経営者が気づいていない会社の士気を下げる「ネガティブ社員」の対応方法
職場に、愚痴が多く、否定的な態度ばかりをとる人はいませんか?
気分が沈んだり、失敗したりした際にマイナスな発言や行動をよくとるとしても、本人が愚痴を言うことで気持ちを立て直すプロセスである場合もあるので、ネガティブな言動すべてが悪ではありません。問題はネガティブ発言が繰り返され、周りにも悪影響を及ぼすことです。そのまま放置してしまうと、社内のモチベーションが低下し、業績や採用にも影響してしまう可能性があり、早急な対応が必要です。
今回は、周囲に大きな影響を与えるネガティブ社員の特徴と対策について解説していきます。
目次
あなたの会社にネガティブ社員はいませんか?
①他責
自分の行動や結果に対して責任を取らず、代わりに他の人や状況を責める傾向があります。たとえば、プロジェクトが遅れた場合に、「他のメンバーが仕事を怠っていたからだ」とか、「上司の指示が明確でなかったからだ」といった言い訳をすることがあります。
②自己肯定感が低い
自分の行動や能力に対して過度な自己批判を行います。小さなミスや誤りに対しても厳しい自己評価をし、自分を過小評価することがよくあります。また、他者と自分を頻繁に比較し、他者よりも劣っていると考えこみやすいです。この比較が強調されると、劣等感や焦燥感が生まれ、ネガティブな態度や行動が増幅されることがあります。
③破滅的思考
破滅的思考とは、社会心理学の概念であり、特定の状況や出来事を極端に悲観的に考え、それによって予測される結末が非常に悪いものであると信じる傾向を指します。破滅的思考を持つネガティブ社員は小さな問題やトラブルを大きな危機に見立てます。たとえば、プロジェクトの小さな遅れや誤解を、全体が崩壊する危険な状況だと見なすことがあります。
また、よい結果やポジティブな解決策を見つけることが難しく、問題の解決よりも悪化させる方に注意を向けがちです。
誰しも多少は思い当たることがあるかもしれません。組織や職場内でネガティブな態度や行動を繰り返し示し、経営へ批判的な雰囲気を醸成したり、チームワークに悪影響を与えたりする人を、仮に“ネガティブ社員”と定義してみます。あなたの会社に思い当たる人はいませんか?
ネガティブ社員を放置する危険性
ネガティブ社員は、仕事ができない人とは限りません。人一倍貢献しているのに評価が上がらないという状況がそうさせているのかもしれませんし、あまり注目されない部署であることが不満な社員かもしれません。不平や経営批判は経営や会社の方針に強い関心を持っていることの裏返しともいえそうです。そういった“できるネガティブ社員”がロジカルに不満や会社批判や他責を繰り返す場合、周囲への影響は大きくなります。とくに、新人や若手が影響を受けやすいといえるでしょう。
コミュニケーション機会の多い若手社員同士は集団でネガティブ社員化しやすいので要注意です。悪口や愚痴、不平不満、他責などを聞いた教育係のモチベーションを下げますし、上司が聞いたことでパワハラを引き起こすリスクも高まります。最悪の場合は退職を招くケースもあります。
「業績が悪いのは自分のせいではなく経営が悪い」「経営や上司が悪いので、自分たちもやらなくていい」といったネガティブな発言や思考が伝播すると、業績の悪化やトラブル増加の可能性が高まります。
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経営者がネガティブ社員対策として「すべきでない」こと
経営者のみなさまは自社にネガティブ社員がいるかどうか、把握していますか? 気づかず、会社の雰囲気が悪化しているかもしれません。
自分でネガティブ社員を探して、なんとかしたいと思う経営者もいると思いますが、「すべきでない」でしょう。基本的に経営者の前で社員が本音を話すことはないと心得るべきです。
管理職やコンサルタントに、チームの雰囲気やメンバーの勤務態度や意欲などをヒアリングしてもらうことで、社内の様子を把握するに留めましょう。また、部門やチーム別の売上を確認し不調な場合は、何か要因があるかもしれません。他にも、エンゲージメントサーベイを利用してみるとよいでしょう。
経営者としては、ネガティブ社員を特定することよりも、部署やプロジェクトにネガティブな傾向や影響がないか、あるとすれば主な不満の理由は何かをざっくりと把握し、改善を目指しましょう。「人ではなく課題」に集中するべきです。
ネガティブ社員への対応策
ネガティブ社員の影響が問題となった場合、具体的にどのように対応すればよいのでしょうか。今回は新人のネガティブ社員の対応策を紹介します。マネージャーレベルの人が報告とともに実施しましょう。
①業務内容を適性に合わせる
担当している業務が社員の適性に合っておらず、仕方なくやっているケースや、やらされ感から他ネガティブになってしまっている可能性があります。内発的動機づけをするためにも、1on1などで社員の本音を引き出し、どのような業務に取り組んでみたいか、どのようなキャリアを歩みたいかなどをヒアリングしてみましょう。
そのうえで、適性に合った業務内容にシフトさせたり、場合によっては配置換えや業務転換を上申するのもマネージャーの役目です。
②イニシアティブを持たせる
他責的な言い訳をするネガティブ社員には、イニシアティブを持たせる考ことも策の一つです。自身の意思で選んだり、自分の考えた施策を推進させたり、「自分の意思である」という認識を持たせましょう。何かトラブルがあった際にも、当事者意識をもって考えるようになりやすいです。
注意点は、本人が考えたことに対して、もっと効率よい方法があると思っても、否定したり、細かく指示して訂正したりしないことです。マネージャーの見守り力が試されます。
③教育や体系を整える
若手で起こりうる話なのですが、しっかりと教えてもらえないことが被害者意識を高めてしまう傾向にあります。現代の若者は、ネットで調べればすぐに答えを得られていたことから、ゼロベースで考えることが非効率だと思っている人が多いようです。最短ルートでの正解探しを好み、「教えてもらってないです」「知らないです」といったような発言をし、最短ルートでの正解を求めます。
しかし、常に人員不足の中小企業では、なかなか育成に手が回らず、若手ながら多くの裁量を課している企業も多いのではないでしょうか。
そのような場合は、若手の育成業務を外部委託することも手段の一つです。マニュアルの整備や育成の型化を外部のプロに手伝ってもらうことで、自社にあったやり方を見つけることができます。
*iJeab, Liza888 / shutterstock/jazzman, bluet, foly / PIXTA(ピクスタ)
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