労働実務事例
[ 質問 ]
労基法の「時間外労働が月60時間を超えた場合、5割以上の割増賃金を支払う」という規定に関して質問があります。月の初日が水曜日だったとします。土曜日(公休日)に出勤(時間外労働)させた場合、この月の最初の1週間(水曜から土曜まで)の総労働時間は32時間ですが、土曜出勤分の8時間は「月60時間」の計算に含めるのでしょうか。
【大阪・Z社】
[ お答え ]
月60時間の起点は「毎月1日、賃金計算期間の初日、36協定の起算日等が考えられ、就業規則に記載する」必要があります(平21・5・29基発第0529001号)。
一方、週の労働時間を計算する際には、「1週間とは、就業規則その他に別段の定めがない限り、日曜日から土曜日までのいわゆる暦週をいう」という原則に基づきます(昭63・1・1基発第1号)。土日公休の会社で月曜から金曜まで40時間(8時間×5日)労働させた後、土曜日に出勤させれば、その時間すべてが時間外扱いとなるのは、日曜から土曜を1週間として計算するからです。
貴社が「月60時間」の起点をいずれの日と定めたとしても、月の初日と1週間の初日が合致しないのが普通です。変形労働時間制に関しては、「変形期間が週単位でない場合、1週間について時間外労働であるかどうかを判断するに当たって、暦週でみるのが原則」と解されています(労基法コンメンタール)。
同じ土曜日の8時間労働が、通常の1週間(日曜から土曜まで)でみれば40時間をオーバーし、月の初日から土曜日まででみれば40時間の枠内に収まります。この8時間は60時間に含める必要があるか否か、というのがご質問の趣旨です。
労基法第37条第1項では、「法第33条(災害等非常時の時間外労働)と第36条(協定による時間外)の規定により労働させた時間が1カ月について60時間を超えた場合、5割以上の割増賃金を支払う」と規定しています。
1日単位、1週間単位で時間外労働と判断された時間を月の初日から累積し、合計が60時間を超えれば、法の要件に合致します。ですから、土曜日の8時間(1週単位で時間外労働となった時間)は60時間の計算に含まれます。
閲覧数(3,901)
キーワード毎に情報を集約!
現在636事例
※ハイライトされているキーワードをクリックすると、絞込みが解除されます。
※リセットを押すと、すべての絞り込みが解除されます。
スポンサーリンク
スポンサーリンク
[2022.7.24]
[2019.11.12]
[2018.10.10]
スポンサーリンク