労働実務事例
[ 質問 ]
軽作業のパート女性が、まもなく65歳に達します。退職の方向で話を進めていますが、年金のことで相談を受けました。現在、ご本人は夫の遺族厚生年金プラス中高齢の加算を受けています。65歳以降、受給する年金はどのように変わるのでしょうか。
【新潟・S社】
[ お答え ]
遺族基礎年金は、子のない妻(子が受給年齢を超えた場合を含みます)には支給されません。しかし、夫の死亡当時40歳以上の妻(40歳に達した後、子が受給年齢を超えた場合を含みます)は、厚生年金から「中高齢の加算」を受けることができます(厚年法第62条)。中高齢の加算は、遺族基礎年金の額の4分の3相当に設定されています。
お尋ねの方は、現在、この遺族厚生年金プラス中高齢の加算を受給されていますが、中高齢の加算は、65歳に達すると打ち切られます。65歳に達すれば、遺族(妻)本人の老齢基礎年金の受給が可能だからです。
ただし、妻の老齢基礎年金は合算対象期間(昭和61年3月以前の専業主婦であった期間など)等が長いため、低額な人が少なくありません。そこで、65歳以降も、経過的加算を支給する特例を設けています(厚年法昭60附則第73条)。
経過的加算の額は、受給権者の生年月日別に定められています。年齢が若い人は、合算期間が短い(専業主婦であった期間も第3号被保険者として老齢基礎年金の計算基礎となる期間が長い)ので、経過的加算を付加する必要性が低下しています。そこで、経過的加算の額は生年月日が早い人ほど高く、遅い人ほど低くなるように設定されています(次ページ表)。昭和31年4月2日以降に生まれた人は、経過的加算はゼロとなります。「経過的」というネーミングがなされたゆえんです。
お尋ねの方は、65歳に到達した後は、遺族厚生年金、経過的加算、老齢基礎年金の3種の年金を併給することになります。
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