労働実務事例
「労働新聞」「安全スタッフ」(2009年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。
[ 質問 ]
重要プロジェクトが進行するなか、メンバーの1人から育児介護休業法に基づく「時間外労働の制限」の申出を受けました。1年という請求でしたが、プロジェクトのピーク時を考え、4カ月で申請してもらうことにしました。この場合、1年150時間の制限があるので、4カ月の総枠は50時間になってしまうのでしょうか。
福岡・K社
[ お答え ]
小学校の始期に達するまで(6歳に達する日の属する年度の3月31日まで)の子を養育する労働者は、時間外の制限を申し出ることができます。
事業主は、次のいずれかに該当する場合を除き、これを拒否することはできません。
① 日雇従業員
② 入社1年未満の従業員
③ 16歳以上の同居の家族が子を養育できる従業員
④ 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
⑤ 所定労働時間全部が深夜にある従業員
請求の際には、1カ月以上1年以内の期間について、その初日と末日を指定します。請求期間内は、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、1カ月24時間、1年150時間を超えて時間外労働を命じることはできません。
1カ月24時間ずつ12カ月時間外労働をさせれば、総計は288時間になります。ですから、毎月、24時間の総枠を使い切ることはできません。それでは、4カ月の期間を区切って時間外の制限があったとき、4カ月の総枠はどう計算すればよいのでしょうか。
たとえば、労働基準法に基づく「36協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準(平10労働省告示第154号)」では、1カ月の上限は45時間、2カ月81時間、3カ月120時間などと、期間の長短にあわせて細かく規定しています。
期間が長くなるほど、1カ月当たりの数字は逓減する仕組みです。
しかし、育児介護休業法に基づく時間外の制限については、そのような定めは存在しません。
6カ月以下の期間を定めるときは、24時間×6カ月=144時間で、150時間より小さくなるので、「1年について150時間の制限の意味はなく、実質的に1カ月24時間を超えて労働時間を延長してはならないという制限のみがかかる」(平21・12・28雇児第1228号第2号)と解されています。ですから、4カ月の総枠は、96時間となります。
ただし、会社が請求期間4カ月で請求するよう強制する権限はありません。あくまで本人の同意に基づき、請求期間の変更・短縮が可能になります。
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