
オフィスづくりに欠かせない「コンセプト」。企業理念を反映させたデザイン事例を紹介
働き方が多様化し、オンラインとオフラインが共存するハイブリッド型の勤務スタイルが一般化する今、従来型のオフィス環境を見直す時代が到来しています。オフィスを単なる業務空間ではなく、社員が集まる価値があると思える「場」に変えるためには、企業独自のコンセプトを組み込むことが重要です。企業のビジョンに基づいたオフィスデザインは、社員が共感し、働きやすい空間を実現してくれるでしょう。
本記事では、オフィスづくりにおけるコンセプトの意義や、事例を交えた具体的な実践例を紹介し、経営者や総務担当の方にとってのヒントをお届けします。
目次
オフィスづくりにおけるコンセプトとは?
オフィスコンセプトとは、「自社がオフィス空間で何を実現したいか」「社員にどのように感じ、行動してほしいか」というオフィスづくりの指針です。
従来のオフィスは、主に「作業を効率的に進める場所」として設計されてきましたが、今ではその役割が変化しています。現在のオフィスは、社員同士が交流しアイデアを出し合い、共創のための空間にすることを重要視している企業が多いです。企業のブランドやビジョンを反映したオフィスは、単なる仕事場以上の意味を持ちます。
社員が日々その理念に触れることで、企業への共感や一体感を持ち、組織としての一体感が醸成される場となるのです。
コンセプトの必要性・重要性
企業理念の浸透と社員の意識向上
企業の理念やビジョンがオフィス空間に体現されることで、社員は日々その存在を感じ取りやすくなります。企業理念が掲示物やパンフレットに書かれているだけではなく、オフィスのデザインそのものに体現されていれば、社員は無意識のうちに企業の方向性や価値観を共有しやすくなるのです。
「ここで働く意義」や「この企業が目指す未来」を社員が意識することで、組織の一体感やエンゲージメントも高まるでしょう。
チーム力の強化と生産性の向上
適切なコンセプトが反映されたオフィス環境は、コミュニケーションを促し、自然と対話が生まれる場となるでしょう。たとえば、「オフィスは対話が生まれる場所」というコンセプトのオフィスは、社員同士のコミュニケーションを活性化させ、チーム全体の連携が強化されます。快適で働きやすい環境では社員の創造性が引き出され、生産性の向上にもつながるでしょう。
オフィスコンセプトの事例
ここからは、コミュニケーションをコンセプトにした事例を6つ紹介します。それぞれの企業がどのようにテーマを反映させ、独自の空間を設計しているかを見ていきましょう。
株式会社アールナイン – 「オフィスは対話が生まれる場所」

出典:株式会社アールナイン
株式会社アールナインは、社員同士だけでなく、お客さまとの対話も重視するオフィス空間を設計しています。オフィス全体がコミュニケーションを促進する場として機能し、社員同士の自然な交流はもちろん、来客者との対話も生まれやすい環境を整備。また、自由度の高い空間づくりにより社員が柔軟に働けるだけでなく、企業の価値観や理念を体現し、訪問者にもその魅力が伝わるよう工夫されています。
▷株式会社アールナインのインタビュー記事はこちら
株式会社LegalOn Technologies – 「融合と加速」
株式会社LegalOn Technologiesは、「融合と加速」をテーマに、異なる部署間の連携を促進し、迅速な意思決定を可能にする環境を整えています。オフィス内には人工芝のフリースペースが配置され、オープンな空間が特徴です。また、「個人の成長が組織の成長につながる」と考え、社員同士の意見交換や情報共有が活発化するように工夫されています。スタートアップ企業ならではの、スピード感や成長を感じられるオフィスです。
▷株式会社LegalOn Technologiesのインタビュー記事はこちら
paiza株式会社 – 「社交場」

出典:paiza株式会社
paiza株式会社のオフィスは「社交場」というコンセプトのもと、コミュニケーションを誘発するようなスペースづくりがされています。動線計画やデザインにもこだわり、企業コンセプトを空間全体で体現。エリアごとでさまざまな使い方ができることで、普段接しない社員とのコミュニケーションが発生したり、お互いに声をかけやすくなったりといったメリットが生まれています。
▷paiza株式会社のインタビュー記事はこちら
株式会社ACROVE – 「communication」

出典:株式会社ACROVE
株式会社ACROVEは、コミュニケーションの重要性を反映したデザインを採用し、社員同士が会話しやすいスペースを設けています。オフィス全体で自然に意見交換ができるような空間設計となっており、プロジェクトの連携がスムーズに進むよう工夫。こうした自由な対話の場があることで、企業理解や価値観の共有がなされることを期待しています。
▷株式会社ACROVEのインタビュー記事はこちら
株式会社アドウェイズ – 「来たくなるオフィス」

出典:株式会社アドウェイズ
株式会社アドウェイズは、「来たくなるオフィス」というコンセプトのもと、社員が自ら出社したくなる空間づくりを目指しています。オフィス内のゾーニングや家具選定にこだわり、働きやすさと快適さを追求したデザインが特徴です。こうした工夫により、社員が出社することを楽しみに感じられる環境が整えられています。
▷株式会社アドウェイズのインタビュー記事はこちら
自社に合ったコンセプトにするためには
オフィスコンセプトを自社に合ったものにするためには、以下のポイントを押さえることが大切です。これにより、企業の個性や社員の働きやすさが最大限に引き出されます。
経営陣のビジョンが体現されているか
企業のオフィスには、経営陣のビジョンや理念が自然に感じられることが重要です。たとえば、成長志向の企業には活気ある空間、落ち着いた文化には静かな空間が合うでしょう。経営層の考えが反映されることで、社員も日常的にビジョンを意識できます。
自社らしさが表現できているか
オフィスは企業の「らしさ」を表現する場所です。フレンドリーな企業には開放的な空間、専門性を重視する企業には洗練されたデザインが適しています。訪問者や社員が企業の雰囲気を感じられる空間が大切です。
社員の働き方に合っているか
オフィスは、社員の働き方に応じた設計が求められます。協働が多い職場には話しやすいレイアウト、単独作業が多い場合は静かなスペースが必要です。オンライン会議にも対応できるフレキシブルな環境も意識したほうがよいでしょう。
柔軟性と将来性に配慮しているか
企業の成長や配置転換に加え、社会情勢の変化にも対応できる柔軟な設計が大切です。増員やリモートワークの導入などにも適応できる可動式パーティションや多目的スペースを備えることで、変化に強いオフィスが実現し、長期的な視点でのオフィス設計が可能となります。
まとめ
オンラインとオフラインが共存する時代において、オフィスは単なる業務スペースではなく、企業の価値観を体現する場へと変化しています。オフィスコンセプトを明確にすることで、企業のビジョンが空間に反映され、社員のエンゲージメントが高まるでしょう。オフィス移転やリニューアルの際には、自社の理念や働き方に合ったコンセプトを考え、社員が働きやすく一体感を持てる「オンリーワン」のオフィスを目指してみませんか?
*Viewvie / shutterstock