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退職者こそ大切に! 退職トラブルを防止する6つの事

2020.08.26

労務トラブルが起こりやすい“退職”。

会社側はトラブルが起こらないように気を付けていても、退職する側としては一大決心であることが多く、ちょっと対応を間違えるだけで訴訟に発展するケースも少なくありません。

今回は、退職時に気をつけるべき事を6つ紹介します。

1.退職する理由をしっかりと聞く

社員から退職の事実を告げられたら、まずは退職する理由をしっかりと聞きましょう。経営者の立場から考えると、社員から退職の事実を告げられることは複雑な思いがあるかもしれません。「これまで育ててきたのに……」「人員が減って仕事が回るのか……」とさまざまな不安があるかもしれませんが、それは一旦置いて、退職する理由をしっかりと聞きましょう。「話をしっかりと聞いてくれた」という事実が、会社への信頼となり、退職トラブルを防止します。

退職理由を聞くと「キャリアアップ」「家族の事情」など当たり障りのない回答が返ってくることが多いです。その回答が真実であるケースも多いですが、退職理由を鵜呑みにするのは危険です。

「家族の事情」など当たり障りのない退職理由を会社に伝えつつ、実は「深刻なセクシャルハラスメントがあった」というケースは珍しくないためです。ハラスメント行為等を受けて退職を決意した人の気持ちを想像してみてください。そのような人が会社に対して真実を告げるでしょうか? おそらく真実を伝えないでしょう。

「実はハラスメント行為があった」など重要事実を察知するためにも、本当の退職理由を聞き出すことは今後の会社運営にとって有益です。本当の退職理由を聞き出すには、まずはじっくりと部下の話を聞きましょう。

ただし、本当の退職理由を言いたくない場合もあるので、退職者が真実を話したくなさそうだと判断した場合、深追いは避けたほう無難です。

2.残業代の不払いや金銭の精算のチェックする

未払い残業代など金銭トラブルは退職した後に増えます。在職中は会社との関係悪化を恐れて、残業代の不払いがあったとしても、請求してこないケースが大半です。退職すると会社との関係悪化を恐れる必要がなくなるため、金銭トラブルが増えます。退職時に金銭の不払いや未精算がないか確認をしましょう。

残業代の不払いや金銭の精算のチェックポイント

  • 残業代
  • 積立金の返金(社内旅行費用やレクリエーション費用など)
  • 交通費など実費精算
  • 会社からの貸付金

3.退職予定者こそ大切にする

転職経験者の話として「退職の際に嫌な思いをした」ということがあります。

「退職事実を告げたら、上司が相談に乗らなくなった」や「退職事実を告げたら、飲み会に呼ばれなくなった」などの話を聞きます。日本の会社において、職場は家族や仲間という感覚が強いため、その場所から去る人をあまり良く思わない場合もあるようです。

ですが、退職予定者を大切にしないと、口コミサイトなどで会社を悪く書かれてしまう可能性があります。口コミサイトで悪評を書かれてしまうと、今後の採用活動や在職者のモチベーションのダウンに繋がります。このため退職予定者こそ、大切にしましょう。

4.引き継ぎについてしっかり決める

「あいつは引き継ぎもせずにやめていった」など退職者を悪く言う場合があります。退職者に否があるケースもありますが、会社に否があるケースもあります。会社に否があるケースとして「引き継ぎとして何をやって欲しいか」を明確に伝えていないケースが挙げられます。

いつまでに、どのようなことを、だれに引き継ぐのか明確に伝えましょう。事実認識の齟齬がないように書面で指示した上で、面談を行うことをおすすめします。

面談の際には「退職時に年次有給休暇をまとめて取得するつもりか否か」ということも確認したほうがよいでしょう。退職時にまとめ有給休暇消化するケースは年々増えているように思えます。退職日まで実際に出社してほしい場合は、年次有給休暇相当額を退職金として支給することも視野に入れてください。

5.退職届を書面で受け取る

退職届は必ず書面で受け取りましょう。退職の意思表示は口頭でも有効ですが、書面が残っていないと次のようなトラブルが起こる可能性があります。

トラブル1:退職理由が自己都合でなく、会社都合だと主張される

口頭でのやりとりの危険性は「言ったことと違うことを主張される」という点です。退職者が自分から辞めると言ってきた場合でも、書面でその事実を証明する書類が残っていないと、「私は会社から解雇されました」という根も葉もない主張に対抗できなくなります。

トラブル2:退職の意思表示を撤回される

口頭でのやりとりの危険性は「言ったことを撤回しやすい」という点です。例えば「こんな会社辞めてやる!」と大声で社長に向かって叫び、会社を出ていった従業員がいたとします。客観的に考えればこの従業員は明日から来ないだろう、つまり退職したと考えるのが自然です。

ところが、翌日この従業員が何食わぬ顔で出勤していたとします。社長がその従業員に対して「君はもう退職したのだから職場に出入りしないでください」と告げたところ、従業員から「昨日の私の“こんな会社辞めてやる!”という発言は一時的な気の迷いでした。撤回します」と言われてしまうと、引き続き会社に在籍させる必要がでてきてしまい、会社として対処に困ります。

このような事態を防ぐためにはまず退職する従業員から書面で退職届を預かってください。そのうえで「退職を承諾しました」という事実を証明する書類を作成し、本人へ渡してください。

ここまでやれば、退職を撤回される可能性はなくなります。“退職届”と“退職願”で、一方的に退職の意思を示す(撤回不可)のか、あくまで願い(撤回可)なのかの違いはありますが、実務上は全て撤回可という認識で手続をしたほうがよいです。

6.安易に会社側から退職を働きかけない

退職トラブルで最も多いものは“解雇”や“退職勧奨”など会社の働きかけで労働者との契約を終了させるパターンです。

まず解雇と退職勧奨の違いについて説明います。どちらも会社の働きかけで労働者との契約を終了させることに変わりはありませんが、労働者が退職に同意をしているか否かという違いがあります。解雇に労働者の同意はなく、退職勧奨には労働者の同意があります。同意のある退職勧奨の方が解雇よりも後でトラブルになりにくいという特徴があります。

解雇でも退職勧奨でも会社の働きかけで労働者との契約を終了させることに変わりはないので、いずれのパターンでも労働者はメンツをつぶされた状態で、良い感情を持たずに退職していきます。良い感情を持たずに退職すると、後々トラブルになる可能性がでてきます。

このような事態を避けるために、安易に会社から退職を働きかけないことをおすすめします。人員を削減したい場合、まずは希望退職を実施することから始めると良いでしょう。

特定の人に退職してもらいたい場合、教育やチャンスを与えて、ご本人が納得し自発的な意思で退職届を提出する状態を目指しましょう。ポイントは自分の意思で退職してもらうことです。自分から退職することで退職者のメンツが保たれ、退職トラブルになる可能性が減ります。

今回、退職時のトラブルを防止するために気を付ける事を6つご紹介しました。

退職時にトラブルが起こってしまうと、在籍中の社員にまで影響を及ぼすことが少なくありません。改善できるポイントからひとつずつ改善していくことをおすすめします。

※tkc-taka / PIXTA(ピクスタ)