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やっぱりオフィスで働きたい…!社員が出社したくなるオフィス環境とは?

新型コロナウイルスの感染拡大以降、テレワークの普及が進み、働き方に大きな変化が訪れました。しかし、感染症法の分類が2類から5類に引き下げられた2023年5月以降も、出社率はコロナ前の水準まで戻っていないようです。この記事では、どうすれば社員に出社を促すことができるのか、オフィス環境に焦点を当てて解説します。

出社率が新型コロナ5類移行後も元に戻らず

2023年5月に新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2類から5類に移行しました。これに伴ってテレワークから出社へと舵を切った企業も多いでしょう。

東京都が定期的に実施している『テレワーク実施率調査』によると、2023年5月と6月の都内でテレワークを実施している企業の割合は共に44.0%でした。コロナ前の2020年3月の調査では24.0%だったので、現在でもテレワークを導入している企業はコロナ前よりも多いといえます。

実際にテレワークを実施した社員の割合は、6月が35.8%で、5月の38.2%に比べて、2.4ポイントの減少となりました。減少傾向にはありますが一斉に出社を始めたということはなく、全体の統計を見てもオフィスへの出社率は比較的緩やかな上昇となっています。3年にもわたるコロナ対策によりテレワークがある程度定着した可能性があります。

【参考】テレワーク実施率調査結果 6月/東京都

出社率が下がるとどうなる?

テレワークが普及し、多様な働き方が推進されるのは、育児や介護との両立や通勤時間の削減など、さまざまな面で効果的であることは間違いありません。しかし、テレワークにもデメリットがあります。テレワークを行う社員が増えて出社率が下がった場合、以下のような3つの問題が発生しやすくなります。

デメリット1:コミュニケーションが乏しくなる

出社率が下がると、社員間で直接行うコミュニケーションが減少します。テレワークでも、ITツールを使えば業務に必要なコミュニケーションをすぐに取れますが、業務に必要のないカジュアルな雑談などは有意に減少するでしょう。

また、ITツールは非言語的なコミュニケーションといった、表情やジェスチャー、トーンなどの情報が欠けるため、メッセージが冷たく感じたり、相手が不機嫌になっていると誤解する場合が発生したりします。これは社員のメンタルヘルスやチームの連携に影響を及ぼす可能性があります。

デメリット2:勤怠管理が難しくなる

テレワークはワークライフバランスに有効な働き方ですが、運用の仕方を間違えると逆にワークライフバランスが崩れてしまうことがあります。

テレワークの社員が増えると正確な勤怠管理や勤怠の把握が難しくなることがあります。出社していたら仕事の持ち帰りを禁じるなど、勤務時間と就業後のメリハリをつけやすくなりますが、テレワークだと勤務時間外に作業していないかわかりにくくなるでしょう。その結果、違法性の高い長時間労働やサービス残業を誘発する可能性が高くなります。

とくに、仕事熱心な社員や上昇志向の強い社員はついつい就業後も作業を続けてしまう傾向にあります。“ワーク”と“ライフ”にメリハリをつけたい場合は、出社させるほうが効果的といえるでしょう。

デメリット3:社内に溝ができてしまう

出社率が下がると、人事評価が難しくなる可能性があります。テレワークだと、直接社員の働きぶりを見ることができないので、適切な評価や指導が難しい場合があるためです。そのため、出社して働きぶりが見えている社員を好意的に評価してしまう場合もあります。

テレワークを行っている社員のなかには、人事評価について不公平に感じやすくなる人もいるでしょう。これは、先述したコミュニケーションの問題により、社内の情報や意志決定の中心が出社している社員に偏りやすいため、テレワークの社員が疎外感を持ってしまうのが一因です。さらに、出社している社員ばかりが評価されていると、余計に不公平感が増幅してしまい、モチベーションを下げる原因となってしまいます。

【こちらもおすすめ】リモートワークの弊害をどう乗り越える?コロナ禍で露呈した中小企業の経営課題

出社したくなるオフィスに共通する3つの特徴

「自社にテレワークがフィットしないため、縮小して出社率を増やしたい」と考えている経営者も多いでしょう。しかし、テレワークを縮小し、出社率を増加させようと思っても社員が難色を示す場合があります。テレワークが定着しているのは、出社することに比べてテレワークの方がメリットを感じている社員が多いからです。出社率を増加させるには、“社員が出社したくなるオフィス”にすることが必要だと考えられます。

では、社員が出社したくなるオフィスとはどのようなオフィスなのでしょうか。出社したくなるオフィスには、主に3つの特徴があります。

特徴1:良好な作業環境

良好な作業環境は、社員の出社意欲を高める重要な要素です。居心地の悪いオフィスは出社するだけで億劫な気分になりますが、居心地のよいオフィスならば、出社への心理的なハードルを下げられます。オフィスの居心地のよさは以下のような要素が関係します。

  1. 適切な明るさと色の照明
  2. 適切な温度に保たれた空調
  3. 不快な騒音が発生せず、かつ、静かすぎないこと
  4. 必要十分な広さの作業スペース
  5. リラックススペースの有無
  6. アクセスしやすい社内設備

とくに、3番の“音問題”については、オンラインでの社外会議をしている人が増え、他の会議の声が入ってしまうということがよくあります。そのような状況では、社員が「せっかく出社したけど、音がうるさい……自宅の方がよかった」と思ってしまう社員もいるかもしれません。そのような状況を避けるためにも、会議室の数を見直すことや、個別のテレカンブースの設置、遮音性のパーティションを設けるなどの工夫が必要でしょう。

特徴2:高いスペックの設備

出社しての作業を億劫に感じさせる理由の一つに、パソコンなど設備のスペックが低すぎるという問題があります。とくにエンジニアやデザイナーなどパソコンのスペックが生産性に直接関係するような職種では、低スペックな設備はストレスが溜まってしまうでしょう。

たとえば、昇降式のデスクや複数の画面で作業できるマルチモニター、集中して作業に取り組める個別ワークスペースがあると喜ばれるでしょう。

特徴3:コミュニケーションのしやすさ

オフィスに出社したくなる要素として、社内のコミュニケーションも重要です。オフィス内に、社員がリラックスしながら会話できるスペースがあると、オープンなコミュニケーションが促進されます。このようなカジュアルなコミュニケーションから新しいビジネスのアイディアが生まれることもあるのです。

フリーアドレスの導入や、人が集まりやすいドリンクブースや複合機の設置場所を工夫することや、その近くに座席を設けることでちょっとした会話が生まれるなど、異なる部門間の社員同士の交流を促すことができます。

また、社長室をなくすことで社員と幹部層の交流を促し、縦の関係性を生み出すような工夫をしている企業や、就業後に集まってお酒を楽しめるようなバーカウンターを設置している企業もあるようです。とくに、現在の新入社員はコロナ禍に学生時代を過ごした背景からコミュニケーションを求めているという話もよく伺います。社内のコミュニケーションをうまく促すことで、社員の定着率にも効果的でしょう。

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自社でのオフィス改革はどう進めるか?

自社でオフィス改革を進めるためにはどうすればよいのでしょうか。成功するオフィス改革の進め方を4つのステップに分け、具体的に解説します。

ステップ1:社内アンケートを取り、社員たちのニーズを把握する

オフィス改革の最初のステップは、社内のニーズを理解することです。社内調査を行い、スタッフ一人ひとりがどのようなオフィス環境を望んでいるのか、また、現状のオフィス環境でどのような問題点があるのかを明らかにします。とくにテレワークの社員に対してアンケートを実施し、リモートワークを好む理由などを聞いてみるとよいでしょう。

可能であれば面談を行い、直接意見を聞くのも有益です。実際の声を直接聞くことで、より深い理解を得ることができます。

ステップ2:アンケート結果を基にコンセプトを決める

次は、ステップ1で行った社内調査の結果を基に、オフィス改革のコンセプトを決定します。アンケートから得られたデータを分析し、「どのような改革が求められているのか」「何を優先すべきか」を明確にしましょう。

たとえば、社員からのフィードバックで「コミュニケーションの場が不足している」という声が多ければ、オープンスペースの設置を検討するなど、具体的に考えます。具体的な目標とそれを達成するための施策を明確にすることが重要です。

ステップ3:施策を実施する

コンセプトが定まったら、次は具体的な施策を実施していきましょう。アンケートで得た情報を基に、改革プランを作成します。プラン作成時には、スケジュール管理やコスト管理、リソース管理を行い、スムーズに改革を進めるためのロードマップをつくっていきます。

改革を進めていくと生じる可能性のある問題点を予測し、それに対する対策も事前に準備しておくことが重要です。改革は一度にすべてを変えるのではなく、段階的に進め、社員の反応や効果を確認しながら最適な形に近づけていきましょう。

ステップ4:効果を検証し改善する

施策の実施後は効果を検証しましょう。まずは、施策の目標が達成されているか確認します。目標が達成されていなければ、何が原因でそうなったのかを洗い出し、それを改善するための新たな施策を考えます。目標が達成されていても、改革によって生じた新たな問題や課題が見つかるかもしれません。それらを解決するための施策も考えるべきです。この検証と改善のサイクルを繰り返すことで、オフィス環境はよりよいものになっていきます。

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まとめ

新型コロナウイルス感染症の分類が移行しても、オフィス出社率は依然として完全には回復していません。それはテレワークの働きやすさが社員たちに受け入れられ、定着してしまったからと考えられます。経営者を筆頭に、オフィスの意味や在り方を今一度考え、出社率を上げるためには社員たちが出社したくなるような快適なオフィスをつくる必要があります。社員のニーズをくみ取り、検証と改善を繰り返しながら、よりよいオフィス環境の実現を目指していきましょう。

* EKAKI,Ushico,78create,Fast&Slow,takeuchi masato,kou / PIXTA(ピクスタ)