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労働実務事例

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作業開始前や施工段階、建設業の発注者へ勧告?

「労働新聞」「安全スタッフ」(2010年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 建設業の発注者に対し、労働基準監督署から勧告等が行われることがあると聞きましたが、その内容についてご教示ください。

兵庫・H社

[ お答え ]

 建設業の事業の仕事のうち一定のものを開始しようとするときは、その計画を厚生労働大臣または労働基準監督署長に届け出ます。
 この計画の届出の対象となる建設の仕事に関し、事業者が発注者(注文者のうち、その仕事を他の者から請け負わないで注文している者)の発注条件に基づき仕事を実施すると、労働安全衛生法の違反とならざるを得ないような場合に計画の届出をした事業者に対し仕事の開始の差止命令または計画の変更命令が行われることがあり、また、仕事の施工段階において安衛法に違反した事業者等に対し作業停止命令等が行われることがあります。
 しかし、計画の届出をした事業者等に対し命令するだけでは、発注者が、その後、安衛法上問題のある発注条件を付さないことについて十分な注意を喚起することができないこと等から、労働基準監督署長等は、この仕事の開始の差止命令等の命令をした場合において、必要があると認めるときは、当該命令に係る仕事の発注者等に対し、労働災害防止に関する事項について必要な勧告または要請を行うことができます。
① 計画段階における勧告または要請
ⅰ 安衛法では、事業者は、建設業の事業の仕事で、高さが300メートル以上の塔の建設の仕事等一定の大規模なものを開始しようとするときは、その計画を当該仕事の開始の日の30日前までに、厚生労働大臣に届け出なければならないこととされ(安衛法第88条第3項)、また、建設業等の事業の仕事(安衛法第88条第3項の一定の大規模な仕事を除く)で、高さ31メートルを超える建築物または工作物の建設、改造、解体または破壊の仕事等一定のものを開始しようとするときは、その計画を当該仕事の開始の日の14日前までに、労働基準監督署長に届け出なければならないこととされています(安衛法第88条第4項)。
 なお、当該仕事が数次の請負契約によって行われる場合において、当該仕事を自ら行い、その仕事の一部を請負人に請け負わせる発注者がいるときは当該発注者に届出の義務があります(安衛法第88条第6項)。
ⅱ 厚生労働大臣または労働基準監督署長は、ⅰの計画の届出があった場合において、当該届出に係る事項が安衛法に違反すると認めるときは、当該届出をした事業者に対し、その届出に係る仕事の開始を差し止め、または当該計画を変更すべきことを命ずることができ(安衛法第88条第7項)、厚生労働大臣または労働基準監督署長は、仕事の開始を差し止め、または当該計画を変更すべきことの命令をした場合において、必要があると認めるときは、当該命令に係る仕事の発注者(当該仕事を自ら行う発注者を除く)に対し、労働災害の防止に関する事項について必要な勧告または要請を行うことができます(安衛法第88条第8項)。
 これは、発注者が安衛法に違反するような発注条件を付しているような場合、事業者に対し命令を発するだけでは、発注者が、安衛法に違反するような発注条件を付さないことについて十分な注意を喚起することはできないこと、事業者が発注条件を変更してもらい改善措置を迅速に講ずることができるようにすること等から設けられたものです。
② 主として仕事の施工段階における勧告または要請
 都道府県労働局長または労働基準監督署長は、安衛法第20条等の労働者の危険または健康障害を防止するための一定の条文に違反する事実があるときは、違反した事業者等に対し、作業の全部または一部の停止、建築物等の全部または一部の使用の停止または変更その他労働災害を防止するため必要な事項を命ずることができることとされており(安衛法第98条第1項)、都道府県労働局長または労働基準監督署長は、請負契約によって行われる仕事について第98条第1項の規定による命令をした場合において、必要があると認めるときは、当該仕事の注文者(当該仕事が数次の請負契約によって行われるときは、当該注文者の請負契約の先次のすべての請負契約の当事者である注文者を含み、当該命令を受けた注文者を除く)に対し、当該違反する事実に関して、労働災害を防止するため必要な事項について勧告または要請を行うことができます(安衛法第98条第4項)。
 安衛法第88条第8項および第98条第4項の勧告または要請の内容としては、命令に基づく事業者の改善措置が迅速に講ぜられるよう配慮すること、今後、安衛法違反を惹起させる条件を付さないよう留意すること等(昭63・9・16基発第601号の1)があります。



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