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労働実務事例

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就規の絶対的記載事項だが労働協約で割増率規定?

「労働新聞」「安全スタッフ」(2011年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 当社では、特別条項付36協定を見直し、月45時間を超える時間外割増率を30%に引き上げました。割増率を引き上げた場合、就業規則に記載するよう指導が行われています。当社は組合と労働協約を結び、就業規則には「協定で定めるとおり」と記載していますが、問題があるでしょうか。

【青森・M社】

[ お答え ]

 時間外労働の上限(1カ月45時間、1年360時間など)は、時間外労働の限度基準(平10・労働省告示)で定められています。しかし、36協定で「限度時間を超える一定の時間まで労働時間を延長できる旨および割増賃金の率を定める」ことができます(限度基準第3条)。これを特別(エスケープ)条項といいます。
 協定に割増賃金率が定められていない場合、「労働基準監督署長は助言・指導の対象」とします(平21・5・29基発第0529001号)。割増率を引き上げたときはもちろん、法定どおり25%で据え置くときも明記しなければいけません。
 このほか、「限度時間を超える時間外労働に係る割増賃金率は、就業規則に記載する必要がある」点も前掲解釈例規に付記されています。
 就業規則の絶対的必要記載事項(労基法第89条)の1つに、「賃金の決定、計算および支払いの方法、賃金の締切りおよび支払いの時期並びに昇給に関する事項」が挙げられています。割増賃金率が明確でなければ、賃金の計算ができません。ですから、割増賃金率は「賃金の決定、計算および支払いの方法」に該当します。
 36協定は、労働協約という形で結ぶこともできます。この場合、「就業規則は、労働協約に反してはならない」(労基法第92条)という協約優先ルールが適用されます。
 実務的には、労働条件の一部・大部分について協約の規定内容にゆだねるケースもみられます。
 「労働協約の各条にそのまま就業規則の内容となり得るような具体的な労働条件が定められている場合には、『労働協約のとおりとし、就業規則に重複記載することを省略する』等の条項を就業規則に設けても差し支えない」(平11・3・31基発第168号)と解されています。ただし、「協約が失効した場合」の取扱い(「なお効力を有する」など)を明確にするのがベターとされています。



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