
不当な契約は罰則も…正社員以外の雇用契約で企業が注意すべきポイント
2024年11月から、フリーランス新法が施行されました。現在、人口減少による人材不足は多くの企業にとって深刻な課題となっており、正社員だけでなく、業務委託を活用して必要な人材を確保する必要性が高まっています。しかし、正社員ではないからといって不当な契約や不適切な扱いをすると、企業が罰則を受ける可能性があるでしょう。
本記事では、フリーランスや契約社員など、正社員以外の雇用形態に関する契約上のお悩みを取り上げ、適切な対応方法についてまとめました。今後、こうした雇用形態の活用を検討している場合、法律に違反していないかをしっかり確認することが重要です。
1. イベントの外部講師はフリーランス新法にあたる?
質問日:2024年11月2日
◆1. 質問内容(全文)
特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律、いわゆるフリーランス・事業者間取引適正化等法の対象となる特定受託事業者(フリーランス)についてお尋ねします。
当社の管理する施設を利用して、料理教室やフラワーアレンジメント教室などを開催しています。その際、法人所属ではない個人の外部講師に依頼することがあるのですが、このような個人取引先は全員この法律の対象となるということでしょうか。
当社がお願いしている個人取引先は技能教授を正業としてフリーランスで生計を立てている方もいらっしゃれば、配偶者の扶養の範囲内で協力したいので交通費と昼食代程度がいただければという有償ボランティアのような方もいらっしゃいます。
法律の対象が例えば「税務署へ開業届を出している者」などの線引きがあるのか調べていてもわからなかったため、もしご存じの方がいらっしゃいましたらご教示お願いいたします。
◆1. 総務の森に寄せられた返信はこちら
●回答①
(前略)
法律の条文上、そのような個人の方々もこの法律の対象となる可能性があります。
法律上、「特定受託事業者」への発注が対象となりますが、この「特定受託事業者」として、
業務委託の相手方である事業者であって、個人であって、従業員を使用しないもの
(法2条1号)
とされています。ご質問にある、有償ボランティアのような方が「事業者」と呼べるかどうかで判断は変わってくるものの、基本的には対象となるとして取引したほうがよいかと思います。
●回答②
(前略)
税務処理は、税法上そのフリーランス(と以下呼称します)の問題で、この新法には関係ないでしょう。フリーランスが従業員を雇用して事業している、消費者個人相手の取引※、フリーランスに偽装した真に質問者雇用の労働者といった法にさだめた除外事項にあたらねば、新法の保護対象でしょう。
※本件で言えば、質問者さんは場所を提供しているだけで、質問者さん介入なく教授料は個人とフリーランス間で取り決め、場所代をフリーランスから質問者さんに納める形態。
https://www.jftc.go.jp/freelancelaw_2024/index.html
https://www.mhlw.go.jp/content/001261528.pdf
●回答③
特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)は、フリーランスとして業務を受託する個人事業者と企業などの発注事業者との取引の適正化を図るための法律です。この法律は、特定受託事業者(フリーランス)に対して、取引条件の明示や報酬の支払いなどに関する義務を発注事業者に課しています。
具体的には、特定受託事業者とは、以下の条件を満たす個人または法人を指します。個人であって、従業員を使用しないもの
法人であって、一の代表者以外に他の役員がなく、かつ、従業員を使用しないものしたがって、会社が依頼する個人取引先が、法人所属ではなく、従業員を使用しない個人であれば、この法律の対象となります。ただし、配偶者の扶養の範囲内で協力する有償ボランティアのような方については、法律の適用が微妙な場合もあります。
>相談元やほかの返信はこちら
総務の森<相談の広場>『フリーランス・事業者間取引適正化等法の対象について』
【関連記事】フリーランス新法をチェック
2023年4月28日、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)」(以下、フリーランス新法)が成立しました。同法は、個人として業務を受けるフリーランスと発注事業者の“取引の適正化”、“フリーランスの就業環境の整備”を図ることを目的としています。
そこで下記記事では、2024年11月1日から施行されるフリーランス新法について解説していきます。
>詳しくはこちら
経営ノウハウの泉『「フリーランス新法」で何が変わる?経営者は知っておくべき、新たな取引規制と働き方改革』
2. 契約期間中、雇用側都合での直前の解雇や欠勤扱いは可能?
質問日:2024年11月24日
◆2. 質問内容(全文)
現在契約社員として勤務しています。
仕事内容は銀行からの委託業務になっております。
契約期間は2024年10月〜2024年12月です。
現在研修中で12月中旬にテストがあり、もしそのテストに受からなければ更新はないと言われました。またテストに受からなければ翌日以降は出勤できず欠勤扱いになると言われました。社会保険は入っているので、払ってもらうとのこと。
1月以降の契約更新の話もあり、上記の説明で受からないと即欠勤扱いと言うことが今後この会社で働いていく上で不安で更新を考えています。
もし契約更新しないとなると研修する必要がないので11月で来なくていいと言われそうな雰囲気です。
実際欠勤扱いになるのか、契約を短くされるかはまだ確認できていません。契約社員といえど、雇用期間は12月までなのに直前で契約期間を短くされたり欠勤扱いにされたりするのはありえるのでしょうか。
こちらも直前の解雇や欠勤扱いになると困ります。
◆2. 総務の森に寄せられた返信はこちら
●回答①
(前略)
> 現在契約社員で勤務しています。
3か月の有期雇用契約であれば中途の契約の解除は双方できません。
なので能力不足による契約の終了はあるかもしれません(これは契約内容に記載があるはず)。
テストに受からない場合に欠勤になるのは問題がある対応ですね。会社が休業を命じているのですから、会社は休業手当の支払いが必要になります。
社会保険に加入しているのであれば、欠勤や休業命令によって社会保険料の資格喪失にはなりませんので保険料の支払いは必要です。> 仕事内容は銀行からの委託業務になっております。
個人として業務委託契約を2024年10月〜2024年12月でおこなったのであれば、中途の契約の解除はありえます(ただし契約書にその解除する方法の記載があるでしょう)。
ただ業務委託契約の場合には「欠勤」することはありませんし、「業務委託先の社会保険に加入」することもありません。なので、3か月の有期雇用契約であるかと思いますが、そうであれば契約を更新せずに終了はあるかもしれませんが、解雇はありえませんね(解雇事由を満たした場合を除く)。
●回答②
1. 契約期間の短縮
一般的に、契約期間が定められている場合、使用者はやむを得ない事由がない限り、契約期間の途中で労働者を解雇することはできません(労働契約法第17条)。
契約期間の短縮は、契約期間内の解雇とみなされるため、合理的な理由が必要です。2. 欠勤扱い
テストに合格しなかった場合、翌日以降の出勤が認められず欠勤扱いになるというのは、契約上の取り決めや就業規則に基づくものである可能性があります。
ただし、欠勤扱いにするためには、事前に明確な説明と合理的な理由が必要です。3. 契約更新の不安
契約更新が不確定な場合、使用者は30日前までに予告する義務があります(「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」)。
予告なしに契約を終了する場合、30日分の平均賃金を支払う必要があります(労働基準法第20条)。
>相談元やほかの返信はこちら
総務の森<相談の広場>『雇用期間中の勤務について』
【関連記事】契約社員は解雇できる?
今回の質問のように、有期契約社員が必要な資格を取得していなかったり、期待していた業務を遂行できなかったりする場合、契約期間中に解雇を検討せざるを得ない状況に直面することがあります。また、「人間関係がうまくいかない」「他の社員と衝突してしまう」などの問題から、「このままでは職場の雰囲気が悪化してしまう。早急に辞めてもらいたい」と悩むケースもあるでしょう。
下記記事では、解雇が可能かどうか、また解雇が難しい場合にどのように対応すべきか、実践的な解決方法を考察します。
>詳しくはこちら
経営ノウハウの泉『有期契約社員の解雇はできるのか?実戦的な対応法を弁護士が解説』
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