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採用活動

withコロナの時代、採用活動はどう変わる?

2020.10.06

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、採用活動の姿もがらりと変わりました。2021年春に向けた新卒採用は、時期に遅れが出た中で、合同説明会や自社説明会のオンライン化などの対応が一気に進みました。

従来は、学生の夏季休業の時期に数日間で実施していたインターンシップも、実施人数を少人数化したり期間を分散させて“3密”を避けたりすると共に、そもそもインターンをオンライン開催に切り替える企業も出てきています。そして、新卒・中途に関わらず、対面での面接が実質的にできなくなったことで、オンライン面接も定着しつつあるといえます。

新卒学生の一括採用は、同時期に卒業する学生に対して同時期に採用活動を行なうことで、効率よく選考していこうという日本独自のシステムで、同時期に入社することで配置や教育なども一括で管理することができ組織運営上も効率的であるといえます。

しかし、これは高度経済成長期の日本企業に必要とされたシステムであり、企業の成長スピードが変わり、常に外部環境の変化に置かれている現代においては、なじみにくくなってきているとも言われていました。

このたびの新型コロナの影響を受けて、従来の採用活動のあり方を根本的に見直すべきという声もあがる中で、今だからこそ、新しい採用のかたちを取り入れるタイミングであるとも言えるのではないでしょうか。

これからの時代の採用の形として挙げられるのは大きくは2つあります。1つは“リファラル採用”。もう1つは“自主運用型の採用システム”です。

日本で広がりを見せる「リファラル採用」とは

“リファラル採用”とは、言い換えれば“縁故採用”です。アメリカのIT企業を中心に取り入れられている手法ですが、この数年間で日本でも浸透してきました。ある企業では、以下のような流れでリファラル採用を行なっています。

1.人事部が社員一人ひとりと個別面談

2.面談の中で、入社前に取り組んでいたことや学生時代の経験などをヒアリング

3.その内容を踏まえ、自社に合った人材がいないか両者で検討

4.必要に応じて面接や社長面談の場を設け、選考。会食代などがかかる場合は会社が全額負担

このプロセスを経て採用に至った場合は、社員にボーナスを払う制度にしているのだそうです。

この採用手法には、重要な点があります。それは、「社員一人ひとりが多様なつながりを持っていること」そして「組織へのロイヤリティがあること」です。

自分の職場で求められている能力や思いが何なのかを自分自身が理解していないと、いざ自分の知り合いを紹介しようとしても、採用とまではなかなか至りません。また、自身に多様なつながりがないと、同じ興味・志向をもつ人材を引っ張ってくるのは難しいでしょう。さらに、そもそもそういった自分の友人知人を紹介したいと思うような魅力を自社に対して抱いていないと、自信をもって人脈を紹介するということにもならないでしょう。

変化の激しい時代、企業として新たなビジネスモデルを構築するためには、多様な特性をもった人材が集まる組織であることが重要です。そのために、リファラル採用は非常に効果的な手法であるといえます。

一方で、クレド等でベクトルを合わせておかないと、単なる“バラバラの集団”になってしまいます。だからこそ、組織開発の視点から相互に信頼した求心力の高い組織づくりに注力する必要があるのです。

あるサービス業の会社では、大学生アルバイトを正社員として登用するしくみにリファラル採用の考え方を取り入れました。これまでであれば、正社員として入社したいというアルバイトがいた場合、現場からの一報のもと、通常の選考プロセスに入ってもらい、人事部が直接面接を行なう流れをとっていました。

しかし、それではせっかく自社の現場で長く働きながら理念や文化をよく理解してくれているはずの人材を、採用面接という画一的な側面から評価・判断することになってしまう、という懸念から「本人の申告のもと、現場でまず面談をした上で、人事部に正社員登用を推薦する」という流れに変えたのです。

採用システムを変更したことで、職場での仕事への取り組み姿勢や、日常のコミュニケーションから分かる本人の得意分野や志向、学校での活動の内容などを多面的に把握することができ、正社員登用の可否を正しく判断することができるようになりました。推薦する現場としても、自分たちが共に働き育ててきた人材のその先のキャリアに関与することで、人材育成や組織づくりのことを自分事で捉えることができるようになり、組織の主体性が高まるという効果も生まれました。

企業ブランディングにも効果的!「自主運用型の採用システム」とは

このリファラル採用と同様に、これからの時代の採用方法といえるのが“自社運用型の求人サイトを用いた採用システム”です。これまでのように求人サイトや広告誌に自社の広告を掲載してその反応を待つ形ではなく、掲載した内容を随時自社内でブログのように更新しながら応募者の対応も自社で行なっていく、という形です。

管理としては大変な面も出てきますが、常に新鮮な自社の職場の情報を発信でき、かつ、業務内容だけでなく職場の日常の様子や地域活動の場面などさまざまな切り口を示すことができるので、企業ブランディングとしても非常に効果的な手法です。

サイトをつくる上で大切なのは”EX(Employee Experience=従業員の体験価値)”を盛り込んだページ構成を考えることです。例えば、ある社員のキャリアストーリーを写真や動画付きで表示したり、どのような成長体験を得られたのかを“社員の声”として掲載したりするという形です。

いま、”質の高いEXをいかに職場で生み出していくか”という点が重視されていますが、これは採用活動においても言えることで、「この会社に入ったら自分はどのような体験・価値を得られるのか」をイメージしてもらうことが重要です。

ぜひ、自社の社員にヒアリングをしながら、自社独自のEXを抽出し、サイトの中に盛り込むことをオススメします。

まとめ

2種類の採用方法についてお伝えしましたが、いずれもその根底にあるのは「従来の“管理”重視の組織運営から“自律分散”な組織運営への変容を見据えた採用活動の変化」です。新卒一括採用は、通年採用に形を変えていく、あるいは並行していずれも進めていく流れが強まると思います。

また、これまで“直接会って話す”のが当たり前だった採用が、リアルとオンラインを織り交ぜながら自社が求める人材を採用できるように、面接以外の手法(各種診断やエントリーシート、動画によるエントリーなど)が多様化した採用活動に変わっていくことと思います。

2020年7月に行なわれた『未来投資会議』では、副業に関する法整備やシニア世代の活躍のための施策が議論されました。国を挙げて”個が主体となってキャリアを築いていく”という流れを後押ししているともいえます。

これからは“個としても組織としても多様なつながり資産を活かして採用を動かしていく時代”です。改めて自社が持つつながり資産の存在を確認しながら、オンラインツールを使って多様な人材と出会う可能性を広げ、自社の組織の未来像とひもづく採用活動を組み立てていくと良いでしょう。

*Ushico / PIXTA(ピクスタ)