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TOP > 用語解説 > 【用語】人事・労務 > 働き方改革【用語解説】

“働き方改革”とは、“深刻な労働力不足を原因とする日本経済の停滞”という問題を解決する取り組みです。

具体的には労働基準法をはじめとする労働法を改正することで“長時間労働是正”や“同一労働同一賃金”の実現し、多様な働き手が活躍し、生産性の向上を図ることで日本経済を発展させることを目的としています。

なぜ働き方改革が必要か?

今まで日本の労働市場では、次のような中高年の正社員の男性が優遇される傾向にあります。

  • 雇用形態:正社員(残業可、全国転勤可)
  • 性別:男性
  • 年齢:45歳

このような人材が優遇される背景には、戦後から続いていた“終身雇用制度”があります。終身雇用制度において、男性は定年まで同じ会社で働くことが、女性は結婚をきっかけに退職し専業主婦になることが標準的とされてきました。

このような働き方は、過去の日本において一定の役割を果たしてきましたが、時代の変化とともに社会の実態とズレが生じてきました。夫婦共働きが増えて、結婚や出産をきっかけに女性が退職するケースが減っています。また高齢化社会に入り、親の介護という問題もあります。

会社にとって都合よく働いてくれる中高年の男性正社員だけを優遇していては、“多様な働き方を認めてほしい”という社会のニーズに対応できません。結果として必要な人材を確保できないという問題に多くの企業が直面しています。

労働人口減少の何が問題か?

日本経済は“失われた30年”などと言われ、1991年のバブル崩壊以降、日本経済は停滞していると一般的には考えられています。停滞の原因は金融政策の失敗など諸説ありますが、“労働人口が減少傾向になっているから”というのが有力な説です。

労働人口と経済は密接に関係しており、労働人口が増える国は経済成長しやすく、逆に労働人口が減る国は経済が減速する傾向にあります。現在の日本は人口減少社会に突入し、労働人口が減少しています。

労働人口を増やすには、総人口を増やせばいいと考えがちですが、、少子高齢化社会の現在の日本において、人口を増やすことは容易でありません。

そこで考えられた方法が、前述の「正社員(残業可、全国転勤可)、男性、45歳」というこれまでの日本経済を支えてきた人物像とは異なる人材を労働市場で活躍させようという考え方です。

具体的には、高度経済成長時代は退職していた、もしくは活用できていなかった次のような人物を労働市場で活躍させることで、労働人口を増やします。

(1)結婚や出産をきっかけに退職していた女性
(2)定年(60歳)を迎え、これまでなら引退していた労働者
(3)非正規雇用で正当な評価やチャンスを得られない労働者

これらの労働者は、正社員を中心とする日本的雇用関係の中で、就業機会や正当な評価を与えられてこなかった実情があります。労働基準法の改正や同一労働同一賃金の実現によって、これらの労働者が働きやすい環境を整備し、正当な評価が受けられるようになります。

また非正規労働者が正当な評価を与えられなかった一方で、「正社員(残業可、全国転勤可)、男性、45歳」という人物像を代表とする正社員がすべてにおいて優遇されていたというわけではありません。

非正規労働者も長時間労働をすることがありますが、長時間労働の多くは「正社員だから」という理由で大量の仕事の責任を負わされ、そのストレスからメンタルヘルスの不調による自殺や過労死に至るという問題もあります。

長時間労働の是正と非正規労働者の待遇改善が、働き方改革関連法案の主な内容となります。

働き方改革関連法案の主な法改正

長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等
時間外労働の上限規制 ・原則
月45時間・年360時間・例外
時間外労働:年720時間以内
時間外労働+休日労働:月100時間未満
2~6ヶ月平均80時間以内
大企業:2019年4月1日~
中小企業:2020年4月1日~
中小事業主の割増賃金率の見直し 中小企業における月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率の引上げ 大企業:引き上げ済み
中小企業:2023年4月1日~
年5日の年次有給休暇の付与義務化 年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者(管理監督者を含む)に対して、年5日の年次有給休暇の取得義務付け 2019年4月1日~
フレックスタイム制の見直し フレックスタイム制の清算期間の上限が、1ヶ月から3ヶ月に延長 2019年4月1日~
労働時間の把握義務の創設 労働時間の把握義務の創設(管理監督者も含む) 2019年4月1日~
高度プロフェッショナル制度 高度の専門的知識等を有する一定の労働者に対する労働時間等の適用排除 2019年4月1日~
勤務間インターバル制度の普及促進
(努力義務)
勤務間インターバル(勤務終了後、一定時間以上の休息時間を設けること)の実施の努力義務 2019年4月1日~
産業医・産業保健機能の強化 1ヶ月の時間外労働等が80時間を超えた労働者の氏名等を産業医に提供 2019年4月1日~
雇用形態に関わらない公正な待遇の確保
不合理な待遇差を解消するための規定の整備 正社員と非正規社員との間の不合理な待遇差が禁止 大企業2020年4月1日~
中小企業2021年4月1日~
労働者に対する待遇に関する説明義務の強化 非正規雇用労働者への正社員との待遇格差の説明義務 大企業2020年4月1日~
中小企業2021年4月1日~
行政による履行確保措置及び裁判外紛争解決手続 「均衡待遇」や「待遇差の内容・理由に関する説明」についても、行政ADRの対象に。 大企業2020年4月1日~
中小企業2021年4月1日~

※bee / PIXTA(ピクスタ)働き方改革