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【FIX】社員育成する社長

社員を育成できる社長とできない社長の違いとは?具体的な特徴も解説

2023.11.30

最大の経営課題として「人材育成」を挙げる企業は少なくありません。しかしながら、社員が育つことこそが企業が成長と成功を遂げる重大な要因であると知っていながらも、なかなかうまく課題解決できない……と、経営者は頭を抱えるばかりです。

『経営ノウハウの泉』では中小企業経営者向けにリアル経営者交流会「Bar星野×経営ノウハウの泉」を開催。交流会のなかで、多くの中小企業経営者の方の課題解決にコミットし、価値を創造してきた野本理恵氏と中小企業の戦略改革・実行職人である中島伸喜氏にご登壇いただき、「社員を潰す社長と、社員を育てる社長」をテーマに人材育成にまつわる課題解決方法について解説いただきました。

【登壇者】

中島伸喜氏
実行支援コンサルタント
新卒で佐川急便セールスドライバー。1年半で500万円元手を作り20代で2度起業。35歳で島根へIターン。地域メディアを複数立ち上げ後独立。元外交官。
得意分野:売上がアップするチーム改革、人材確保に向けた風土改革、VUCA時代の幹部育、経営方針作成支援など。
中小企業の売上、人材強化、採用をマーケティング視点で支援中。

経営課題で最も大きいものは「人材育成」

キーとなるのは「どのような人材に入社してもらうべきか」

経済産業省の調査によれば、日本国内で新事業の成功率は10%程度だといいます。また、シリコンバレーのスタートアップについても、成功する確率は58社中1社というデータもあります。事業を成功させるのが難しいこういった状況においてキーとなるのは、どのような人材に入社してもらうのかということです。そこで問題となるのが「2025年の壁」というものです。

上記は、経済産業省による「DXレポート 2018」より引用したものですが、経営改革や意識改革といったDXを実現できない企業は、2025年以降毎年最大12兆円の経済損失が生じることになるといいます。そういう状況になって人材を確保しようと思っても不可能という状況に陥ることが予想されています。

経営者の皆さんと経営課題について話すとき、「売上を伸ばしたい・社員を強化したい・採用を改善したい。このなかでどれに最大の課題感を持っていますか?」と質問をします。

この質問に対しての回答の割合は以下のようになります。

多くの企業は、採用を改善したいと思いながらも採用についてあきらめていたり、中小企業の場合は固定費を増やしたくないという理由から、「今いる社員の能力をもっと伸ばしていきたい」と考える企業が多いようです。

そういった背景があるなかで、社内育成のゴールイメージについて解説していきます。

社員育成のゴールイメージ

まず、人材育成というのは“社内コミュニケーション”に等しいと思っています。

上記の画像がイメージなのですが、社長が同席するような営業会議や開発会議といった場で、このように社員が笑顔でいられるような雰囲気をつくれている会社であれば、人材育成に成功しているのではないかと思います。

お客さまの前では丁寧にわかりやすく話す一方で、なぜか社員の前では話を省略して横柄な態度をとる。相手によって話し方を変えることが格好よくないことであることは誰もが知っているのにそれができないというのが、今の日本社会なのではないかと思っています。

私が考える「人材育成」は、以下のようなイメージです。

上記の図は、人材が育っていくプロセスを階段状に示したものです。人材育成のゴールとして目指したいのは右側です。「感覚」を持った人材をいかに育てられるか、それが人材最大の課題として掲げています。この右側に至った人材は、余人を持って代えがたい、会社で利益を生み出す生産性の高い人という考えです。

そうはいっても、最初は「知る」ところから始まって、階段を1つ上がって「理解する」、また1つ上がって「できる」、そして3年ほど経つと「プロレベル」というところに至り、この会社にとっては利益をもたらしてくれる社員に成長したことになります。

しかし、このプロレベルの段階で伸び悩んだ社員に対し、経営者は「もう一度勉強しようか」という提案をし、右側に行かずにまた左側のステップに戻してしまいがちです。ちょっと知識が足りなさそうだから、本を読んでみたらとかセミナーに参加したらいいとすすめて、左側のステップを繰り返させてしまうのです。これがまた日本の会社の現実の一部分でないかと思っています。

社員の育成ができる社長かどうか

「社員の育成ができる社長かどうか?」というよくわからない議論をする場合には、体系化してみるというのが1つのセオリーだと思っています。上記のような要素を体系化して考えています。

しかし、1番や2番といったものは今から変えるのは不可能です。4~8番については、変えることはできてもなかなか時間がかかる要素です。そのため社員を育てられるかどうかという議論はとりあえず3番「テクニック論」に絞っていくべきかと思います。

3番「テクニック論」

「どういう社長が社員を育てられるのか?」といえば、上記にあるように「行動、表情、言葉、判断基準など、社長の情報をすべて一致させる」ことが重要になってきます。キレイごとや建前は相手に伝わらず、情報として受け取ってもらえないどころか逆に嫌われる傾向にあります。こういったところの行動がぶれている社長の会社では、優秀な人が離れていってしまう傾向にあります。

結論としては、先ほどの階段状の人材成長イメージのなかでいたずらにステップを繰り返させるのではなく、右側に導ける社長が人材を育成できる社長ということになります。

社長は完璧である必要はない

理想的な人物像は、完璧なフリやいい人のフリをしない、アンバランスな自分を潔く出すことができる姿です。成長しようとしている社員に、社長にとっても苦手なことは苦手だ、と伝えられるようであれば、社員は「それ、私たちがやります」という契機になるはずです。そのため、社員の育成が苦手だという社長だと自覚している人であれば、人材育成が得意な人をナンバー2に据えて口を出さずに見守ればいいでしょう。

育成が苦手な社長の対処法

社員の育成が苦手だという自覚があるのであれば、人材育成やバリュー管理が得意な人材に任せるという判断も有効です。そうすることで、社長は自身が得意な分野に専念することができますし、そのような社長の潔い姿を見せることで社員からの信頼を失うことはありません。

まとめ

最後に「社員育成できる社長」と「社員育成できない社長」の要素を掲出します。

両者を比較することで、自社や自身に足りないところも見えてくるのではないでしょうか。そして「できない社長」の特徴を把握してしまった社員は、この社長の下にいる必要はなさそうだなと感じ、成長をあきらめてしまったり、辞めてしまったりします。特に10年後のビジョンがないことは致命的で、頑張って成長しようという社員の気持ちに影響するからです。

今回のセミナーの内容を確認し、ぜひ社員育成できる社長という意識を持って行動していただき、人材の育成とともに経営にも成功していただきたいと思います。

***

社員に自身の弱みを晒しながら的確な人材育成を行なうことはなかなか難しいところもあるとは思いますが、10年後の自社のビジョンを掲げながら人材育成にトライすることは大きな意味があるでしょう。次回は、同テーマで野本理恵氏が行ったセミナーについて掲載します。

編集:二瓶 朗

【参考】DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~/経済産業省
*west_photo / shutterstock

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