労働実務事例
[ 質問 ]
当社で、試用期間の満了後まもなくして負傷した者がいます。平均賃金を算定する際に「試みの使用期間」は除くとされていますが、直近の賃金締切日からさかのぼった3カ月間で計算するのでしょうか。
【長野・J社】
[ お答え ]
平均賃金は、労働者を解雇する場合の予告に代わる手当(労基法第20条)、使用者の責に帰すべき休業の場合に支払われる休業手当(第26条)、年次有給休暇の日について支払われる賃金(第39条)、そして労働者が業務上負傷しもしくは疾病にかかった場合等の休業補償(法第76条)等を算定する際に用いられているものです。
労基法第12条第3項第5号では、試みの使用期間について、その日数およびその期間中の賃金は、平均賃金算定の期間および賃金の総額から控除するとしています。
平均賃金の算定の基礎からその期間および賃金を除くこととしているのは、その期間中の賃金が通常の賃金より低い場合が少なくないため、これを算入すると平均賃金が不当に低くなるおそれがあるためであると考えられます。
一方、試みの使用期間中に平均賃金の算定事由が発生した場合には、例外的にその期間中の日数およびその期間中の賃金で平均賃金を算定するものとされています(労基則第3条)。
では、本採用になってからすぐに被災した場合、どのように平均賃金を算定するのでしょうか。
平均賃金の算定基礎となる日数や賃金については、以下の①か②のいずれかが考えられます。
① 試用期間中の日数および賃金
② 本採用日以降の日数および賃金
通達(平2・7・4基収第448号)によれば、②の「本採用日以降の賃金および日数」を用いて、その労働者に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額とするとしています。
ただし、休業後の一賃金締切期間に満たない期間の就労に対して、月によって定められた賃金が減額されることなく支払われるときは、
① 賃金の全部が月によって定められている場合には、その賃金を30で除した金額
② 賃金の一部が月によって定められている場合には、その賃金を30で除した金額とその他の賃金について労基法第12条により算定した金額を合算した金額
となります。本採用以降に支払われた賃金を本採用以降の暦日数ではなく、当該期間の日数を30日とみなして除することになります。
一般的には、前掲通達に基づいて本採用日以降の賃金および日数について、原則どおり平均賃金を算定することになります。
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