
ビジョン浸透の鍵はオフィスにあり!社内に浸透させる秘訣とは
企業のビジョンは、組織が達成したい理想的な状態や目標を示すものです。しかし、ビジョンが組織全体に浸透し、すべての社員に共有できていなければ十分な効果を発揮できません。本稿では、企業のビジョンを効果的に浸透させる方法を解説します。
目次
なぜビジョンへの共感が重要なのか
企業の長期的な成功のためには、自律的な組織をつくることが大切です。そして、そのような組織をつくるためには、骨格となる”経営ビジョン”が重要となります。社員の中にしっかりとビジョンが落とし込まれていると、社員全員が同じ方向に向かい、意思決定や行動することができるからです。
しかし、ビジョンを浸透させる際に注意するべきことがあります。それは、個々人でビジョンの解釈を取り違い、認識に齟齬が生まれる可能性があることです。その結果、組織に混乱が生じてしまい、最悪の場合、企業ブランディングの棄損へとつながってしまうことがあります。企業の目指すべき方向を示すビジョンが、そのようなことになっては本末転倒です。正しい解釈で社員にビジョンが浸透できるように工夫しましょう。
ビジョンを浸透させる方法4つ
1)わかりやすいビジョンの見直し
ビジョンを浸透させるためには、ビジョンそのものをわかりやすくしましょう。なぜなら、ビジョンは企業の目指す未来を示す一方で、社員が取るべき行動の指針でもあるからです。せっかく素晴らしいビジョンを決定しても、社員一人ひとりの行動に落とし込めないビジョンや、理解しづらいものでは効果は低くなってしまいます。
たとえば、以下のようなわかりにくいビジョンの特徴は以下です。
- 抽象的すぎてわかりにくい
- 用語が難解すぎて理解しにくい
- 現場とあまりにもかけ離れているため自分事と認識できない
2)目標や評価とビジョンの連携
短期・中期的な目標を設定する際には、ビジョンを落とし込んだ事業目標にしましょう。ビジョンとはいわば大きな目標です。それを達成するためには小さな目標に落とし込む必要があります。その際に、ビジョンと小さな目標の整合性が取れるようにリンクさせる必要があるのです。小さい目標を達成していくことで最終的にビジョンに近づくようにしましょう。
同時に、目標の達成度合いをはかる人事評価も、ビジョンとの整合性を取るようにします。ビジョンへの貢献度を評価基準に組み込めば、社員がビジョンに向けて行動する意識を高められるからです。
3)定期的なビジョンの発信
ビジョンは一度伝えただけでは浸透しません。社員の意識の中でビジョンが薄れてしまわないように、定期的に発信し、伝え続ける必要があります。
たとえば、ミーティング・社内報・コミュニケーションツールなどを活用して、ビジョンを定期的に社員に伝えましょう。その際には、ビジョンがどのように社員の行動に具体化され、それが業績にどのように寄与しているかを示すデータや事例の発信も効果的です。また、会社の総会など、社員が集まる場で、経営者自らがビジョンを伝えることも有効です。
【経営ビジョン浸透に尽力して成功した企業例はこちら】コミュニケーションの課題を解決する!メディアリンク株式会社代表取締役・松本 淳志氏が語る「組織づくりで重要なポイント」
4)ビジョンを体現したオフィスへの変革
意外にもビジョンの浸透にオフィス環境が関係します。オフィスは毎日のように社員が過ごす場所であり、そこにある壁や設備は何度も目にするものだからです。ビジョンを反映したオフィスデザインやレイアウトは、社員がビジョンとの繋がりを感じられるからです。具体的なオフィスのつくり方については、次項で解説します。
【こちらもおすすめ】レイアウトを変えるだけ!コミュニケーション活発化を目指すオフィスづくりのポイントビジョンの浸透を促すオフィスのつくり方
ビジョンを浸透させるオフィス環境をつくるには、以下の方法が考えられます。
①コーポレートカラーの利用
企業のビジョンをオフィスで表現するには、コーポレートカラーを効果的に利用しましょう。「あの会社といえばこの色」といったように、特定のロゴとともに配色を思い出すことがあるかと思います。色彩は情緒を喚起し、人々の認識や行動に影響を及ぼします。オフィス内の壁・家具・装飾品に企業のコーポレートカラーを取り入れることで、ビジョンを強調し、日常的に意識させることができます。
コーポレートカラーがない場合、イノベーションや創造性を重視する企業は鮮やかな色を、信頼性や安定性を強調する企業は落ち着いた色を選ぶとビジョンを表現しやすいです。色彩を通じてビジョンを可視化し、社員の行動や意識に影響を与えることができます。
②アート作品の利用
アート作品はビジョンを具現化し、それを視覚的に伝える手段です。アート作品とは会社の理念を表したウォールアート(※1)や絵画、彫刻、オブジェ、インスタレーション(※2)などです。これらのアート作品は社員に常にビジョンを意識させ、オフィスのシンボルとして団結心を養い、社員の意識を一体化させることができます。
【実際にアートを活用している会社に事例はこちら】組織拡大中!M&A DX代表取締役・牧田 彰俊氏が語る「成長期の組織づくりと今後のオフィス展望」※1 壁に直接描かれたり彫られたりしたアート作品
※2 複数のアート作品や家具、什器を組み合わせてオフィス空間そのものを作品としたアート
③常に目に入る環境をつくる
ウォールペーパーなどを利用して壁にビジョンを大きくデザインしたり、デジタルディスプレイを利用してビジョンを表した文章を定期的に表示することで、ビジョンが社員の目に触れる環境をつくることができます。空間やテクノロジーをうまく利用すれば、ビジョンの浸透を深め、業務に反映する意識を養成できるのです。
④経営層と現場のコミュニケーションが促進される構造
ビジョンの浸透には経営層と現場とのオープンなコミュニケーションが不可欠です。オフィスのレイアウトやデザインをコミュニケーション促進につながるように改革しましょう。
たとえば、オープンなワークスペースや共有スペースを設ければ、職位を越えた自由な意見交換が可能になります。また、フリーアドレスにすることで異なる職位の社員の席が近くなり、交流するきっかけをつくることができます。
他にも、社長室をなくし、経営者と社員が近い場所で作業する空間をつくることも効果的でしょう。経営層が現場の声を直接聞き、また現場が経営の意図を理解すれば、ビジョンへの理解と共有が深まるのです。
ビジョンをメンテナンスするタイミング
ビジョンはつくって終わりではなく、事業のステージや市場環境に合わせて更新していく必要があります。ビジョンをメンテナンスするのは、以下のようなタイミングで行うと効果的です。
- 戦略的な変更があったとき・・・企業の戦略が大きく変わったときには、その変化を反映するためにビジョンも見直す必要があります
- 組織の変更があったとき・・・組織の規模が拡大したり、部門が再編されたりしたときも、新たな状況に合わせてビジョンを更新しましょう
- 市場環境の大きな変動があったとき・・・企業の外部環境、とくに市場のトレンドが大きく変わったときは、ビジョンが新しい時代に適応しているかを確認しましょう
- 業績が目標を大幅に下回ったとき・・・企業の業績が予想を大幅に下回った場合、ビジョンが現実的でない可能性があるため、見直したほうがよいでしょう
まとめ
ビジョンを社員全体に浸透させることは、組織を一つの目標に向かわせます。ビジョンを浸透させるにはさまざまな手段がありますが、オフィスの改革も一つの方法です。オフィスは社員が毎日過ごす場所なので、色彩やアート、コミュニケーションツール、テクノロジーなどを使ってオフィス全体でビジョンを体現しましょう。これらを活用することはビジネス上のアイデアを出やすくし、クリエイティビティを高める効果もあります。ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。
*Turn.around.around, チキタカ(tiquitaca), mayucolor, aquamarine, OKADA / PIXTA(ピクスタ)
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