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働き方改革で変わる労使関係~変わっていく労働法~

2020.08.26

ここ数年“働き方改革”という言葉を耳にする機会が増えてきたのではないでしょうか。

働き方改革とは、働く人それぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会の実現を目指すものです。

「長時間労働の是正」や「多様で柔軟な働き方の実現」、「同一労働同一賃金」などについて、労働関係法令の改正と絡めて推進していこうというものです。

今回は、働き方改革に伴い改正のあった法律の中でも、労働法に絞って紹介します。

長時間労働の是正

まずは、「働き方改革」の柱のひとつである長時間労働の是正についてです。

長時間労働はさまざまな問題を引き起こしてきましたが、Oxford English Dictionary Onlineに「karoshi」と登録されて世界に知られた「過労死」は、その最たるものでしょう。

時間外労働が「1ヶ月で100時間を超える」場合や「複数月の平均で80時間を超える」場合、過労死に至るリスクが高まるとされ(※1)、これを「過労死ライン」と呼ぶこともあります。

過労死の防止のため、また、調和のとれたワーク・ライフ・バランス実現のためにも、長時間労働の是正は必要です。

この長時間労働の是正のために、労働基準法が改正されました。

残業の上限時間が法律で明確に定められたのです。残業時間の上限は、1ヶ月45時間、1年間で360時間となりました。

また、臨時的な特別な事情があったとしても、残業時間は以下の基準を超えることはできません。

  • 1年720時間以内
  • 1ヶ月100時間未満(休日労働を含む)
  • 2〜6ヶ月月平均80時間以内(休日労働を含む)

今までは特別条項を労使で結ぶことで実質は青天井だった残業時間に、法律で罰則付きの上限規制が設けられました(※2)。

事業主の労働時間把握義務が強化

この労働基準法の改正に関連して、労働安全衛生法の改正も行われました。

週40時間を超える労働時間が月当たり80時間を超える労働者に対し、事業主は、労働時間に関する情報を提供しなければなりません。

つまり、「あなたは長時間労働になっていますよ」という情報を伝える必要があるということです。

そして、その労働者から申し出があった場合は、事業主は医師による面接指導を実施しなければなりません。

この労働安全衛生法の改正に伴って、事業主の労働時間の把握義務が強化されました。今までは、残業代の支払い等のために、会社は労働者の労働時間を把握する義務がありました。

したがって、原則として残業代の支払いの対象にはならない管理監督者やみなし労働時間制適用者に対しては、労働時間の把握義務はありませんでした。

しかし今後は、過労死防止という観点から、すべての労働者について、労働時間の把握が必要になります(※3)。

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有給休暇取得の義務化

労働基準法の改正には、もうひとつ、大きな改正がありました。年5日間の年次有給休暇の取得を企業に義務付けるというものです(※4)。

これは、1年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、付与日から1年以内に必ず5日間は年次有給休暇を取得させなければならないというものです。

労働者が自分から年5日以上の年次有給休暇を取得すればまったく問題ないのですが、そうでないときは、会社が労働者から取得時季の希望を聴いたうえで、日にちを指定して年次有給休暇を取得させなければなりません。

これは、年10日の年次有給休暇が発生するすべての労働者が対象なので、パートやアルバイトであっても、週の所定労働時間や勤続年数によっては対象となります。

年次有給休暇には、もうひとつ改正があります。年次有給休暇管理簿を労働者ごとに付けなければならなくなりました。

働き方改革の次の柱、「多様で柔軟な働き方の実現」については、フレックスタイム制の拡充や高度プロフェッショナル制度の創設等が行われました。今後は、裁量労働制の対象業務が拡大されていくと思われます。

同一労働同一賃金による正規・非正規従業員の待遇差撤廃

次にお話するのが「同一労働同一賃金」のお話です。これは、同一企業内での正規従業員と非正規従業員との間の不合理な待遇差をなくしましょうというものです。

ポイントは下記の2点となります。

・均衡待遇
①職務内容 ②職務内容・配置の変更範囲 ③その他の事情 を考慮して不合理な待遇差を禁止する
・均等待遇
② 職務内容 ②職務内容・配置の変更範囲 が同じ場合には差別的な取り扱いを禁止する。

つまり、同じ働き方なら待遇も同じにしなさい、働き方に違いがあるなら、その違いに応じた範囲内での待遇差にしなさいというもの。

また、非正規従業員から、待遇内容や待遇決定の際の考慮事項、待遇差の内容・理由について説明を求められた場合、会社には説明義務が課されています(※5)。

パワハラ防止も義務化へ

話は変わって、2020年の6月1日から、いわゆる“パワハラ防止法”が施行されています。

これは、企業に対し、パワハラを防止するための措置をとることを義務付けるもので、具体的には、パワハラに対する社内方針の周知や相談窓口の設置、パワハラ発生時の迅速・適切な対応等が挙げられます。

この法律で定めるパワハラとは、以下の3つすべてを満たすものとなります。

  • 1 優越的な関係を背景とした言動
  • 2 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
  • 3 労働者の就業関係が害されるもの

ちなみに、このパワハラ防止法は、大企業については2020年の6月1日から施行されていますが、中小企業については2022年4月1日からとなっています(※6)。

今回は、働き方改革に伴う法改正の概要を紹介しました。今後は、それぞれの内容について、もう少し掘り下げて解説していきます。

 

【参考】
※1 過労死等防止啓発パンフレット(厚生労働省)
※2 時間外労働の上限規制 わかりやすい解説(厚生労働省)
※3 改正労働安全衛生法の ポイント
※4 年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説(.厚生労働省)
※5 同一労働同一賃金 | 働き方改革特設サイト(厚生労働省)
※6 パワーハラスメント対策が事業主の義務となります!(厚生労働省)

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