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TOP > 今、注目のテーマ特集 > テレワーク > 【弊社はこうしてテレワークを導入しました (2)】コミュニケーションをどうするか〜突然のコロナ禍に見舞われた会計事務所の奮戦記〜

【弊社はこうしてテレワークを導入しました (2)】コミュニケーションをどうするか〜突然のコロナ禍に見舞われた会計事務所の奮戦記〜

今回のコロナ禍で、事務所の全面テレワーク(リモートワーク)化に踏み切ったという原会計事務所の税理士・原尚美さん。

東京・大田区で平成2年に開業して30年。クライアントはほぼ法人で、業務内容は人材派遣業、IT業、介護事業、不動産業、建築業、飲食やアパレルなど、多岐に渡ります。30年の蓄積により顧客の半分は大田区の企業ですが、大阪や福岡、フランスのクライアントまでいるそうです。また、7年前にミャンマーにも事務所を設けています。

テレワーク前回の記事でスタッフ全員分のノートパソコンやリモートソフトを揃えた苦労を語ってもらいましたが、今回はテレワーク化で必要となったコミュニケーションツールや、クライアントとの関係性の変化について聞きました。

大変だったのはコミュニケーションをどうするか

原:作業環境を整えるのも大変だったのですが、もっと大変だったのが、コミュニケーションをどうするか、という問題でした。全くゼロからやっているから、何を揃えればいいかわからなくて、「テレワークでコミュニケーションってどうやって取るんだろう?」と思い、次にコミュニケーションツールを探し始めました。

それもいろんな人に意見を聞いて、でも大企業が導入しているツールはとても高い(笑)。最初は『Zoom』がいいかな?と思ったんですが、意外と向いてないですよね。ミーティングには向いているんですけど、仕事のコミュニケーションには向かない。最初は全然わからなくて、「じゃあ、24時間ずっとZoomを繋ぎっぱなしにしておけばいいんじゃない?」と言ったら、「そんな自分のいらない情報がきても困る」とスタッフに言われて。

必要な情報を必要なだけ、必要な人とやり取りできて、なおかつ、情報共有もできるもの。例えばひとつのクライアントを3人や5人で担当することがあるので、ひとつの話題をチームで共有する。チャット機能が充実していて、やっぱり値段が手頃で、セキュリティがしっかりしていて……と、これも選ぶのが大変でした。スタッフと揉めてケンカになりました(笑)。

——結局どのツールを選ばれたんでしょうか?
原:『Microsoft Teams』を選びました。チャット機能がメールのように使えて、決まった人でチームを作っておけば、共有がワンクリックで済むのもすごく使いやすかったのが理由です。

丸2年かけて必要なデジタルデータを整頓

——書類などはどうされたのですか?
原:それがラッキーなことに、ちょうど3年前に、プライバシーマーク(以下、Pマーク)を取りたいと思ったんです。それまでうちの事務所は本当に紙があふれていました。それがまずいなと思って、整理したかったのもありました。Pマークのコンサルの人に来てもらったときに、「この紙の書類はなんとかなりませんか?」と指摘されて。「じゃあ、データ化します」と言って、データ化を始めました。

データ化をするのも本当に大変なんですよ。それでも、わりとIT業のお客様も多いので、紙を減らしていたほうだと思うんです。でも昔は、データでもらったものをわざわざ紙に印刷して保管していたりしたんです。また、すべて紙だったら、ファイリングのルールを決めて保管すればいいのですが、半分くらいデジタルデータで保存していました。紙の書類半分とデジタルデータ半分を統合し、ルール化してやっていくというのがものすごく大変で。しかも、すでにあるデジタルデータの中には、いらないものが腐るほどある。紙だと年に1回、倉庫整理でいらないものを処分するんですが、パソコンの中にあるデータは、いらないものも蓄積されていて。それを必要なものといらないものに分けて、ルール化して選別していくという作業が死ぬほど大変で、丸2年かかりました。

——丸2年! 気が遠くなるような作業ですが、終えられたのがすごいです。
原:その状態で、いよいよPマーク申請できるね、となったのが去年の秋くらい。そこから今の状況を迎えたので、あのデータ化をしてなかったら、テレワーク化はもっと難しかった気がします。

——現在、クライアントさんからいただく紙の書類はどうされているんですか?
原:「基本的にはデータでください」とお願いしています。紙の書類で来たものは、事務所内でPDFなどにデータ化しています。

——タイミングが良かったんですね。
原:ラッキーでした(笑)。

——テレワークが推奨され、政府からも契約書の押印は必ずしも必要ない、という発表がありましたが、今後、押印を減らすなど考えていますか?
原:うちはお客様と、最初の契約書でも、申告のときの委任状でも押印をいただいています。押印が必要でないのはわかっていますが、郵送で押印もやり取りできるし、今のところは変えなくてもいいかなと思っています。私たちの業界では、今は確定申告も電子申告になっているので、変な話、勝手に申告することも可能なんですよ。紙の時代であれば、作成した書類をお客様が見て押印したものを税務署に提出する。でも今は、IDなどお客様の情報を全部こちらが持っていて自由に申告できてしまう。それは危険なので、必ずお客様から手書きのサインと押印をもらうようにしています。

テレワーク化でクライアントとの関係の変化は?

——営業関連はどうされているんですか?

原:うちの場合は会計事務所なので、こちらから新規のクライアントへ出向いて営業するというということはないです。また、ネットで集客しようと考え、12年くらい前にホームページを充実させました。ホームページから集客する形にしているので、今はそこにお問い合わせいただいたクライアントさんとアポを取ってお打ち合わせします。

——これまでやり取りしていたクライアントさんとは、テレワーク化で変化はありましたか?
原:給料計算をするサービスをしていますが、お客様に給料明細を印刷して送っていたので、テレワークになり印刷ができないという事態になりました。すでに3分の1くらいのお客様はデータで送っていたのですが、まだ3分の2くらいは毎回紙に印刷して用意していました。テレワークになり、「全部データで送るので、そちらで印刷してください」という形になったのは変化として大きかったですね。それ以外の会計のやり取りは、もう紙で渡すということはやっていなかったです。

テレワーク化で何が一番困ったかというと、印刷なんですよ。自宅に家庭用のプリンタを持っているスタッフもいるんですが、「自宅での印刷はセキュリティの問題で絶対にダメ。絶対に繋がないで」と言っています。

——打ち合わせなどはオンラインですか?
原:打ち合わせは、『Zoom』かCiscoの『Webex』を使っています。お客様の3割くらいはWeb会議に抵抗がない方で、6割くらいは「どうやったらいいんですか?」という方なので、ミーティングツールの設定を教えて。「初めてやってみたら便利ですね~」とポジティブな反応もあります。あとの1割くらいは電話とメールでやり取りしています。

そのなかで、ひとつ大きな課題があって。お客様から電話がかかってくることがあるのですが、担当スタッフ個人の携帯番号を教えるわけにはいかないので、今は電話で直接のやりとりができない状況なんです。そうすると、事務所負担で「クライアントとやり取りできる携帯電話を持たせてくれ」という要望が出たんですけど、「お金がないので無理」と言って(苦笑)。

——たくさんパソコンやソフトを揃えたばかりですしね……。今後、携帯電話を支給したりする可能性も?
原:可能性はあります。ただ、今は(2020年6月末時点)事務所に週2回出勤する体制になったので。緊急事態宣言が解除されたら、やはり自宅では仕事がやりづらいみたいで、みんな事務所に来たがりますね。事務所に来たら問題ないのですが、家で9時~18時にきっちりとは仕事ができない女性スタッフも多いんです。

原さんが「まだ解決していないんですけど、残業や業務管理をどうするかは課題です」と語たった“テレワーク化ならではの課題”、さらに、業務内容が見えるようになったなど“テレワーク化で良かったこと”を次回の記事で紹介します。

プロフィール

原 尚美 (はら・なおみ)
税理士。
東京外国語大学卒業。TACの全日本答練「財務諸表論」「法人税法」を全国1位の成績で、税理士試験に合格。直後に出産。育児と両立させるため、1日3時間だけの会計事務所からスタートし、現在はスタッフ49名(ミャンマー事務所含む)、一部上場企業の子会社やグローバル企業の日本子会社などをクライアントにもつ。ミャンマーに会計サービスの会社を設立し、海外進出支援にも力をいれている。
https://hara-tax-accounting.com/

インタビュアー

能一 ナオ(のういち・なお)
Webメディアを中心に記事を執筆。自身が赴き取材や対面インタビューも行うが、ほぼリモートワーク/テレワークで仕事をするフリーランスのライター。

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