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労働実務事例

提供:労働新聞社

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始業終業の繰上げ・下げ、労使協定の締結が必要か

「労働新聞」「安全スタッフ」(2011年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 当社には、休憩の開始時間や始業終業の時刻を変更できる旨の規定が労働協約と就業規則にあります。労働組合との協定は、組合員のみにおよび、パート等組合員以外の者は別に過半数代表者との協定が必要ということでしょうか。

【三重・U社】

[ お答え ]

 労基法第34条では、休憩時間は、労働時間の途中に一斉に与えなければならないとしていますが、その作業の実態等から一斉に休憩をとることが困難となることも考えられます。たとえば、一事業場内の事務所と工場や工場内の各部門、各係ごとに別々の時間に休憩を与えようとする場合です。そこで、第34条のただし書きでは、以下のものとの「書面による協定」があれば一斉休憩の適用を除外できるとしています。
① 労働者の過半数で組織する労働組合がある場合は、労働組合
② 労働組合がない場合においては、労働者の過半数代表者
 協定には、一斉に休憩を与えない労働者の範囲、労働者に対する休憩の与え方について定めなければなりません(労基則第15条)。
 ここでいう労働組合との協定の効力については、労働協約(労組法第14条に基づく原則として組合員のみに効力が及ぶもの)ではなく、全従業員の立場を代表して行うものであるので、組合員であるかどうかによって可否を分ける等の措置は一般にはできないと解すべきとされています(労基法コンメンタール)。協定において、組合員のみに適用するかたちで規定されていても、特段の合理的事情がない限り、組合員以外の者にも及ぶことになります。ですから、ご質問にある組合との協定も労働者の過半数を代表していれば労基法上の労使協定となると解されます。
 一方、始業終業時刻の繰上げ・繰下げ等については、労使協定の締結は要件とされていません。逆にいえば、始業終業時刻の変更に関し、労使が協定を結んでも特別な効力は付与されず、組合員のみを拘束します。全従業員を対象に始業終業時刻に関する新ルールを導入したいのなら、就業規則を変更する必要があります。
 休憩時間や始業および終業の時刻は、就業規則に記載しなければならない絶対的必要記載事項です(労基法第89条)。
 就業規則を変更する場合は、前記①または②から意見を聴取して労基署へ届け出る必要があります。すでに、就業規則等で事業所ごとに始業終業時刻を複数定めていて、そのなかで変更する場合には、就業規則自体を変更する必要は生じませんが、新たにそれ以外の時間に設定する場合は、過半数労組・過半数代表者の意見を聴取しなければなりません。



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