
導入増加によりお悩みも…フレックス制度に関する疑問、あなたは答えられますか?
導入が増えてきているフレックス制度。勤務時間の裁量を従業員に持たせることができるので仕事量に応じて働く時間を調整できるメリットがある反面、社内ルールを制定・浸透できていないと利用する従業員の混乱やルールを逸脱し無法地帯になってしまうリスクもはらんでいます。
そこで今回はフレックス制度に関するお悩みを「総務の森」からピックアップしてみました。実際に自社で導入している場合は社内ルールの参考に、これから導入を検討している経営者の方はどんなことがネックになるのかの検討材料にぜひご覧ください。
目次
1.休憩時間はどのように設定する?
質問日:2023年10月19日
◆質問内容(一部抜粋)
フレックス制についての質問です。
例えばコアタイムを11時から13時と設定した場合の休憩時間(1時間や45分など)、
また、コアタイムを設けない所謂スーパーフレックス制を導入した場合の休憩時間(1時間や45分など)というのはどのように設定するのでしょうか?8時間で1時間や6時間で45分のような基準もあるのでしょうか?
(後略)
▼総務の森に寄せられた回答例
回答①
(前略)
フレックスタイム制を採用していても、労働基準法を遵法する必要があります。
労働基準法第34条のとおり、労働時間が6時間を超えるのであれば45分の休憩、労働時間が8時間を超えるのであれば1時間の休憩が必要です。コアタイムの中に確実の確保できる休憩時間を設定されることは方法ですし、休憩時間の確保・管理をどのようにされるのかは勤怠管理をどのようにおこない把握するのかにもなりますので、きちんと貴社内で取り決めて実施してください。
回答①への返信
ご回答ありがとうございます。
コアタイムが3時間だから無いからというは関係なく、結果的に何時間働いたかに対して休憩時間が付くというイメージなのでしょう?
返信への回答
コアタイムでなく、その日の労働時間で必要な休憩時間は決まってきます。
労働時間3時間の場合でも、休憩が1時間あってもよいのですよ(そのあたりは会社の営業時間や考え方もあるでしょう)。
コアタイムなしでのフレックスタイム制を考える場合においても、その日に6時間を超える労働をするのであれば休憩は必要です。労働基準法
第三十四条 使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。フレックスタイム制でも労働基準法は守ってください。
>相談元やほかの返信はこちら
総務の森<相談の広場>『フレックスにおける休憩時間について』
2.【フレックスタイム制度設計の参考に】有給休暇はどのように取得する?
質問日:2022年06月10日
◆質問内容(一部抜粋)
フレックスタイム制のもとで年次有給休暇を取るときについての質問です。
標準となる1日の労働時間が7時間30分です。
ある日、10時間働く予定にしていた日に年休を取った場合
年休がどれだけ消化されるでしょうか。
私は、「1日」だと思っていたのですが
当社の数え方だと「1日と2時間(3時間?)」になると言われました。厚生労働省のパンフレットを見ると
「「標準となる1⽇の労働時間」の時間数を労働したものとして取り扱います。」
とあるので、それなら実際に使われる年休は1日だと思っていたのですが、
予定していた労働時間を働かなかったものとして数えるのでしょうか。
投稿者からの補足
コアタイムは4時間です。
予定していた労働時間を変更することはできないことになっていて(これも変だと思いますが)、急用ができたなどで予定より短い勤務時間で帰宅したい場合は時間年休を取るように言われます。私はフレックスではないのですが、該当者は上記のように申請するよう言われていて、そのとおり書いています。
書いていますというのは、当社は出勤簿、年休申請から残日数管理まで全部紙管理です。
勤怠管理システムがないので、給与計算にあたっては欠勤がないかを報告するだけになっています。給与明細に年休の日数を載せる欄がないです。
▼総務の森に寄せられた回答例
回答①
あとから法に規定された時間単位年休、フレックスタイム制との親和性がとれない平成22年法改正に悩むのですが、それはさておき、
最初に結論から言うと、
> 標準となる1日の労働時間が7時間30分です。
と協定されているなら、会社のやり方は法違反です。時間単位で時季指定していないのに減数しているからです。第一
> 10時間働く予定にしていた日
予定するのは労働者であって、会社ではありません。会社だとするとフレックスタイム制そのものの否定です。どこかで会社は法制度を取り違えています。
なお、協定にて「標準日10時間」というのはありえなくないです。協定のうえでたとえば月所定総労働時間を法定総枠としておき、日標準時間をその月の所定労働日数(平日)で除した時間数と協定したら、5月などはその時間になりそうです。その場合でも休暇1日がその協定時間になりますので、1日に時間年休プラスすることはありえません。
※追加
年次有給休暇の1日は、法定休日同様、労働者から日指定してその日の0時から24時まで休める、という意味もあります。(前日の労働が翌日0時に食い込むこと不可。前日24時をもって終業させる義務が使用者にあり。ただし日をまたぐ所定勤務にたいしては例外あり)。
ですので、1日+時間単位年休数時間分を労働日1日にあたる、というのもおかしいのです。
回答②
(前略)
そもそもフレックスタイム制と呼べる状態ではないように思います。事前に勤務予定時間が日ごとに決まっているのであれば、それはフレックスタイムではなく、変形労働時間制を採用したシフト勤務ではないでしょうか。
勤務予定時間が決まっているというのが、フレックスタイム制とは相いれないように思います。
>相談元はこちら
総務の森<相談の広場>『フレックスタイム制のもとで年次有給休暇を取るとき』
採用にも有利?フレックスタイム制度のメリット・デメリットを解説
かつての終身雇用制は鳴りを潜め、今や世の中は働き方改革の流れが加速しています。そのような状況で、柔軟性の高い制度として注目されているのが「フレックスタイム制」です。
フレックスタイム制自体は比較的認知度の高い制度ではありますが、今回はこの制度の概要や種類、導入時の効果や懸念点についておさらいをしていきます。ぜひ制度導入や改定のための参考にしてみてください。
>詳しくはこちら
経営ノウハウの泉『【働き方改革】採用に有利!フレックスタイム制のメリットや注意したい点とは』
最後に〜相談の広場ご紹介〜
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