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社長 多忙

自分がいないと回らない?創業5年目の中小企業に「権限委譲」が必要な理由

2022.11.02

筆者は数多くの中小企業の経営者と話をする機会がありますが「自分がいないと会社が回らないんです」という方がたまにいらっしゃいます。常に従業員に指示を出しながら自らも多くの業務をこなしていて、すべての判断を下している。とくに創業社長に多い印象を受けます。創業期においては、事業を軌道に乗せていくために経営者が最前線に立って意思決定や指示を行っていく必要があるでしょう。しかし、ある程度成長してきたら、経営者は少しずつ仕事を手放して部下に任せた方が有益な場合もあります。

そこで今回は、創業5年目の中小企業に“権限委譲”が必要な理由というテーマで、権限委譲の必要性やメリットについて解説していきます。「業績が伸び悩んでいる」「新しいことに挑戦したいが目先の業務に忙しく難しい」というような経営者の方にぜひ参考にしていただきたいです。

そもそも権限委譲とは?

権限委譲とは、上司が持つ権限を部下に与え任せることです。経営者の視点でいえば、自らの行っている業務を従業員に責任とともに与えることを指します。似た言葉として“権限移譲”がありますが、これは対等な立場の第三者へ自らの権限を譲渡するという意味合いがあり、上下の関係性である“権限委譲”とは異なります。

なぜ権限委譲が必要なの?

権限委譲が必要な理由を一言でいうと、”組織が成長するため”です。例えば、創業した後に会社が順調に成長していき、従業員も5人、10人と増えていったとしましょう。すると、業務量や意思決定の対象が増え、それを経営者がすべてを担うと、意思決定が遅れるというような悪影響が出てくる可能性があります。適切に権限委譲を進めておけば、経営者はさらなる発展へ向けた活動や重要な意思決定に時間を割くことができるでしょうし、権限委譲された側もより難しい業務遂行を通じ成長することができます。

外部環境の変化のスピードに適切に対応していくという意味でも権限委譲は非常に重要です。

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権限委譲のメリット・デメリットとは?

権限委譲を行うことによるメリット・デメリットをいくつか挙げていきます。

メリットその1:部下の意欲向上につながる

権限委譲をするということは、その対象者にとってより高いレベルの仕事を任せるということです。部下に今より難しい仕事ができる力があると認め、より大きな仕事に挑戦してもらうことで本人の意欲向上につながるでしょう。

メリットその2:上司がよりレベルの高い仕事に集中できる

権限委譲を経営者側の視点でみると、それまで自ら行っていた業務や意思決定から手を放すことになります。空いた時間で、経営者として行うべきよりレベルが高い仕事に向き合うことができるでしょう。

メリットその3:意思決定のスピードが上がる

経営者が行うべき意思決定は多岐に渡るため、重要度によっては対応に遅れがでてしまうものがあるかもしれません。その意思決定を部下が判断を下すことができれば、対応スピードが高まっていくでしょう。外部環境の変化スピードが速い現在において、大きなメリットになり得るといえます。

デメリットその1:判断ミスが起こる可能性がある

権限委譲により経営者が行っていた意思決定を部下の判断で行うことになります。そのため、経営者が考える最良の判断とは異なる意思決定をなされる可能性が出てきます。

デメリットその2:心理的負担が増す可能性がある

権限委譲により部下はより大きな仕事や意思決定を任せられることになります。それまで以上に大きな責任を伴うことになり、プレッシャーがかかることでしょう。そのため、権限委譲に対する部下の受け止め方次第では、心理的負担が増す可能性があります。

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権限委譲を円滑に進めるための環境整備

権限委譲を成功させるためには環境整備が重要です。部下への権限委譲を実行に移す前に、以下が整備されているか確認をしましょう。

権限と責任の範囲を明確にする

どのような業務に関して権限委譲するのか、それに伴いどのような責任が生じるのか明確にしておく必要があります。それにもとづいて、部下が自らの判断で意思決定できる対象や範囲はどこまでかを確認しておくことが重要です。部下が自ら判断できる範囲が不明確なままでは、権限委譲が十分になされているとはいえないでしょう。

適切な情報共有

権限委譲を行う際には、部下が自ら判断を下すために適切な情報共有ができているか確認が必要です。権限委譲により業務範囲・レベルが大きくなるということは、それに応じた情報も必要になります。適切な情報共有をしなければ部下が判断を間違う可能性も高まるので必ず確認しましょう。

責任に見合う処遇

権限委譲により担うべき責任が大きくなれば、それに見合う処遇への反映が必要になります。処遇は変わらず責任だけ大きくなれば、部下の納得感は高まりません。人事制度を整備し、部下が担う役割や責任の大きさと基本給や手当の関連を明確にしておくことも有効となります。

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権限委譲実施のポイントと注意点

丸投げにしない

部下のさらなる成長を願って権限委譲したとしても、部下の受け取り次第では“丸投げ”されたと感じるかもしれません。このような誤解を生まないために、しっかりと権限委譲の“目的”を部下に伝えることが重要です。

こまめなフォロー

権限委譲する業務は、部下にとってよりレベルの高いものであるはずです。部下にとって大きなプレッシャーがかかるといえるでしょう。特に権限委譲した直後は部下の様子をこまめに観察し、何か困っていることや悩んでいることはないかフォローするとよいでしょう。

時間がかかるものと考える

権限委譲した業務について、経営者の期待通りに部下が判断し進めてくれるまでは時間がかかるものと考えましょう。部下が試行錯誤しながら業務を進めることが成長につながるということを理解し、長い目で見守ることが重要です。

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*den-sen、CORA、Ushico、スタジオマーブル / PIXTA(ピクスタ)

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