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人脈の作り方・育て方「出会いに投資する。でも、売り込みはしない」古賀真さんインタビュー(2)

2020.11.28

「人生は誰と出逢って誰と付き合うかしかない」※と、人と人の繋がりや人脈を大切にして、自分のキャリアを築いてきた古賀真さん。誰もが憧れるようなワークスタイルとライフスタイルを築き上げた古賀さんに、人脈作りや営業の秘訣を伺うインタビューシリーズの第2回です。

前回は転職の経緯や自らセミナーを開催することによって本業にもたらされた良い影響について紹介しました。「2012年くらいからブレイクスルーがあって付き合う人も変わって、働き方も変わりました」という古賀さんは、現在は個人事業主のような形で、自由に時間を使って働いています。

付き合う人を変えようと思ったきっかけ、そして付き合う人を変えるためにやるべきこと、さらに人に信頼を得るための人脈術とは?

付き合う人を変えるため行動。「出逢い」を求め88万円の高額セミナーへ

――最初は個人保険を中心に営業されていたということですが、付き合う人が変わったきっかけはなんだったのでしょうか?

古賀:1つこれ、と言えるものはなくて。色々な複合的な要因なんですけど、何より「変えようと思った」というのが大きいです。

――自分から動いたんですね。

古賀:個人保険でもそれなりの実績はあがっていました。でも、忙しいし、当たり前ですけど、お客様がどんどん増えるんですよ。ご契約後のサポートも基本的に営業マンが全部やるというのがうちの会社のシステムなので、このままだと一人ひとりのお客様に100%のサポートができなくなってしまうのではないか?と考えるようになりました。

先輩たちを見ていて、2,000人とかお客様がいらっしゃっても楽しそうにやっている人もいるんですけど、私が目指すところはそこじゃないなと思っていて。自分自身の大変さや楽さ、というところももちろんなんですけど、本当にお客様のことを真摯に考えた時に、「忙しすぎて手が回らない営業マンに担当してもらいたいか」と考えたんです。

入社から5年目に契機があって、さまざまな葛藤もありながら今のスタイルに振ってきたんですけど、元々いろんな思いがある中で、1人でも多くの人にきちんとした保険を、という使命感を持って今の会社に飛び込んだので、その時に自問自答をするわけです。「お前はお金持ちにしか保険を売らないのか?」と。

「経済的な余裕がない方にもすごく大事な保険があるのに、そこを切り捨てるということは、元々お前がやりたいと思っていたことと整合性が取れるのか?」とずっと自問自答して。何度も考えたんですけど、結論としては腹に落とせたんです。

よく後輩に話すのですが、とても端折って言うと「月〇千円お支払いいただいている方と、年間○○〇万円お支払いいただいている方から同時に『ちょっと来てくれ』と言われた時にどうするか。もし後者を選ぶようなら、初めからそれなりの金額を支払っていただけて、自分もきちんとお応えできるような方とお付き合いしながらやっていく道を選ぶべきじゃないか」ということを、腹に落として納得しました。

そうでない方は、私じゃなくて別の営業マンが担当させていただいた方がお互いに幸せなんじゃないかと。

そうなると、付き合う人を変えなくちゃいけない。付き合う人がどうやったら変わるかというと、まず、「出逢い」(出会い)なんです。

――では、出会いを求めるために動いた、と。

古賀:出会うためにと色々なことを考えていたんですけど、当時は経営者の人脈はほとんど無い中でも、細々と人を紹介したりという地道な作業と、あともう1つ、高額セミナーに結構行きました。

未だにずっとお世話になっている研修会社さんがあって、ここのセミナーは高いんですよ(苦笑)。毎年、夏と冬に都内のホテルで経営者セミナーをやるんですけど、3日間で30万円なんです。あと、私が初めて行った脳科学の専門家の塾は、1年間通して2ヶ月に1回、全6回で88万円なんです。

――高いです(笑)。

古賀:私も「高いな~!」と感じました。でも、飛び込んでみて、そこから他の高額セミナーや海外視察とかも行くようになったのですが、入ってみてわかったことは明確で、それだけのお金を払える方しか参加していないので、少なくともそこにお金を持っていない人はいないんですよ。

あと1つは、それくらいのお金を払って来ているということは、本当に学ぼうという志のある方が多いんです。裏を返すと、出会う人として、言い方は悪いですが、ハズレを引く確率が極めて低い。いわゆる一般的な異業種交流会みたいなところって、ハズレも多いんです……(苦笑)。

値段ですべては決まらないですが、ただ出会いを求めるだけではなく学びたいテーマをきちんと選んで高いお金を払って参加すると、自分にとって非常に良質な学びと、良質な出会いが得られることを実感しました。

これも“保険営業マンあるある”なんですが、高いお金を払って”見込み客を探し”に塾に行く人が多いんです。要するに「保険に入ってくれる人いないかな」と。でも、これをやると絶対にNGなんです。

――その場でお客さんを探したらダメだと。

古賀:それなりの経営者の方々は営業に慣れていたり、人の空気を見ることに非常に長けていらっしゃるので「あ、こいつ売り込みに来たな」と一瞬で分かるんです。私も最初はそうだったんです。でもそうじゃなくて、見込み客としてじゃなく、人との出会いを求めに行く。

今の私だったら「AT-1の講師になってくれる人いないかな」とか。結局、回り回ってお客様になってくださる方はもちろんいらっしゃるわけですけど、自分の保険のお客様になる人を探しに行くとダメなんですよ。営業の極意的な話だと、そういう部分は結構大事ですね。あくまでも出会いを求めて行くのであって、決して最初から売り込もうとしない、という点はものすごく重要です。

ブランディングが重要!知人をひけらかすと自分の株は下がる

――人脈を広げるために大切なことはなんでしょうか?

古賀:知人と人脈の違いの話をしておくと、特に保険の営業マンは「私あの人知ってます!」と言いがちなんですね。それってただの知人で、こっちは知っているんですけど、相手が知り合いだと思っているかはかなり怪しい。むしろ、ほぼ相手側は知らないことが多いんです。「この人知ってます、あの人知ってます」って本人は人脈自慢のつもりで自分の株を上げたいんですけど、これ真逆なんですよ。知人をひけらかすと、その本人の株は下がるんです。

知人と人脈の違いの私なりの定義では、人脈は“お願いごと”ができる相手です。しかもお願いごとは「自分の保険に入ってください」というお願いではありません。

例えば、私が信頼しているAさん、Bさんという人がいます。Aさんが今困っていて、Bさんの能力やスキルがあればAさんの問題を解決できます。「申し訳ないですがBさん、今回Aさんの問題を解決してもBさんの売上には1円にもなりません。だけれども、ここは私の顔に免じて1回助けてもらえませんか?」と言える関係値を、私は人脈と呼んでいます

――なかなかハードルが高いですね。

古賀:かなり深い関係だと思います。でも、この人脈をどのくらい築けるかなんですよね。今の例ほどの関係性ができていれば完璧です。そこまでいかなくても「別に大したメリットはないけど、古賀さんが言うなら良いよ」と言ってくださる、そういう関係値が人脈だと思います。それをしっかり築いていくことが大事だというのが私の中では前提です。

――その人脈を築くために行ってきた成功例は?

古賀:よく人前で喋るときに言っていた法則がいくつかあるんですけど、1つは、他人のブランドを借りて自分をブランディングする手法。今でこそ私は自分のブランドでそれなりに勝負できますけど、30歳くらいの若手の保険営業マンだと、経営者の方から「どうせ保険売りにきたんだろう」という風に見られます。でも、その経営者の方に一目置かれるような立場をお持ちの方と関係を持てれば、先方の自分に対する見方も変わってくる。

私のメンター(助言者)の弁護士先生が良い例なんですけど、すごく有名な弁護士さんとたまたまとても仲良くさせていただけるようになって。一時期は週に何回もご飯を食べに行くほど仲良くさせていただいていて、もう10年くらいのお付き合いになりますが、私がいろんな人を連れて行くので面白がってくれて。当然、たまには先生のビジネスにもなりますし、ビジネスにならなくても「最初は変なのいっぱい連れてきたよね」と楽しんでくれていました。

ある社長にお会いしたとして、私が「保険を売りたいだけだろう」という風に見られている関係値のときに、その弁護士先生の名前を出して「〇〇先生に会いませんか」という話をする。そうすると、「なんでお前がその先生を知っているんだ?」となります。当然、彼からすればまだ知人の域を出ず疑った状態です。

大事なのは、「じゃあ、ぜひ」とセッティングをして、三者で会った時に、私とその先生が非常に親しいところを見てもらうんです。そうするとその社長は「え? この若い保険営業マンがあの先生にものすごい信頼されているぞ?」と、私のブランドが上がるんですよ。

知人のレベルで自慢をすると逆効果なんですけど、本当の人脈ができると、他人のブランドを借りて自分をブランディングできる。もちろん、その先生にもきちんと了解を得てやることが大切です。「俺ってすごいだろ?」じゃなくて「こういった方々とお付き合いさせていただけている」とか、「こういう方に可愛がっていただけている」というのを見てもらう。そうすると見られ方がずいぶん変わるので、あとはもう自分次第です。

どれだけ自分が優秀であったとしても、見られ方が悪いと相手とは上手に付き合えないんですよ。人脈を広げる上で、分かりやすい意味でブランディングするために、キーマンを作っていくのはすごく重要ですね。

――人脈を築くための会話術などはありますか?

古賀:人間は、基本的に他者との共通項を探ることを喜んだり、決断を先延ばしにする生き物だったりする訳ですが、共通項を探っていくというのはノウハウ系の中では1つ鉄板の方法ですよね。私は福岡出身の人間なので、東京で福岡の人間に会うと一気に仲良くなれます。お互い勝手に良い人認定したりして(笑)。

あとは、“あまり社交辞令をしない”というのは私の特徴としてあります。行動が早いんですよ。だから「今度ぜひ」と言った時に、本当にすぐにメールをするとか。もちろんそれで会ってくださらない方もいますが「あ、本当にやるんだ」と思われるように行動に移すことが大事です。

また提供価値と言うとドライに聞こえますが、やっぱり付き合いたいと思っていただける自分であるかどうかなんです。人柄みたいなところも大切ですが、この人と付き合うとどういった良いことがあるとか、メリット・デメリットというよりは、もう少し深いことが大事なんですけど、自分の強みを明確にしておくことは大事だと思います。

次回は古賀さんが思う、成功する経営者像、危険な経営者を見分けるポイントを紹介します。

※「経営ノウハウの泉」の標準的の表記は「出会い」ですが、古賀さんの表記のこだわりから一部「出逢い」としています。ご了承ください。