せないということを正直に話して、それに見合った仕事をしてもらえば、それで十分だと思います(社畜になる必要はない)。
(因みに、私の時給は千円)

年金支給時の段階的繰り下げに伴い、その都度その不足分を会社が増額していくべきなのか?
この命題については、定年前に自ら検討しましたが…やはり、自社においてはその体力はありませんでした(笑)
私の世代はまだ何とかなりますが、65歳からの年金支給世代だと生活破たんしてしまうかもしれませんね。
でも、自社内ではそこまで気をまわせる人間もいない…(笑)
個人的には、現状での対策はコイズミさんの言われるような請負か、Wワークしか思い浮かばない状態です。(笑)

Re: 定年再雇用後の賃金減額

著者 hitokoto2008 さん

最終更新日:2016年11月28日 21:33

ーくろーさん、こんばんは。

> どっちの転んでも色々ありそうですが・・・
> 個人的には、同一労働同一賃金は推奨ですが、定年後再雇用の同一労働自体は否定的です。同一にするのであれば定年を65歳にした方が良いと考えます。
> ちなみに、いち事務員として2割減を労働者に説明するのであれば・・・
> トラックの運転手は肉体的に全員が65歳まで同一労働することは困難なため、60歳定年として退職金等を享受できるような給与体系になっている。そして、再雇用時2割減を前提としているため60歳までの基本給を割増で支給している状態。


残念ながら、私のところでは10年以上前に年功序列賃金を廃止し、能力主義にしてしまいました。
したがって、「定年まで割増しで支払っていた部分があったんだよ…」という論理展開ができません(苦笑)


> もし、定年後再雇用時に減額しないとする場合は、給与体系を見直し(給表全体の見直しや55歳前後で昇給無等)60歳時点での基本給減にしなければ経営が困難になる。これまでの2割減については60歳までの割増分をすでに支給しているため遡及出来ない。
> また、「同一労働同一賃金」を言うのであれば、同一労働の20歳代と同じ給与で良いということになります・・・という感じになるかと。

55歳で昇給停止、役職定年も導入していましたので、減額理由がたちません。おまけに能力主義の論理展開ですから、同一労働同一賃金の論理は崩せない状態になっています。
(お前は、俺たちに今まで嘘を言っていたのか!となってしまう…(苦笑))
問題点があるとすれば、能力主義を掲げていながら、その能力を査定する人間の能力に問題があったかもです…(笑)


> 労使間のやり取りの内はいいですが、裁判になると明確な理由を提示することが困難ですので面倒ですね~
>
> 人件費は無尽蔵に捻出できるわけではないので、どこかを出すのであればどこかを削らなければいけないことになります。そもそも、日本では年功序列は適法とされているので、もともと若い人の賃金を下げて高齢者の賃金を高くしています。定年後でも、その高いままで良いのか?という問題でもあるので一概に2割減が違法というのもちょっと違う気がします。
> もし、同一労働同一賃金を本来の意味で実現させようとするのであれば、年功序列で昇給するシステム自体を壊さなければいけないのでは?と考えます。

この年功序列システムを崩すことには賛成です。
ただ、終身雇用制がある程度崩れてしまったとはいえ、大企業の意識が未だに変わらない…
それは、企業の社員囲い込み、長時間労働、Wワークの禁止など、企業への忠誠心を求める体制は残っていますからね。
私が考えている究極の雇用制度は、労働者全員無期雇用か全員有期雇用のどちらかです。「正社員という概念」を無くしてしまうことですが…そこまで考えている人はあまりいないようですね(笑)


> 「同一労働同一賃金」について、その定義自体も曖昧なままですので、最高裁でどのような判断が下されるのか気になります。

これも同感ですが、今の日本の企業が行っている賃金体系を白紙にしないと実務的には無理だと思っています。
当然、基本給制は廃止となります(月給か年俸かは問題でない)。

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