労働実務事例
[ 質問 ]
毎月、現金で支払っていた通勤費を、半年に1回、定期券で支給する形に変えた場合、標準報酬月額の計算はどうなるのでしょうか。4月と10月に支給する方式、賞与に上乗せする方式の2とおりが考えられますが、賞与に上乗せすれば、標準賞与額に含まれるのでしょうか。
宮崎・S社
[ お答え ]
通勤定期券は、いわゆる現物給与に含まれ、報酬の対象となります。定期券の額面金額がそのまま報酬としてカウントされます。
3カ月、6カ月定期を購入した場合、年間の支払回数はそれぞれ4回、2回になります。年3回以下支給される賞与は、報酬には含まれず、標準賞与額の対象となります。ですから、4回支給のときは報酬、2回支給のときは賞与に分類されるようにも思えます。
しかし、話はそれほど単純ではありません。まず、賞与に上乗せして支給すれば、明らかに支給回数は年2回です。一方、4月、10月に別に支払うと、夏冬の賞与と合わせて、支給回数が4回になります。この点については、「賞与の支給回数の算定は、同一性質を有すると認められるものごとに判別する」(平15・2・25保発第0225004号)という扱いとなっています。
ただし、通勤定期券(通勤費)に限っては、3カ月、6カ月単位でまとめて支給しても、1カ月当たりの額を出して報酬に加算するのが原則です。
総報酬制が導入される以前、年3回以下支給される給与であれば、特別保険料(一般保険料より著しく料率が低い)を負担するだけで済みました。現在では、報酬として支払おうが、賞与として支払おうが保険料負担は同じです。
ですから、あえて月割りにする意味がない気もしますが、本来、月ごとに支給事由が発生する賃金項目を、数カ月分まとめて支給しても報酬とみなすという考え方を採っています。標準報酬月額にプラスした方が、傷病手当金などの計算上も有利です。
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