
働きやすいオフィスは「社員全員」でつくる!オフィスカイゼン活動の進め方とは
「社員の出社率を上げたい」「働きやすい環境をつくりたい」など、対面コミュニケーションの課題や働く環境の悩みを抱えている経営者の方や担当者は多いのではないでしょうか。テレワークが主流となったコロナ禍を経て、在宅ワークの快適さを実感した社員が多く、より働く環境を重視するという見解もあります。 働き方が大きく変化した現在、働き方に合わせてオフィスもアップデートする必要があるはずです。いくら計画してつくったオフィスでも、時間がたってしまうと使い勝手が悪くなってしまいます。そこで今回は、オフィス環境をよりよくするための取り組みとして、コクヨ社の『オフィスカイゼン委員会』の取り組みを中心に事例をご紹介いたします。
目次
「オフィスカイゼン委員会」とは?

出典: コクヨ株式会社
2013年からコクヨ社で始まった、時の流れとともに使い勝手の悪さが出てくるオフィス環境を改善し、快適な状態で維持するための取り組みです。毎年、社内でメンバーを公募し、プロジェクトメンバーを選抜して実施しており、現在では過去10年で1,500のカイゼン事例があります。また、このうち160ほどの事例をカイゼンレシピとして公開しています。(2023年6月現在)
オフィスカイゼン活動は重要?
ハイブリッドワークが主流になりつつありますが、新型コロナウイルスが季節性インフルエンザと同じ5類感染症になり、出社に戻す企業も増えてきているようです。そうなると、やはりオフィス環境が業務に与える影響は大きいでしょう。コクヨマーケティング株式会社のコラムによると、具体的に以下のような理由でオフィスカイゼンが重要視されています。
・従業員のストレス解消
・メンタルヘルスケア
・業務効率向上につながる
・会社に愛着を持つ
ちょっとした不満やイライラが蓄積すると、いずれ大きなストレスへと変化します。反対に、社員にとって働きやすいオフィスであれば、業務効率の向上や出社のモチベーションアップにつながります。オフィスカイゼン活動を通して働きやすい環境をつくることは、企業の課題解決のためにも重要なのではないでしょうか。
【参考】オフィス環境を改善させて業務の効率化をはかろう!改善するためにすべきこととは?/コクヨマーケティング株式会社
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他社はどうしている?オフィスカイゼン活動事例
しかし、日々の業務追われる中、自ら率先してオフィスカイゼン活動に取り組む社員は多くないでしょう。実際の改善事例を見ても分かるように、とても地道な活動で、継続的に続けていくのはなかなか難しいことです。 実際に、社員が一丸となってオフィス改善に取り組んでいる企業は、どのようにして仕組み化を行い、継続的なオフィスカイゼン活動を行っているのでしょうか。今回は2つの事例をご紹介いたします。
リコージャパン株式会社神奈川支社の事例
顧客の満足度向上から改善活動がはじまり、次第にオフィスカイゼンへと発展。改善活動の一環として、手書きのウェルカムボート作成や、備品の整理場所が分かりやすいようにラベルをつける仕掛けを導入。 活動が継続できるように実施した内容や改善のポイントをまとめ、週1回の頻度でのメール配信や、半期ごとの振り返り会で情報共有を行っている。また、顧客の生の声を集めたアンケートも集めてPDCAを回したり、プロジェクトメンバーの上司がオブザーバーとなり気軽に相談できる万全なサポート体制を構築したりしている。
【参考】リコージャパン株式会社神奈川支社のオフィスカイゼン活動/MANA-Biz
キユーピー株式会社の事例
「ワークスタイル活動」として、社員がイキイキと働けるオフィスづくりに取り組んでいる。ビデオカメラを保管してある棚にラベルを付け、どの機種が入っている棚か分かるようにし、現在の貸出状況を管理する表を添付するなどの工夫を行っている。 継続的な活動を行うために、会社全体で活動を支え、上位層の社員たちがメンバーの活動や社内浸透をサポートしている。
【参考】キユーピー株式会社のオフィスカイゼン活動/MANA-Biz
持続的にオフィス改善を行うためには?
コクヨ社が2022年に実施した「オフィスカイゼン活動に関する意識」の調査で、「社員主導のオフィスカイゼンを継続的に実施する際、障害となるものは何か」という質問に対し、「現業が忙しく時間がつくれない」が1位でした。改善活動は通常の業務のプラスアルファなものであり、時間に懸念を抱いている社員が多いようです。 加えて、2位に「業務として評価してもらえない」ことが挙げられています。いくらオフィス改善活動をがんばったとしても、業務としてみなされず評価につながらなければ、現業が忙しい社員のやる気を引き出すことは難しいでしょう。改善活動を継続するためには評価制度の活用が有効です。 社員の個人目標をたてる際に、改善活動での貢献も評価対象に入れることで、社員の背中を押すことができるでしょう。たとえば、「プロジェクト期間に5つ改善案を実現させる」というように、数字で目標設定をしておくと、評価者と評価対象者で齟齬が起こりにくいです。
【参考】オフィスカイゼン活動に関する意識/MANA-Biz
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まとめ
こういった改善活動は、総務部が担当することが多い業務ですが、現場のことは現場の社員が一番よくわかっています。些細なストレスや、こうすればいいのにというアイデアをきっと持っているに違いありません。誰もが働きやすい環境を目指すには、“社員全員”でオフィス改善に取り組むことが、最短なのではないでしょうか。オフィスカイゼン活動を通じて、社員がオフィスを“自分ごと”としてとらえることができればエンゲージメントの高まりも期待できるでしょう。働き方改革が求められる今、自社のオフィス環境を見直してみてはいかがでしょうか。 コクヨ社では、社員が実際に働いているオフィスを見学できる“ライブオフィス見学”を実施しています。オフィスカイゼン委員会の取り組みだけでなく、社内コミュニケーションを促す工夫や、ビジョンの浸透を促進する仕掛けなどをツアー形式で体感することができます。きっと、自社の課題解決につながるヒントがあるはずです。ぜひ、参加してみてください。
*コクヨマーケティング株式会社, takeuchi masato / PIXTA(ピクスタ)