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もしかして1月病?長期休暇明けでモチベーションが上がらない社員への有効なケアとは

2024.01.25

年末年始はどのように過ごされましたでしょうか。年始から、地震や事故などのニュースに触れて、気持ちが落ち着かない方も多いかもしれません。また、休暇明けは何となくだるくてやる気が出ないこともあるでしょう。年末年始の連休後にだるさややる気のなさを感じたり、なかなか気持ちの切り替えができず、いつものように仕事ができていない、という感覚をお持ちではありませんか?

それは1月病かもしれません。今回は、産業医である筆者が会社でできる社員のための“1月病”の予防と対策のために役立つ方法をお伝えします。

1月病とは

“1月病”は正式な診断名ではありませんが、5月病(※こちらも医学的な診断名ではありません)のような症状が、年末年始の休暇明けに起こることを指します。5月病は、新入社員など、新年度の環境の変化にがんばって適応しようとしてうまくいかなかったときに現れやすいといわれています。

“1月病”の場合は、年末年始のイベントの影響で睡眠時間が普段とずれてしまう、会食や飲みすぎのせいで、体調が何となくすぐれない、働くというリズムがなかなか取り戻せず集中力が続かなかったり業務効率が落ちたりする、ということが起こりやすくなるものを指すことが多いでしょう。このような時期に、やる気を取り戻して仕事に向き合うためには、さまざまなアプローチがあります。

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会社でできる1月病の予防対策

1. 新年の目標をみんなで共有する

年末年始というのは、1年間を振り返り、新しい年の目標を考えるよい機会です。会社としての今年の目標やビジョンをみんなで共有することで、モチベーションが上がりやすくなります。

単に会社の目標というだけでは、一人ひとりが自分ごととして捉えるのが難しくなりがちです。会社の目標を一人ひとりが実感できない、という事態を避けるために、個人の目標と会社の目標が重なり合うポイントを見つけるのが大切です。

また、公表まではしなくてはよいですが、個人の目標や方向性と会社の事業の目標や方向性がある程度一致しているかを確認することは大切です。

考えているだけではなかなか実践が難しいこともありますから、参拝や鏡開きなど、季節の行事と一緒に行うことで、自然と気持ちが定まることも多いでしょう。

2. 働きやすい・リフレッシュ環境の整備

年末には大掃除をする会社も多いと思われます。せっかく整理整頓がすすんだオフィスですから、新しい家具やスペースの利用法の工夫をしてみてはいかがでしょうか。たとえば座りやすい椅子を置いたり、個人スペースをつくったりという、オフィスのレイアウト変更をしてみるのもおすすめです。

出勤の頻度を増やしている会社が多くなってきていますから、これまで以上に働きやすいオフィス環境について、社員の意見を取り入れながら工夫すると、社内の一体感を向上させることにつながるでしょう。

オフィスの工夫としては、ストレッチやヨガなど軽い運動ができるスペースや設備を整えるのもおすすめです。寒い時期はあまり動きたくないこともありますが、運動不足は体力や気力の低下につながります。社内でも、休憩時間中に軽い運動をして気分転換することを推奨しましょう。

3. 睡眠や健康に関する情報を発信する

長い休暇のあとの体調不良の原因の一つが、睡眠リズムの乱れです。海外旅行に行ったわけではないけれども一日中眠くてだるい、という時差ボケに近いような状況になってしまうこともあります。

このようなときに、たとえば、週末や連休中もできるだけ仕事がある日と同じくらいの時間に起きるように心がけることや、効果的な昼寝の取り方、質のよい睡眠を取るための生活の工夫などの情報を発信することで、生活を見直し、体調不良を予防し、体調不良が起きたとしても軽いうちに対処する、ということが可能になります。

健康経営の一環として、睡眠に関する情報を提供するのは、休み明け以外にも役に立つことですが、節目の時期に毎年行うというのもおすすめです。

4. ストレスチェックを年始に行う

50人以上の社員を抱える事業所であれば、毎年1回のストレスチェックを行っていることでしょう。どの時期にストレスチェックを行うかは諸説ありますが、年始に行うというのも一つの方法です。

毎年同じ時期に実施することで定点観測になり、結果を参考にしながら次の年度の人事施策につなげていくこともできます。実際にも以下のような事例がありました。

ストレスチェックの結果、職場のサポートが手薄であるという情報が集まり、上司のラインケアについての知識、コミュニケーション力の向上が課題だと判明。
結果を受けて、管理職研修を行い、サポート体制を全社的に見直した。

上記の例のように、会社の問題点や高ストレス者のアラートを拾うことができれば、本格的なメンタル不調を起こしてしまう前にケアすることが容易になるでしょう。アラートが起きやすい長期休暇明けに行うことで、状況の悪化を防ぐことができます。

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モチベーションが上がらない社員に有効なケア

年始になんとなく体調が悪そうだ、業務の効率が落ちている、という社員がいると心配になります。前述のストレスチェックでも、社員一人ひとりが心身のコンディションに気づくことや、職場環境の改善につながります。一方で、すでに調子を崩しかけている社員に対しては、どんなことができるでしょうか。

たいていの場合、仕事のストレス、プライベートのストレス、生活習慣など、複数の要因が積み重なって不調に至っていることが多いです。前述した、健康情報の発信から、その人に合うアドバイスをする機会があるとよいでしょう。

産業医や産業保健師などの医療スタッフがいれば面談をしてもらうことも一つの方法です。産業保健スタッフからよく行うアドバイスとしては、前述したような睡眠や運動に関することなど、日々の生活のなかで簡単に取り入れることができるものがあります。

また、医療機関を受診したほうがよい不調者が見つかれば、早期に対応を行い、休職や離職を防ぐことにもつながります。

まとめ

新しい年に、職場の環境をよりよくするアイデアになったでしょうか。心と体の健康はつながっていますので、環境の改善がモチベーションアップにつながり、メンタルヘルス不調を減らすことにもつながるでしょう。

産業医面談を福利厚生としてだけでなく、社員の健康に投資する経営戦略としてぜひともこの節目の機会を活用してみませんか。

*Pickadook, M Isolation photo, maroke, RRice / shutterstock