一般社団法人HelloWorld
東京外大・投野研究室の協力で実現、学校での大規模定点観測も可能に

非営利型一般社団法人HelloWorld(所在地:沖縄県沖縄市、代表理事:野中 光・冨田 啓輔)で多様性の社会実装に向けた調査・研究活動を行う「IntEx Lab(国際交流研究所、※)」及びHelloWorld株式会社は、この度、東京外国語大学投野研究室の協力のもと、フリースピーチ音声を活用した統計的CEFR-Jレベル推定モデルの構築を行いましたのでお知らせします。併せて、本モデルを活用した大規模調査により、発話量と英語熟達度評価の相関性を確認し、モデルの有効性を示しました。
※「IntEx」(インテックス)とは、International Exchange / International Experienceの総称。リアル・オンラインを問わず、多文化理解等を目的に、人と人が国際交流をする活動を総体的に捉える概念をいいます。なお「IntEx」は連携先であるHelloWorld株式会社の登録商標です。
※ なお本モデル構築に使用したデータは、個人が識別できない統計データです。
実効性ある英語教育の実現に向けては、学校教育が児童・生徒の能力開発にどの程度寄与したのかを観測し、授業の改善に活かす取り組みが不可欠です。一方、民間事業者が提供している多くの評価ツールは、費用負担が重かったり、限られた授業時間を割いて受検の必要性があったりするなど、学校現場への導入に障壁があるのが実情です。CEFR-Jは欧州言語共通参照枠(CEFR)をベースに、日本の英語教育での利用を目的に構築された、新しい英語能力の参照枠です。CEFR-Jレベルの判定には、専門家による判断を必要とすることから公教育への浸透には課題がありました。
そこでIntEx Labでは、「大人数の対象者に対し、一定の信頼性を担保しながらスピーキング能力のCEFR-Jレベルを推定する」システムを実現することで、お金や時間、人材といった課題を解消し、英語能力の到達度測定の仕組みを学校現場に実装すべく、本モデルの構築に取り組みました。
また、学校現場への貢献として、児童や生徒の英語力向上に効果をもたらす指導内容やカリキュラムなどを示すことを目指し、本モデルを活用した大規模調査を併せて実施しました。
<推定ロジックの設計>
本研究においては、「WorldClassroom」から取得したフリースピーチの音声データ600件に対し、東京外国語大学投野研究室の協力で「正解CEFR-Jラベル」を付与しました。この正解データをもとに機械学習モデルの構築に取り組みました。
<大規模調査の概要>
- 検証対象時期を「開始:2025年4月~6月、終了:2025年12月」とし、その前後で同テーマのフリースピーチ音声を収集
- 上記のロジックを用い、3,779名の小中高生の学習前後のCEFR-Jレベルの推計値について、対象期間を経ての変動を調査
<大規模調査の結果>
- 小中高の学校種別を問わず、スピーチ内での発話量がCEFR-Jレベル推定値の向上に大きく貢献していることが明らかに。一方、向上する能力特性の傾向は学校種別(年代)によって異なる。
- 学校種別ごとの傾向
- - 小学校:CEFR-Jレベル推定に用いる評価項目のうち、「スムーズに話し続けること」の伸びが見られ、全体レベルの向上に寄与したと言える。
- - 中学校:発話量の差が、CEFR-Jレベル推定値の差に直結している。
- - 高校:中学校同様の傾向に加え、文章の複雑性を獲得することがレベル向上に繋がる。
本モデルでは、英語スピーチの音声データから抽出される特徴とCEFR-Jレベルの推定値を統計的に紐付けています。結果として、「CEFR-Jレベルの推定値(≒英語力)が向上した」と判定された児童や生徒の音声データの特徴を分析することで、総合的な英語力を高めるために重点的にトレーニングすべきポイントが示唆されました。
英語の知識習得は積み上げられている一方で、それを即興的に使いこなす「自動化」のトレーニングが、今後の教育効果を高める上で一層重要と言えそうです。また、発話量の向上に向けては、小学校では「文章で流暢に話す」練習、中学校では「まとまりのある内容を話す」練習、高校では「文章の構成力を伸ばし即興的に話す」練習の効果が期待される結果となりました。
今回構築した推定モデルは、あくまでフリースピーチ音声のみを判定材料としており、一般的なCEFR判定テストと比較して厳密性は高くなく、参考値として使用すべきものと位置付けています。他方、IntEx Labでは、本モデルを活用して簡易かつ定期的に生徒の実力を定量把握することが、指導方針の調整・改善に有効であると考えています。今後、本研究を通じて明らかになった示唆をHelloWorld株式会社が提供する「WorldClassroom」のプログラム設計に応用し、学校現場における英語力向上に寄与することを目指します。

CEFR-Jのスピーキング評価は特に入門・初級レベルの段階のデザインに強みがあるのですが、このレベルの学習者の産出データが少ないため自動分析の研究はあまり進んでいませんでした。今回の共同研究は、A1~A2レベルのより大規模なデータが利用できたことで、初級レベルのスピーキング判定に優れたパフォーマンスを示すモデルが作れたと思います。具体的に現場で活用されることを期待しています。
一般社団法人HelloWorldは、引き続き、国内の英語教育・多様性教育への一層の貢献を目指し、さまざまな教育関係者・ステークホルダーとの連携を深め、調査・研究や好事例の展開に向けた取り組みを推進してまいります。
<団体概要>
団体名 :一般社団法人HelloWorld
代表者 :野中 光・冨田 啓輔
所在地 :沖縄県沖縄市中央1-7-8
設立 :2023年10月
活動内容:まちなか留学基金の運営、企業/団体等とのコラボレーションによる子どもたちへの支援、国際交流や多文化理解等に関する調査・研究の実施(IntEx Lab)など
URL :
https://hello-world.education/
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