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労働実務事例

提供:労働新聞社

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36協定と賃金で締め日違う場合、月60時間の起算日いつか

「労働新聞」「安全スタッフ」(2011年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 賃金の支払いサイクルと36協定の締結期間は異なってもよいのでしょうか。いわゆる「賃金支払いの5原則」を順守していれば問題はないと思いますが、月60時間を超える時間外労働のカウントをいつから開始すればいいのか分かりません。割増賃金の支払い時期について教えてください。

【山形・U社】

[ お答え ]

 平成22年4月から、1カ月60時間を超える法定時間外労働に対して、使用者は50%以上の率で計算した割増賃金を支払うことが義務づけられました。ただし、以下の中小企業については、当面(平成31年度から廃止を検討)、改正法の適用が猶予されます。
厚生労働省では、現在適用猶予を廃止するか否か、検討しています。
① 小売業(飲食店を含む) 資本金5000万円または常時雇用労働者50人以下
② サービス業 資本金5000万円または常時雇用労働者100人以下
③ 卸売業 資本金1億円または常時雇用労働者100人以下
④ その他の業種 資本金3億円または常時雇用労働者300人以下
 賃金の締め日や支払い日は企業によってまちまちですが、労基法第24条により、「賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない」とされています。
 割増賃金についても賃金の一種ですから毎月払いの適用を受け、かつ毎月時間外労働数を計算して賃金台帳に記載しなければなりません(労基則第54条第6項)。
 たとえば、給与は1日~月末、36協定は16日~翌月15日のサイクルとすると、月間60時間の残業時間を計算するに当たって、給与の締めの1日を起算日として月間60時間を計算するのか、36協定の締めの16日を起算日とするのかという点が問題になります。
 1日~月末では60時間を超えているが、16日~翌月15日では60時間を超えていないという場合、50%の割増賃金は必要なのかという疑問が生じます。
 法律上、36協定上の起算日と賃金計算上の起算日を合わせる必要性はありませんが、実務上は、同一日に設定されているのが普通です。
 「60時間を超えて時間外労働をさせた時点」を明らかにするため、行政解釈(平21・5・29基発第0529001号)では、「1カ月とは暦による1カ月をいうものであり、起算日を『賃金の決定、計算及び支払いの方法』として就業規則に記載する必要がある」と述べています。ただし、「定めのない場合には、労使慣行等から別意に解されない限り、賃金計算期間の初日を起算日として」取り扱います。
 貴社でも、現行の36協定、賃金規定の文言を確認のうえ、60時間超の起算日も含め、すべて同一日に統一するよう規定を整備すべきでしょう。



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