労働実務事例
[ 質問 ]
従業員が事故で負傷し、未だに治療を受けています。1年半経過した時点で、障害等級の認定を受けましたが、年金の対象になりませんでした。万一、症状が悪化した場合、再度、認定を受けられるのでしょうか。
茨城・A社
[ お答え ]
障害認定日は、次のいずれか早い日と定められています(厚年法第47条)。
・1年6カ月を経過した日
・傷病が治った日
「治った」日には、「症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至った日」を含みます。症状が固定していなくても、1年6カ月経過した時点で、まず障害等級の認定を受けます。
ただし、障害手当金については、「初診日から起算して5年を経過するまでの間における傷病の治った日」に支給の要否を判断する規定となっています(厚年法第55条)。ですから、症状が固定していなければ、手当金の支給決定は行われません。
1年6カ月を経過した時点で障害の認定を受け、1~3級の障害等級に該当しなかった人でも、いわゆる「事後重症」による救済を受けることができます。その後、障害が悪化し、「65歳に達する日の前日までの間に障害等級に該当する状態に至ったとき」は、障害厚生年金の支給を申請できる規定となっています(厚年法第47条の2)。初めて年金を受ける人の場合、「国民年金・厚生年金保険・船員保険障害給付裁定請求書」で請求します。
事後重症で障害等級3級を受けるようになった人がいたとして、さらに障害が悪化して1・2級に該当するケースも考えられます。この場合は、既に障害厚生年金の受給権者なので、「厚生労働大臣に対し、障害の程度が増進したことによる年金額の改定を請求」(厚年法第52条第2項)することになります。
障害厚生年金で3級から2級(1級)への改定手続きが行われれば、同時に障害基礎年金も支給されます。
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