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キャリアアップ助成金との違いは?3分でわかる「人材開発支援助成金」 【申請に必要な情報まとめ】

キャリアアップ助成金との違いは?3分でわかる「人材開発支援助成金」 【申請に必要な情報まとめ】

2021.07.12

超高齢化社会を迎え、慢性的な人材不足に悩まされている企業も少なくないでしょう。また、長時間労働が社会問題化していることもあり、特定の労働者へ負担が集中することを避けるため、新たに労働者の雇用を検討するというケースもみられます。

これらの状況を受け、社員一人ひとりの価値がより重視される傾向が強まっています。人材育成や優秀な社員の確保が企業の今後を左右することになるでしょう。

そこで注目されているのが、企業の人材育成を後押しする助成制度『人材開発支援助成金』です。助成金を受けるための準備や提出書類が多い制度ですが、一つずつ書類の準備を進めていくうちに、社内での教育訓練制度を整えることができるというメリットもあります。

今回は、『人材開発支援助成金』の概要から、他の助成金と異なる特徴、また実際に申請する際に間違えやすいポイントについて、順に解説していきます。

コースは全7種!「人材開発支援助成金」とは

『人材開発支援助成金』とは、社員が段階的にスキルアップできるよう、職業訓練などを計画的に実施した場合、または社員のための人材開発制度を新たに導入・運用した場合に、かかった経費の一部が助成金として支払われる制度です。

人材開発支援助成金には、以下7種のコースが設定されています。

(1)特定訓練コース

主に若い労働者向けにOJTとOff-JTの双方を組み合わせた訓練を実施するコース

(2)一般訓練コース

仕事に関する知識やスキルをマスターさせるための訓練を実施するコース

(3)教育訓練休暇付与コース

有給休暇を付与した教育訓練制度を導入するコース

(4)特別育成訓練コース

契約社員・パート・派遣社員などの有期契約労働者等に対して職業訓練を実施するコース

(5)建設労働者認定訓練コース

建設業の中小事業主向けの認定訓練や有給を付与した訓練を実施するコース

(6)建設労働者技能実習コース

建設業向けに有給を付与した技能実習を実施するコース

(7)障害者職業能力開発コース

障害者向けに職業能力開発訓練事業を実施するコース

「人材開発支援助成金」のメリット・デメリット

特に企業規模の小さい中小企業の場合、社員一人ひとりのレベルアップが売り上げに直結しやすいとされています。しかし同時に、人材育成のための資金確保が難しい状況であることも事実です。『人材開発支援助成金』を活用することで、企業は職業訓練のためのコストを抑えながら無理なく社員の育成を行うことができます。

その一方、『人材開発支援助成金』は複数のコースが展開されていることから、活用までにはある程度の制度に関する理解や準備が必要となる点は注意しなければなりません。

また、中小企業の場合は社員教育のために必要となる場所や時間、レジュメ等を準備することが難しいケースもあります。社外の訓練機関を活用する方法や、教育訓練や助成制度に詳しい専門家へ相談をする方法も検討すると良いでしょう。

名前は似ているけど…まったく別物!「キャリアアップ助成金」との違い

『人材開発支援助成金』は、その名称から『キャリアアップ助成金』と混同する場合が多くみられますが、その内容は大きく異なります。

『人材開発支援助成金』が雇用保険の加入者を対象としていることに対し、『キャリアアップ助成金』は有期雇用者、契約社員などの非正規労働者を対象としています。制度の設置目的も異なり、『人材開発支援助成金』は社員の育成・教育を行う企業をサポートする制度です。一方、『キャリアアップ助成金』は、非正規雇用者や障害をもつ社員、短時間労働者を企業内でキャリアアップさせ、正社員へ転換する取り組みや労働時間を延長させる取り組みを行うことで、さまざまな雇用形態や状況の者に働きやすい環境を整えた企業をサポートするための制度です。

なお、『キャリアアップ助成金』は、有期雇用者の健康診断実施制度を充実させた場合にも助成の対象となります。

対象となる資格やスキルは?

『人材開発支援助成金』の対象となる資格や能力については、企業の規模や業種によって多種多様であり、一概に一言で表すことができないのが現状です。

また、社員の能力に応じた複数の教育訓練を実施する必要があります。

たとえば、建設業で総合職として入社したばかりの新入社員の場合、まずは基本となるビジネスマナーやOA研修から始め、危険物取扱者等の比較的基礎的能力が求められる資格取得に向けた教育を行います。また、技能研修として足場の組み立て等の基礎的能力を取得し、徐々に中堅社員向けの内容へシフトをしていくことになります。最近では、e-ラーニング等のオンラインを活用した教育ツールを利用する方法も効果的です。

制度を活用すると支給される金額は?

助成制度の支給額は、コースに応じて異なります。

ここでは、活用例の多い(1)特定訓練コース、(2)一般訓練コース、(3)教育訓練休暇付与コースにおける、中小企業向けの金額を紹介しましょう。

(1)特定訓練コース

実施したOff-JT、OJTに応じて以下の通りになります。生産性要件を満たした場合は下記金額に更なる上乗せがあります。

Off-JT:経費の助成45%、賃金の助成760円(社員一人の1時間あたり)
OJT:賃金の助成665円(社員一人の1時間あたり)

(2)一般訓練コース

こちらも(1)特定訓練コースと同じく、生産性要件を満たした場合は下記金額にさらなる上乗せがあります。

Off-JT:経費の助成30%、賃金の助成380円(社員一人の1時間あたり)

(3)教育訓練休暇付与コース

教育訓練休暇の長さに応じて異なります。

教育訓練休暇制度の場合は30万円までの経費助成、30日以上の長期教育訓練休暇制度の場合は社員一人あたり一日6,000円、20万円までの経費助成が行われます。

申請や手続きの流れ

この項目では、『人材開発支援助成金』の具体的な申請方法について解説します。導入例の多い(1)特定訓練コースを例に挙げますので、参考にしてください。

STEP1:職業能力開発推進者を選任する

まず、社内で職業能力を統括する者を選出します。社内の仕組みに明るい、ある程度のポストに就いている者を選ぶと良いでしょう。

STEP2:事業内職業能力開発計画を策定する

次は社員を育成するための基本的方針を設定します。策定したところで、社員へ周知する必要があるので注意しましょう。

STEP3:訓練実施計画書・年間職業能力開発計画書を提出する

訓練実施計画書・年間職業能力開発計画書は、前項目で定めた事業内職業能力開発計画の内容に沿った形で、1年の間にどのように社員教育を実施するかを計画し記入するものです。訓練を実施する機関や場所、対象となる社員を具体的に決めていきます。

提出期限は訓練を開始する1ヶ月前となるため、必ず期限を念頭に置いた上で対応する必要があります。

STEP4:訓練の実施、変更があった場合の対応を行う

提出した計画書の通りに社員の訓練を進めます。もしも途中で計画内容に変更が生じた場合は、変更前までに計画変更届を労働局へ提出する必要があります。“変更前”とは、もともと計画していた訓練を実施する予定の日、または変更後に訓練を実施する日のどちらか早い方の日の“前日”です。

STEP5:支給申請を行う

訓練が終了したら、その翌日から2ヶ月以内に、支給申請に必要な書類を労働局へ提出します。支給申請前に訓練にかかった出費分の経費をすべて支払い終えていることが要件となりますので、注意しましょう。具体的な提出書類の内容が記載されたチェックリストが厚生労働省のホームページに掲載されていますので、活用する方法が有効です。記事末尾に参考資料をリンクしているのでチェックしてみてください。

 

計画の内容は途中で修正することも可能であるため、まずはチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

【参考】
人材開発支援助成金(特定訓練コース、一般訓練コース、教育訓練休暇付与コース、特別育成訓練コース) / 厚生労働省
提出書類チェックリスト(特定訓練コース) / 厚生労働省

* tomcat / PIXTA(ピクスタ)