キーマン社員は不要!?あの人しか知らない「属人化」解消のファーストステップを解説
どの会社にも、豊富な経験や優れた発想力をもつエースのような存在“キーマン社員”が存在するものです。キーマン社員はその能力の高さから、さまざまな仕事が集まってしまう傾向があり、結果として“属人化”という状況に陥る危険性があります。そして、属人化はキーマン社員に限らず、さまざまなシチュエーションで起こりうるもので、会社としては回避すべき深刻な課題となる可能性があります。今回は、属人化をなくすためのアプローチについて、順を追って解説していきましょう。
目次
属人化とは
属人化とは、業務に携わる社員が“特定の者“に限定されてしまい、その限定された社員しか仕事の進め方が分からなくなっている状況をいいます。たとえば、経理部の中で簿記や税理士などの資格を持つ者が、そのスキルを活かして難解な仕事をこなしている場合もあれば、たまたま配属された部署で、自分だけが仕事の内容を知っている場合など、属人化が起こりうるケースはさまざまです。
終身雇用制が前提だった時代はとうに過ぎ、昨今は不透明な経済情勢が続いています。このような状況の中、生活スタイルや仕事への向き合い方が変わったり、キャリアアップを目的とした転職が当たり前になったりと、人材は流動的になりつつあります。社員の入れ替えや配置換えが頻繁に起こることが予想され、前述の“属人化“が常態化していると混乱は避けられないでしょう。次の項目からは、属人化が起こった場合に考えられるリスクや、属人化を防ぐための仕組みを順に解説します。
回避したい!属人化リスクの3ステップ
実際に属人化が起こった際のリスクは以下3ステップで発生します。
①業務のブラックボックス化
“属人化する”ということは、特定の社員しか仕事の内容が分からない状況になるということです。つまり、業務がブラックボックス化し、その社員が休んだ時や別の業務にかかっている時は、他者にはその仕事の進め方が分からず、進捗が遅れてしまうというリスクが発生します。
②業務フローがストップ
前述の通り、仕事の進め方を理解している社員がいなければ業務が停滞してしまうという状況に陥ります。特定の社員が不在の場合は属人化した仕事が進まず、その仕事を待った上で行う業務などもすべてストップしてしまう可能性があります。
③業績に影響・品質低下
属人化した仕事に携わる社員が、引継ぎをすることなく突然辞めてしまったらどうなるでしょうか。特定の社員に紐付けされてしまった仕事は、たとえその上司であったとしても詳細が理解できず、結果として顧客へのフォロー不足や展開商品の品質への影響が起こる可能性があります。最終的には、会社の業績に影響を及ぼす危険性も潜んでいます。
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属人化を解消する4ステップ
ここからは、属人化を解消し、業務を“見える化”していくための方法について順に見ていきましょう。
①現状の洗い出し
どのような問題に直面したとしても、対応するには、まず状況把握と原因分析が必要不可欠です。社内で属人化している業務内容をすべて洗い出していきましょう。たとえば、以下のような仕事はすべて属人化をしている可能性があるので、状況を確認していく必要があります。
・業務担当者が一人しかいない
・マニュアルが存在しない
・引継ぎに時間がかかりそうな業務
・特定の社員が休むと仕事の進み具合が明らかに変化する
②おおまかな業務フローの作成
属人化の状況が確認できたところで、次はその業務を見える化していくための第一段階である、業務フローを作成する段階へと入ります。業務フローとは、一連の仕事内容をプロセスごとに明記し、一目でわかるように図式化することです。仕事の内容をプロセスごとに列挙し、その担当者を確認することで、特定の社員に集中している状況がより詳しく判明するはずです。
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③マニュアルの作成
業務フローが確認できたところで、次は仕事に内容ごとにマニュアルを作成します。マニュアルの文章は明快なものにし、専門知識がない者でも確認すれば仕事を進めることができるような文体にします。コツとしては、長文を避け、箇条書きや項目番号を用いることや、図や画像などを記載した分かりやすいものにすることです。
④内容の見直し・現場へのフィードバック
完成した業務フローやマニュアルの内容を確認した上で、次はこの内容を実際に仕事に携わる現場へと周知させていきます。まずは社員教育を行い、社員全体に内容を理解してもらう方法が有効です。業務フローやマニュアルの内容は定期的に見直し、時代の流れに即した内容へと随時アップデートしていきましょう。
まとめ
属人化の危険性や解消するための手順についてお分かりいただけましたでしょうか。ここで紹介した業務フローやマニュアル作成については担当者へ任せきりにしてはいけません。上層部が関わったり、属人化解消のための特別部署を組んだりする方法が効果的となります。ただでさえ忙しく日々の仕事に追われる社員に負担をかけすぎず、職場全体を“見える化“していく方法を模索していくことが、会社の未来へとつながるはずです。
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